退団するということ⑤〜天華さんの退団に寄せて〜
天華さんの退団発表があった時、
まさか…
という気持ちと、どこかストンと腑に落ちたような感覚と、それ以上にこれからが楽しみな気持ちとが湧き上がりました。
宝塚という世界だけでは勿体無いくらいの表現力、誰もを魅了するダンス、甘美で包容力のある歌声、愛くるしいピカピカ笑顔。どこを切り取っても愛おしい役者さん。
人生初の、客席おりでのハイタッチを、天華さんにしてもらえて良かったと心から思っている今日この頃です。
先日、東京遠征でmy前楽を済ませてきたのは、もう化粧前も白くなっている頃。
3週間ぶりの天華さんは、今まで綾さんや紅さんを見送ってきた時にずっと見てきた、あの輝き、あの表情をしていました。
退団される方の独特の煌めき、オーラは勿論のこと、退団される方だからこその表情があると思っています。
今まで過ごした劇場や仲間への愛おしさ、悔いが残らないように持ちうる全てを発散するエネルギー、積み重ねた全てを発揮せんと言わんばかりの表現力。そういったものが表情に表れているような気がして、毎回退団者の皆様を見送る時は、ハッとするものがあります。
指田先生のショー「VIOLETOPIA」は、龍の宮物語や冬霞の巴里などの先生の作品のように、あるいはそれ以上に?人間の根底のところを描く表現力が求められているような気がします。特にシャンパンの場面。
初めてこの公演でこの場面の天華さんを観た時、天華さんの退団公演がこの作品で良かった、と心から思いました。
礼さんを中心に踊る瞬間、天華さんの、あの狂気混じりの笑み。ああ、この顔は、天華さんだからこその。天華さんにしか描けない、天華さんだけの表現だ…美しく、恐ろしく、甘美で、「欲」で、まさに「人間」。そんな表情を見て、そんな天華さんの表現を見て、今まで10年以上積み重ねた天華さんの持ち味全てを感じられたような、そんな気がしました。
退団される皆様の、あの笑顔が大好きです。
そして、その笑顔を見るたびに、どうしようもなく切なく、寂しく、でもその笑顔を見れたことへの喜びもあります。
まだ、天華さんが退団するという実感は湧きません。
当日、劇場で天華さんのご卒業を見届けた時、何を感じるのか、楽しみなような、怖いような。
ただ、あの笑顔。
まっさらで、清廉で、強いエネルギーがあり、最高にかっこいいあの笑顔が、天華さんで見られたことは、(正直言葉にできないくらい寂しくて、ずっと天華さんを見ていたいくらいなのですが)きっと一生の財産です。
どうか、千秋楽まで天華さんが幸せなお時間を過ごされますように。
まずは、千秋楽まで。
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