【アコギ修理】ブリッジ欠損ギターの再生 ③(トップ板の歪み修正)
散々な状態を確認したので、修理は長期戦で挑みます。何よりまずはぽっこりお腹になっているボディのトップ板をどうにかしないとダメみたい。
ネットで色々見てると、大体皆さんボディ上下に木を渡して両端からネジで締め上げ、出っ張りを凹ませる修正方法を取られています。コレならぼくでも手持ちの端材と寸切りボルトの組み合わせで対応出来そう。
ただしこのPearlのボディ、複雑な変形しているんです。図にするとこんな感じ。
ブリッジの後端を中心に凸、そのあおりを受けてブリッジ前端は凹になっています。B-B断面の凸高さは10mm近くありヤバい状態ですね。
ぶっちゃけこんなの渡し木で上下を挟んでも直る気がしませんが、試しにやってみましょ。
その辺に転がってた木片で上下を挟み、両端をM8の寸切りボルトで締めたらこの状態。左右に隙間が開いてるのをお分かりいただけるかと思います。
このままネジを締めたらぐにゃぐにゃになってとんでもない事になりそうなので、ボディの中に突っ張りを入れてみます。
ボディ内部のXブレーシングを紙にトレース。表で合わせると、えげつない所に穴が開けられている事が分かりますね。
出来た型に合わせて木片を切り出し、ナットを叩き込みます。
適当なボルトを掛けたらトップとバックの間を突っ張るジグ、突っ張りくんの出来上がりです。
中に入れればこのとおり。ちょうどブリッジプレートを支える形で支持してくれています。
あとは渡し木のバック側をボディ形状に合わせて削り、突っ張りくんと合わせてトップ板を修正していきます。
突っ張りくんのおかげで少しずつ修正が進み、ひと月でこれ位修正が進みました。
更にここから数ヶ月、位置変え手を変え品を変え、少しずつ修正した結果がこちら。
ようやくここまで到達、やっと次に進めそうです。
※実はこの修正に6ヶ月費やしてます。治ったと思ってもまた曲がってくるので修正の繰り返し。同じ方法でぽっこりお腹を直そうと挑まれるなら長期戦を覚悟した方がいいかも。