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ホスト問題について思うこと。

 ホストにハマる若い女性が増加し、彼女たちが風俗や立ちんぼで売春するケースが取りだたされ社会問題となっている。

 この問題の起点はホストではなく、若い女の性的資本の上昇が先にある。近年急激に若い女の性的価値が高騰した結果、彼女たちは潜在的な金持ちになり、それに目をつけた業界が儲かっているという構図なのだ。

 若い女の性的資本、つまり女との性行為には正当な価格などない。例えば地面から湧いてくる石油に値段をつけるときに、正当な基準などどこにもないのと同じだ。1リットル当たり150円だと値札に書く時に、石油の本来の価値などどうでもよくて、買う人の財布事情だけを参考にする。
 若い女の性的資本の価格は、それを買う者達の経済が決めている。当然顧客の大多数は男なのだから、彼らが若い女の身体により多額の金銭を投じるようになったと推測できる。

 ではなぜ男達は若い女の性的資本により金銭的価値を見出すようになったのか。

 産油国が石油の減産や輸出を制限すれば石油価格は上がる。希少性を高めて価格を吊り上げるのだが、これは若い女の性的価値の高騰と同様のメカニズムである。
 つまり少子化によって、時代が進むごとに若い女の数が減少した結果、希少性が増したのだ。対照的に顧客母体は、ほぼ全ての年齢層の男なので数は殆ど減っていない。ただでさえニッチな10代後半から20代半ばまでの女性が毎年減少するなか、彼女らを求める20、30、40、50代の男はそこまで急激に減ってはいないため、若い女の性的資本の価値は過去に類を見ないほど高まった。
 その影響は、脱毛業界、美容整形業界、そしてホストの隆盛に繋がる。潜在的に金を持つ若い女をターゲットにしたそれらの業界もまた、未だかつて見ない盛況ぶりになっている。

 そして、この現象は自由市場、自由主義を正義と信じる者には否定しがたい。需要があるものを売ることは正しい、法律に違反しない限り個人の自由意志による行為は制限してはならない、という教義から抜け出せないからだ。

 しかしそれは間違っている。性的資本によって多額の金銭を稼ぐというのは、人類に対する罪だ。
 若い女がセックスして稼げる金額が、プログラミングをしたり、ゴミの回収をしたりする労働より何倍も多いということは、現在の社会は人々に「若い女のセックスの方が、勉強して得た技能で行う仕事や、インフラを維持する仕事よりも価値がある」と宣言しているようなものだ。特に同年代の働く若い女が抱く不公平感はすさまじだろう。

 私がこう述べると、職業には貴賤はないだとか、個人の自由の制限は独善的だとか、非難する者がいる。
 しかし職業に貴賤がないのなら、それこそ時給換算した給料は同じであるべきで多額の報酬を貰う性産業は不当だ。
 また、確かに個人の自由の制限は独善的だが、まさに正義の話をしているのだから、独善に決まっている。
 よくホストや風俗嬢、パパ活の話になると「納税しろよ」というコメントが見られるが、この「納税しろよ」には発言者の不甲斐ない人格が透けて見える。
 納税を本当に気にしてるわけではないだろう。彼らは、脱税だとか、法律を盾にしないと誰かを否定してはいけないと、思考が檻に閉じ込められてる。本当は、正義に悖るから、許せないのだ。ならば堂々と、己の正義の名のもとに、罪を非難すればいい。

 ホスト、風俗、立ちんぼ、やりたい者はやればいいが、それで多額の金銭を得るのならば、人類の勉学、労働、努力を棄損した罪で断頭台送りにすべきなのだ。

 この問題は他の仕事に関して敷衍すると、そもそも労働の価値を金銭でしか測れない現代人の頭を破壊する必要があるとわかる。
 例えば、家事労働に賃金は発生しないが、多くの価値を創出している。一人暮らしだとしても、一個体(自分自身)を生かし豊にしている。だが現代人が一人暮らしの家事に対して「価値を創出している」と感じることはほぼない。少なくとも、家事をする無職男性と、賃労働をしながら家事をほぼ他者に委託している会社員男性を比較した際に、前者をより評価する者は皆無だ。
 金を稼ぐことが我々の絶対の価値基準になっており、それ以外の指標について考えることさえない。

 結果的に、手段問わずお金を稼げる行為が蔓延する。それが今回だと、ホスト、風俗、立ちんぼ、パパ活として表に現れてきただけなのだ。
 だが社会全体が同じ穴の貉なので、誰も断罪できない。

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