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ドイツ公演同行レポートパート1(Disc 1974年12月21日号)

ツアー中のクイーン


本紙が「ツアー中のクイーン」特集記事に独自の写真が欲しいと思ったのがすべての始まりでした — 自然で、ありのままのショットを。でもそういう写真を撮れるのは誰でしょう? 何しろクイーンはドイツにいたのです。答えはすぐに出ました! カメラマンの名前はジョン・ディーコン  — そして彼はたまたま、そのグループで素敵なベースラインを弾いてもいます。

というわけでドイツへ発ちました。クイーンと一緒の旅がどんなものかや客室乗務員がフレディに言ったことを知りたかったり、すごい特ダネ写真を見たければ続きをお読みくださいね。

3:55 フランクフルト空港に到着、クイーンのドイツのレコード会社の元気いっぱいの女性が出迎えてくれました。興奮でぞくぞくするようなホテルまでのドライブの間、彼女は完璧な英語でクイーンの良さを激賞し、「お世話をする」のにこれ以上に素敵で協力的なグループはないと断言します。

4:05 巨大なドーム型の建物を通過。ハイディ(小柄で元気いっぱいな彼女の名前です)がそれは17-18,000人を収容のコンサートホールで、ピンク・フロイドやディープ・パープルが満席にしてきたと説明してくれます。「一年以内にはクイーンもあそこをいっぱいにしますよ」と彼女は言い、誰も異論を唱えようとはしません。

4:20 フランクフルトのパークホテル。ロビーに足を踏み入れたところで、私たちは何か間違いがあったと確信します。だってクイーンを見に来たんですよね? ではスレイドのメンバー3人は一体このロビーで何をしているのでしょう? まるで歓迎パーティーみたいですけれど。

4:30 謎は解けました。スレイドもヨーロッパツアー中で、たまたま車で一時間ほどのところでのギグをするのでクイーンと同じホテルに滞在しているのです。私はロングコートと白いファーのポンポンつきの帽子姿で華麗に歩き回っているノディ(※スレイドのフロントマンのノディ・ホルダー)にクイーンと会ったか尋ねます。「もちろんだよダーリン。僕とうちのメンバー、それに向こうの2,3人で昨日の夜クラブに行った。何時かは覚えてないけど遅くに帰ってきた。いいやつらだ」

4:45 スレイドのツアーマネージャーのスウィンが彼らを迎えに来て、車から私たちに手を振るデイヴ・ヒル(※リードギタリスト)がちらりと見えます。みんなあいさつを交わし、時間があったスレイドは前夜のギグには満足できなかったがツアーはうまく行っていると教えてくれました。「オーディエンスは良かったんだよ」とドン(※ドラマーのドン・パウエル)が言い、「そう、悪いのは自分たち」とつけ加えるノディでした。「僕たち、クソだった!」

5:00 私たちの「パーティー」はいったん休会  ―  それぞれ自室に向かい、バーへドイツ流に軽く飲みに行く前に身だしなみを整えます。

7:00 何か食べる時間で、がら空きの食堂で戸惑った様子のウエイターがサーブしてくれます。私たちはドイツ語がよく分かりませんが、誰も毒を盛られたりせず食事は無事に終わりました。

7:30 「君たちここに隠れていたんだね、ディアーズ(※フレディが人に呼び掛ける時の口ぐせdearの複数形dears)。会えて嬉しいよ」。もちろんフレディです。目を上げると私たちを探しにきたクイーン全員がいました。みんなが一度にしゃべったり、ハグしたりキスしたりして挨拶したりで数分ほどカオスになります。

7:35 この頃には食事をしに入ってきた数人の人たちが無関心なふりをあきらめて、バンド、特にフレディをじろじろと見ています「(2、3週前の本紙の)ポスターはラブリーだったよ、ディア」とフレディ。「でも次は誰があのキメキメポスターになるの?」。あのカテゴリーは彼だけのために考えられたものだと私は説明しなければなりませんでした。そして彼はそれなりに嬉しそうです。

7:40 フレディの部屋でお酒タイム。ブライアンがツアーのこれまでについて話してくれます。「スウェーデンはすごく良かった ― 人々は親切だったし、僕たちや作品についてよく知っているのに驚いたよ。イェーテボリではほとんど暴動みたいだった」。成功について話す時のブライアンはいつだって驚いているように見えます。まるでこの12か月でクイーンに起こったことが本当は信じられないかのように。

実はヨーロッパに関してはバンド全体が慎重でした ―  一度も行ったことがなく、ロジャーが全英ツアー最終日の夜に冗談めかして「俺たちのヨーロッパ爆撃ツアー」と言っていたのも彼らの不安な気持ちを強調していました。

