見出し画像

ロジャーインタビュー(Mirabelle誌 1974年6月1日号)

And To Crown It All ... It’s Queen


   ロンドンのレインボーシアターでのコンサートは完売、モット・ザ・フープルと一緒のアメリカツアーは成功、大西洋の両側でヒット曲を出し、そしてアルバム2枚がヒットチャートで好成績を収めて「クイーン」はどこに行っても通用する単語になりました。過去5年の偉大なイギリスのバンドたちに彼らは仲間入りできるでしょうか? 彼らがファンに愛されジャーナリストから嫌われるのはなぜでしょう? そしてこのグループは本当は人としてはどんな感じなのでしょう?

   クイーンのドラマーのロジャー・テイラーのインタビューに向かいながら、私はそのようなことを考えていました。ロジャーはグループにとって優れたスポークスマンです。レコードでもステージでもまず注目されるのはリードシンガーのフレディ・マーキュリーですが、クイーンで一番ルックスの良いメンバーとしてほとんどの人の票を集めているのはロジャーです。実際、ミスター・テイラーは実物も写真と同じぐらいカッコいいですよ。彼は優しい表情とソフトなブラウンの髪、とびきり大きな目に美しいまつ毛の持ち主です。話し方は穏やかですがとても知的で、自分や一緒に仕事をする人たちのことをよくわかっています。私たちは一応、どのようにしてクイーンに加わったかを彼に尋ねました。

   「自分はノーフォークの生まれだけど8歳の時コーンウォールへ引っ越した。学校は大嫌いで、ビル・ヘイリーやエルヴィス、ジェリー・リー・ルイスのような人たちが大好きだった。ビル・ヘイリーが一番のアイドルだった。よく彼の真似をしようとしていたよ。シャドウズも好きだった。シャドウズ、覚えてる? 誕生日プレゼントにギターをもらって、ドラムの練習は母さんの鍋で始めた。のちに自分のキットを手に入れ、学校を卒業して歯学部に進んだ。ロンドンに住んでケンジントンマーケットで働いていて、そこでフレディと出会ったんだ」 

   「当時彼はデザイナーだった。ブライアンは物理学の学位を持っていた。ディーコン・ジョン(※原文ママ)は優等の電子工学の学位を持っていて、僕たちが最初にツアーに出た時すごく助かった」

   この4人組はスマイルとなり(※原文ママ)、全国あちこちでギグをしました。時は過ぎて彼らの評判は高まり、ついにデモを作りました。彼らの曲のサンプルのテープのことです。ロジャーは思い出します:

   「デモは良かった。だって聞かせた人はみんな僕たちと契約したがったから。それで契約したのがレコーディングスタジオの製作部門であるトライデント。誰もがトライデントを使ったみたいだ。デヴィッド・ボウイやカーリー・サイモン、ビートルズのジョージ・ハリスンやエルトン・ジョンのような人たちも」

   やりたいようにできる自由がクイーンに与えられてロジャーはかなりハッピーでした。でも彼らに注目した人は誰もいなかったようです。それどころか、批評家たちはこのバンドにかなり厳しく当たったのです。ロジャーはそれで動揺したのでしょうか? そしてバンドはどう感じたのでしょう?

   「批評家たちは、僕たちを下手なミュージシャンで他のバンドを模倣していると言った。だけどそれは違う。僕たちは自分たちがいいと思うことをやっている。いいと思うものを着ているし。フレディはロッド・スチュワートからアリス・クーパーまであらゆる人と比較されてきたんだよ。でも大事なのは観客が僕たちをどう思うかだ。僕たちは国じゅうでギグをするという昔ながらのやり方で成功したんだ」

   しかしアメリカでは、クイーンの音楽そのものが評価されました。彼らがアメリカの地を踏む前から大ヒット曲がありました。彼らがモット・ザ・フープルとアメリカの人気バンドドゥービーブラザーズと共に演奏するため到着した時には、イギリスと同じぐらい騒々しく熱狂的に迎えられたのです。私たちはロジャーにイギリスとアメリカの違いをいくつか教えてと頼みました。

   「サイズだよ!」と彼は即座に言いました。「アメリカでは何もかもがずっと大きい。イギリスでのコンサートのように20マイル運転して行くのではなく、みんな飛行機に飛び乗ってショー毎に200マイル移動するんだ。自分たちが3月にイギリスでやったツアーは、この旅の準備になったと思う。コンサートホールも全然大きいね。自分が巨大なスタジアムと小さめの劇場どちらでやる方が好きなのかはまだ分からない。アメリカの観客は飛び跳ねるようなセットリストが好きだね。ほら、テンポが速くて荒々しいナンバーが多いやつ。どれだけの人が僕らの曲を知っていたかにはびっくりだった」

   「ああいう大きなステージサイズへの適応は少し不安だったけどうまくいった。アメリカで自分たちがしたことを見ると、イギリスは世界最高のロックバンドを生み出すと僕は前よりもっと確信している」

   「イギリスのバンドは、注目してもらうためには無理をしてでも頑張らなければならない。それは実社会の洗礼と呼ばれていると思う。毎年結成されるイギリスのバンドのどれほどが、レコード契約までたどり着く前にあきらめることか。でも、成功するバンドというのはその位置をつかむまで頑張ってきた者たちだ」

   私たちはロジャーに現在影響を受けている人は誰かと聞きました。今もビル・ヘイリーが好きなのでしょうか?

   「もちろん。良いものは何でも好きだ。ザ・フーや古いビートルズが大好きだよ。レコーディングスタジオでザ・フーのピート・タウンゼントに会ったのは、自分たちに起きた出来事で一番エキサイティングなことのひとつだった。ロックミュージシャン同士って仲良くやれることが多いんだ、ほとんどの人が考えるよりずっとね」

   「自分がこれまで見た中で最も思い出深いもののいくつかはコンサートだと思う。ブリストルでジミ・ヘンドリックスを見たし、エイルズベリーではデヴィッド・ボウイがミック・ロンソンとやった最初のコンサートを見た」

   自らもファンだった経験があり今はロックスターになったロジャーは、クイーンのファンに何か負うところがあると感じていたのでしょうか?

   「それが責任だよ。人々の好みに自分が影響を与えていると自覚する。僕は自分がいかにアイドルたちを真似していたかや、彼らがどんなものを着ていたか覚えているから。僕は自分自身でいなければならないと思う。自分は天使ではないし、そんな振りをすればそれはうそだ。ファンは馬鹿じゃない。こちらが誠実である時とそうではない時、彼らにはわかるんだ」

   最後になりましたが、他の多くのバンドが届かなかった成功を収めた今、クイーンの定めるゴールは何かと私はロジャーに尋ねました。

   「楽しんでもらうこと。僕たちは全員、ずっとミュージシャンになりたかった。だから今はただ自分たちが一番得意なことを楽しみたい」

Robin Katz




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?