【海鳥野ガクの精神鑑定録】レビュー|クトゥルフ要素アリの短編ADV!
梅雨とは思えぬ暑い気温が続く時に一つのホラーADVが配信開始された。その名も「海鳥野ガクの精神鑑定録」。
ホラーといってもガッツリ恐怖描写があるというよりも、ちょっとした流血表現がある程度。びっくり要素や過度にグロテスクな表現はなく精々肝がほんの少し冷える程度。ホラーが苦手な人も安心安全。ちょっとした涼しさが得られるぞ。
不可思議な症状を持つ患者から6日間生き延びろ!
プレイヤーは精神科医「道島」となって患者の「海鳥野 ガク」と交流し彼の精神的なケアを行っていく。交流方法は患者の様子を見る「観察」と話しかけて情報を引き出したりする「対話」の二種類。物語を進めるにつれて解放される資料も重要なキーを担っている。
最初は普通の精神病に悩まされた患者かと思われた海鳥野だが、翌日病院の駐車場にカラスの死骸と謎の魔法陣が……!
不気味な出来事はそれだけにとどまらない。海鳥野曰く、なにやら彼の頭の中には謎の存在「はーくん」が住み着いているらしい。しかもその存在は正式名称を人間が発音するのは難しく、夜しか活動ができないという……。
うーむ……匂ってきたなぁ……なぜだか水っぽい匂いが……。
はーくんなる存在はイマジナリーフレンドではないかと怪しみつつ、夕方の面談をするため彼の病室に赴くとそこには普段の内気な性格とは真逆の海鳥野の姿が……!
なんと、はーくんはイマジナリーフレンドや妄想の類ではなかった。別人格なのかと混乱する道島に「海鳥野の脳と精神が回復するまで昼の話し相手になれ、余計なことをすれば殺す。」と言い放つはーくん。こうして道島は海鳥野が回復する6日目まで、はーくんに殺されないよう過ごす羽目になってしまったのだ……。
選択肢に自身の命運をかけろ!
そんなこんなで、はーくんに命を握られてしまった道島。余計なことをしなければ殺されることはないので、当たり障りのない話をして6日目まで過ごせばいいものだが、彼はクトゥルフのクの字も知らなければ職務態度優秀なお医者さん。そもそも、はーくんの事を海鳥野の別人格ではないかと疑っているし、海鳥野の精神的異常も脳のせいじゃないかと疑い、海鳥野が嫌がるMRIを隙あらば受けさせようとする。よしときなさいって。
そんな道島の命運を握るのが物語の要所要所で出てくる選択肢だ。プレイヤーは海鳥野やはーくんの機嫌を取りながら、原因解明するように道島の行動を選択肢を選ぶことで操っていく。ちなみに各選択肢を間違えたらゲームオーバー&バッドエンド直行!うーむ、人の命とは儚いものですなぁ。
ただフラグ管理や分岐といったややこしい要素はなく、トゥルーエンドは一種類かつ一本道。たとえバッドエンドになったとしても、ワンクリックで直前の選択肢まで戻れるので気軽に道島を死へ向かわせることができるぞ!うーん人の命が軽い!
さらにバッドエンドはただ死ぬだけでなく、死ぬまでの物語がちゃんと描かれている。中にはバッドエンドでしか判明しない内容もあるので、一見の価値あり。決してむやみやたらに道島を殺しているわけではないですよ。
このクオリティで無料!?PC以外でもできるぞ
本作はバッドエンドに何回か行ってしまってもトゥルーエンドまで約1時間と手軽なうえ、なんと無料!Steamで配信しているだけでなくブラウザでもプレイできるためSteamのアカウントが無くても、なんだったらPCじゃなくてもプレイすることができる。
……初見の感動を奪いたくないので詳しくは言えないが、トゥルーエンドの時に再生されるムービーは無料作品とは思えないほどの出来。サクッと遊べる作品なのでぜひプレイしてみてほしい。
続編の予定も……
本作は現在制作中のゲームに登場するキャラクターのスピンオフ作品という立ち位置のもよう。メインキャラである海鳥野 ガクはそちらの作品でも登場するようなので、本作をプレイしてキャラクターや絵、雰囲気が気に入ったと思った方はぜひ作者のHPやTwitter(現:X)を随時確認していただければ幸いだ。