心配する必要などなかったと今はわかります。オーディエンスの手強さで知られるドイツでさえうまく行っていましたから。ミュンヘンはいいギグでした。

「彼らは立ち上がるまでにすごくかかる。セットリストの3分の2ぐらいまではただ音楽の中で座って、飲んで、それからようやく立つんだ。この人たちは何を考えているんだろうとステージからは少し心配になるけど、ミュンヘン、最後にはすごく良かった。彼らは熱狂していたよ」

7:45 サポートバンドも見るなら私たちは出かける時間です。よく噂を聞いているレーナード・スキナードなので面白くなるかもしれません。

7:55 ギグです。手の込んだ装飾の大きなホールですが、ステージは私がこれまで見た中で最小です。幸いにもスキナードはそれほど動き回らないバンドですが、フレディはどうするのでしょう?

実に奇妙なオーディエンスです。予想していた長髪のドイツのファンたちのかわりに、4分の3ほどはごく短髪でランバージャケット姿の米兵なのです。典型的なクイーンのお客ではありませんし、空気中に広がる妙なにおい(※マリファナ?)が彼らは「リラックス」するであろうと思わせます。

スキナードはまさにこのオーディエンス好みだと気づくのは、この場合特に意外ではありません。私の好みではないと言わねばなりませんが。彼らのライブは視覚的ではないですし、その音楽もオリジナルとは言い難いもの。ストレートなブギーバンドとしてならかなり良いです。ロジャーがロングのドレープコートの「変装」姿で出てきて見ていましたが、やはりそれほど感心してはいません。でもオーディエンスについては心配しています・・・。

クイーンはよく受けて、見たこともないほど頑張り続けます。オーディエンスは礼儀正しいですが、活気というものがひとかけらもないようです。温和なブライアンでさえ立ち上がろうよと促す気になるほど。一方、ロジャーはもう少し無礼でよりダイレクトです。「頼むからケツ上げてくれない?」

最後にはそのとおりになり、遅すぎるぐらいでしたが彼らは足を踏み鳴らし拍手喝采、歓声を上げます。「ビッグ・スペンダー」をやるためにステージに戻ったフレディが勝ち誇って「今こそ君たちを捕まえるよ」と言いますが、本当にハードだったのです。

ステージを降りた彼らがおそらくどんな気持ちかわかるので、立ち直る時間をあげるため私たちはホテルに戻ることにします。全体としては私たち一行の反応は失望とフラストレーションのそれで、オーディエンスを抱え上げて揺さぶってやりたかったという気持ちも含まれます。

11:30 再びバーに(そしてジャーナリストはみなアルコール依存症というイメージに異議を唱えようとする私がいます)。クイーンのメンバーたちが姿を見せ、私たちはみんな(それにスレイドも)まったりと飲んだり今夜のギグについて話したりします。ジョンですら大変だったよと打ち明けてくれましたが、彼らは私が思ったほどは落ち込んでいません。スレイドは今夜良いギグができたので、私たちの集まりを用心深く注視していたホテルのスタッフにとっては安心なことに、全体的には落ち着いた雰囲気です。

12:00 クイーンが何か食べられるクラブへと出かけます。彼らは一日食べていないので、私たちはレストランを買収してステーキを注文しまくります。私の席はロジャー、フレディ、そしてもう一人の女性ジャーナリストと一緒。食事(飲み物も)を待つのに退屈していると、ロジャーがマッチを使ったかなりくだらないトリックを見せてくれました。見るからに単純なものなのですが、私たちは大笑いしたり何度も実演してもらったりしてようやくその仕掛けを見破れました。

1:00
彼らしいエレガントで紳士的なやり方で、フレディが私ともう一人の女性に白いライラックの素敵な花束を買ってくれました。「それはライラックじゃない」と断言するロジャー。「この場で唯一の生物学者(※ロジャーは生物学の学位を持っている)として言えば」。でも彼はそれが何かは言えませんでした!

2:00 疲れ切った一団はホテルに戻ります。クイーンにとってはまだ早い時間ですが、きついギグでしたから。まあでも、明日もう一本あります。

11:00 他の同行者たちに別れを告げるため私は階下へ降ります。みんなロンドンへ戻りますが、私は(ラッキーなことに)ハンブルクにも行きます。彼らも本当は来たがっているのがわかりました。

12:30 クイーンがホテルのロビーに姿を見せました。堂々たる登場です。ファーの襟付きの美しい白いコートを全員が(マネージャーのジャックでさえ)着ています ー 多分それが理由で着ていないフレッド以外は、ですが!

