企業に潜む「欲求不満型野心家」
私が「欲求不満型野心家」と呼んでいるタイプの人は、
仕事はできるが承認欲求が強く他人を否定する傾向があります。
彼らは高いプライドを持ち、
感情的になりやすいため、
自己正当化に走る傾向があります。
さらに、組織やリーダーを批判し、
周囲を巻き込もうとします。
ただの嫌なタイプの人であれば、
ある程度放っておけば大丈夫ですが、
問題はこのタイプの人が仕事ができる場合です。
彼らは承認欲求が強いため、
自分を認めてもらいたいという気持ちから、
一段と仕事に打ち込むことができます。
結果として、
彼らが仕事を得意とするケースも多いです。
仕事ができるようになると、
周囲から尊敬される存在となります。
そのため、彼らは自らの発言力を利用しようとします。
しかし、この発言力を自分のためだけに使い、
組織やリーダーの統率や雰囲気を乱すことになり、
離職者が出る原因となるケースもあります。
さらに、彼らは主張が強くなり、
「他のメンバーを受け入れられない」と言って派閥を作り、
反発的な態度を取ることもあります。
このような人たちが組織の衰退を招く事例は非常に多いです。
彼らは仕事はできます。
例えば営業成績がトップであり、
経理の分野でも欠かせない存在であるなど、
非常に優れたスキルを持っていることがあります。
しかし、例えば朝9時に出社すると言っていても、
平気で遅刻し、会社のルールを守ろうとせずに自己正当化することもあります。
また、仕事ができる人は自分が求める水準が非常に高いため、
部下にも同じ水準を求めてしまいます。
その結果、部下がその水準に達していないと
容赦なく叱責することがあります。
「なぜこんなこともできないのか」
「この程度の仕事に何時間もかかっているのか」
「なぜこのようなクオリティなのか」というように、
部下への厳しい態度が退職者を生む原因となることもあります。
これらの問題は、
仕事ができるだけに組織への貢献を強く主張することや、
他人を否定し周りを巻き込む傾向があるために生じます。
バランスを欠いた行動が組織の衰退を招く可能性があるので、
彼らの問題点には注意が必要です。
さらに問題なのは、
意見が激しくなると発言力を持ち始め、
社長や上司に対して自身の意見を押し付けようとする人がいることです。
その意見が受け入れられない場合、
彼らは派閥を作り、会社や社長に対抗しようとすることもあります。
過去には、営業成績の優れた人が社長に対して意見を述べました。
しかし、その意見が非常に自己中心的なものだったため、
社長はそれを拒否しました。
その結果、彼は派閥を形成し、
その派閥のメンバーと共に社長に対して居酒屋で悪口を言うようになりました。
それにより、派閥のメンバーも徐々に社長を批判するようになります。
「社長はそんな人間なのか」
「そうだよ、社長はそのような人間だから気をつけた方がいよ」というような意見が広がります。
結果として、社長は孤立し、
支配力を失っていきます。
しかし、社長が不在の間にこのような行動を続ける結果、
社長自身が居場所を失ってしまうこともあります。
その結果、社長が出社拒否になったり、
「会社には自分の敵しかいない」という状況になったりすることもあります。
また、社長が現場のリーダーに業務を任せ、
自身は営業に専念している間に、
リーダーが現場のメンバーに対して「自分がこの会社を回している」
「社長はただの飾り物だ」と言いふらすこともあります。
その結果、現場のメンバーはリーダーの言うことに従うが、
社長の指示には従わなくなってしまい、
社長は居場所を失います。
このような状況で悩んでいる会社もあります。
これらの事例からもわかるように、
組織内で派閥を形成し、
上司やリーダーに対抗する行動が組織の崩壊や
リーダーの信頼喪失につながる可能性があることを認識する必要があります。
上司の独り言が部下にストレスを与えることで、
職場の雰囲気が悪くなる問題があります。
部下は上司が仕事中に「なんだこのメール」「ふざけんな」
「なめてんのか」と言っているのを聞くと、
自分に対してのものかどうか疑心暗鬼に陥ります。
これにより、余計なストレスを抱えて仕事をすることになります。
しかしながら、上司は自分が独り言を
言っていることに気づいていないことがよくあります。
私が面談で相談を受けた場合、
上司に対して「実際に独り言を言っている自覚はありますか?」と尋ねると、「いや、自分はそんなに独り言は言ってないですけど」という回答が寄せられることがあります。
しかし、部下からは「実際に相当な頻度で言っている」と聞きます。
そのような独り言が、職場の雰囲気を乱しているのです。
ただ、上司自身はそのことに自覚がないのが一般的です。
このような場合、
欲求不満型の野心家の上司は承認欲求が非常に強い傾向があります。
「認められたい」という気持ちが強く、
自身の能力を高めようとすることは良いことですが、
自分の意見が通らない場合や他者を否定する傾向が強いと、
組織全体に問題を引き起こす可能性があります。
自己承認というのは、
心の奥深く、自分自身を認めることを指します。
この世で最も認められたい存在は、
他でもなく「自分自身」です。
自己承認が得られると、
欲求が満たされます。
ただし、自己承認が得られない場合は、
非常に強い欲求不満を感じます。
また、「自己価値感」というのは、
自分自身に価値があるという感覚を指します。
他の人より劣っていたり未熟であっても、
自分自身はかけがえのない価値ある存在であるという思いです。
一方で、「自己無価値感」とは、
自分自身に価値がないと感じることです。
これらの感覚は、無意識のレベルで存在します。
そのため、「自分は自己承認を得られている」と
意識レベルで認識することは非常に難しいです。
自己承認ができないと、
自分自身を最も認めたい存在であるが故に、
強い欲求不満を感じ、自己無価値感につながってしまいます。
自己評価が低い人は、
他人から認められることを強く求めます。
仕事をする上で優れているかもしれないけれども、
職場の雰囲気を乱す「自己評価が高すぎる人」や「欲求不満な野心家」の特性を専門家の藤田耕司氏は詳しく述べています。
彼らは有能かもしれませんが、
その振る舞いは組織の衰退を引き起こす可能性があります。
「欲求不満な野心家」は承認欲求が非常に強く、
他人を軽視し、感情的になりやすい特性を持っています。
彼らは批判や自身の正当化に焦点を当て、
他者を否定すること傾向があります。
このタイプの人が一般的な問題であれば、
適切に無視すればなんとかなるでしょう。
しかし、問題は彼らが有能な場合です。
彼らの強い承認欲求は、
仕事に対する熱意からくるもので、
その結果、多くの場合、他人からの承認と尊敬を集める能力を使います。
しかし、彼らは「自分は十分に組織に貢献している」と
自己評価が高まると、組織の運営や雰囲気を乱す傾向があります。
これが離職者を生む原因となることもあります。
また、彼らはたびたび団結と反抗の姿勢を示し、
「受け入れられない」と他のメンバーに対して宣言することもあります。
これらの人々が組織の衰退をもたらす例が数多く存在します。
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