【随想】特許で見るギター構造
DIYerの立場からギターの構造や作り方を知ろうとした時に日本の出版物があまり当てにならない事はアコギを製作した時にも痛感した訳ですが、
実は無料で古典的な技術から最新技術まで詳細を知る事が出来る方法があるんです。
タイトルでネタバレしていますが、Webの知財検索を使って見たい技術を検索すれば様々な技術を見ることが出来ちゃいます。
一番容易な方法はこちら。
使いこなせば様々な検索方法で特許を検索出来ますが、まずは簡易検索で「ギター ネック」をキーワード検索してみましょう。
386件がヒットしました。ひとつづつ眺めても楽しいのですが、例えばコレ。
Taylorの'22年の公開特許(登録ではない)ですが、ブリッジのピエゾPUまでの伝達経路にサドルと異なる異種材料を入れて弦振動に対するパッシブフィルタを構成するって技術ですね。こんなの見るとハッとします。以前作ったサイレントギター、記事では触れていませんが、実はサドルとピエゾPUの間に色んな素材を挟んで試し、自分好みの音が拾える様にしてたんです。まさか自分とTaylorが同様のアプローチしてたなんて!と嬉しくなっちゃいます。そしてTaylorの考える技術根拠が垣間見れて自分の仮説と併せて読み込むと知れる事沢山、コレはヤバい。
他にもサウンドメッセで見て驚いたコレ、
経過情報からは残念ながら拒絶査定されていますが、よく嵌合させたなと現物見て驚いた技術。こういった各メーカーの取り組みがその開発者の意図と共に読み解く事が出来るので、とても参考になるんですよね。
有名な東海楽器のSEB構造も、
実施例には具体的な素材の組合せと音質評価まで掲載されているので大変ありがたい。過去には楽器製作仲間と共同でこの特許を参照しつつ類似構造を作った事も。
特許だから真似しちゃ駄目じゃない?と思われた方もおられるかと思います。だけども、技術の有効性確認を目的とした再現検証や、個人的かつ非営利目的なら特許侵害には当たりません。また権利の継続費を支払わなかった場合や出願から20年を経た特許はその有効性を失うんですが、ギターに関する主要な特許はその大半がもう切れてます。学んで真似しても全く問題ない情報が多数公開されてるんだったら使わないと勿体ないですよね。
英語の壁が越えられるなら是非米国特許を検索してみて下さい。見てるだけでとてもしあわせになれますよ!直リンクが貼れないので、
"Patent Public Search"
と検索してみてください。
技術者にとってはよく行う情報収集方法なんですが、あまりDIYerでは活用してる例を見たことがなかったので、簡単な範囲で紹介した次第です。
FenderやGibsonの古い特許なんかは時代を遡って読み解くとアプローチの過程が読めてドキドキしますよ。
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