2台の車に乗り込んだ私たち、私の隣にはブライアンとジョンです。「考えれば考えるほど、昨夜のギグはそれほど悪くなかったと思える」と打ち明けるブライアン。「今夜はもっと良くなってほしいけど。地に足をつけておくためには、時にはああいうのも必要なんだと思う」

1:00 空港に到着し、ブライアンがのぞきたがっていたもふもふの動物(※のぬいぐるみ?)でいっぱいのショップなどの寄り道を注意深く避けてまっすぐ飛行機へ。

1:15 手荷物検査を待っているとフレディが前回の検査のことを詳しく教えてくれます。「僕のかばんを開けてマスカラやマニキュア、ブレスレットやサテンのショーツを見つけた係員の男性の表情を君に見せたかったな。最高だったよ」

11:30(※おそらく1:30の間違い)クイーン崩壊。フレディが飛行機に乗り込むと、客室乗務員が彼をまっすぐに見て「あなたたちはグループですか?」と言います。集合していた仲間たちのことです。爆笑されると彼女は戸惑ったようでした。だって彼女は私たちが一緒なのかを知りたかっただけですから。

「通してくださいよ!」とジョンが後方から叫びます。目立ちたくないのなら、クイーンとはどこにも一緒に行ってはだめですよ。

やっと全員が席に着き、私はフレディと話をしました。「これまでのところ、全体的に最高だったギグは予想外の場所が多かったね、イギリスだとニューカッスルとか。昨夜が多分一番やっかいだった」

「ステージがめちゃくちゃ狭くてさ。閉じ込められたみたいで窮屈でたまらなかった ―  何かにぶつかってばかりいたよ。僕はまるで行き場がなくばたばた飛び回るかごの中の鳥みたいだった。でも僕たちみんなすごく頑張ったし、そのおかげでましな気分にはなった」

「このツアー中初めて、4人全員自信に満ちていると感じてる。昨日のギグみたいなことにも落ち込みすぎないで、たった一度の不運にすぎないと自信をもってやり切れるんだ」

「まだ変えたいところがいくつかあるけど、そういうのは時間がかかる。この間の夜、スレイドとそのことを話していてね。僕たち最初はちょっと慎重だったけど、しばらくして何杯か飲んでからはお互い演目のいろいろな部分について話し合った。『キラー・クイーン』は曲全体をやるべきだと言われた。たくさんの人が同じことを言ってる。それ結構難しいんだよ、多重ハーモニーのいくらかを失うことになるから。でもトライしなきゃいけないと思う」

「ひとつ面白いことがあったよ。『シアー・ハート・アタック』は出たばかりだけど、大勢の人がそこからの曲をやってと叫んでいたんだ。『ブライトン・ロック』は大人気で、『谷間のゆり』がお気に入りのファンも多いみたい」

「このツアーではプレゼントもたくさんもらっている。ステージに投げ込まれるもののことをさっき僕たち話していたよね? ステイタス・クオーがゲットするのはトイレットペーパー、僕たちはジュエリーや花なんだ!」

その時、不快な乱気流で私たちの会話は突然中断されました。フレディのリアクションはこうでした : 「わああ、僕のぽんぽんが!マダム(客室乗務員に)、いつもこうなんですか? マイク(威厳たっぷりに手をひらひらさせて)、天気を変えてくれ ―  運に任せるしかないか。外に出してよ!」

3:30 ハンブルクはなんて素敵な場所でしょう。緑豊かでフランクフルトよりずっと美しい。私たちのホテルからは港が一望でき、既に多くの場所がクリスマスツリーを飾っています。とても華やいでいます・・・おまけに雪まで降り始めました。

4:30 ロジャー、ブライアン、マイク、それに私は、多分今が唯一のチャンスなので何か食べることにします。フレンドリーなウエイターがいくつか質問をしてきて、バンドの名前がクイーンだと知るとなぜかと尋ねます。ロジャーがまぶしい笑みを浮かべて言いました。「俺たち全員がイケてるクィア/ホモだからさ!」。私たちがこのだいぶ混乱した外国人に説明してあげられる前にサウンドチェックの時間です。なので会場へ向かいます・・・

パート2は次週号に (※こちら

ローズマリー・ホライド

(ジョン撮影の写真とキャプション)

左:このサウンドチェック、さっさと進めてほしいよ
右:鏡よ鏡、一番美しいのは誰?
左:ポール(※表紙に写っているP.マッカートニー)って誰?
右:忙しそうなマーキュリー氏
左:ダルタニアンにはかなわない
右:ジャックが見張ってくれる間にひと眠り
左:アイライナーがうまくいかないよ
右:これは誰のでしょう? 答えと、シアー・ハート・アタックがなぜ74年のベストアルバムなのかを20ワードで送って下さい。当選者には特別な賞品があります


表紙
「クイーンメンバー撮影の写真」
「クイーンのジョン・ディーコン:野放しのアマチュアカメラマン」


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