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ドイツ公演同行レポートパート2(Disc1974年12月28日号)

ツアー中のクイーン パート2

ハンブルク編:名カメラマンジョンからさらなる写真も

(パート1はこちら

5:00 帽子を見つけたフレディ、それを本物の騎士みたいなスタイルでかぶってステージに上がらずにはいられません。でもお遊びはじきに終わり、クイーンは突然プロ中のプロのロックグループになります。メンバーそれぞれに出番がまわって、私はロジャーの複雑なドラミングを間近で実際に見せてもらえます。素晴らしいドラマーだと知ってはいましたが、至近距離でそのエネルギーとスタイルを目にするのはとても感動的です。

5:30
クイーンに激しい口論が勃発 —  意見が対立し、ブライアンでさえ汚い言葉を吐いていたので周囲は少しの間固唾を呑みます。でも嵐は過ぎ去り、部分部分やフレーズの演奏から突然「フリック・オブ・ザ・リスト」のフルバージョンが始まって、「ナウ・アイム・ヒア」へと続きます。

6:30 バンドはようやく満足しました。彼らを一度も聴いたことのない男性が近づいてきて、サウンドとレコードに近い音に感心したと言います。「ただのサウンドチェックだよ、ディア。もしあれが好きなら今夜はきっと気に入るはずだよ」

6:45 他のメンバーは休憩に入りますが、ブライアンはまだ少し興奮しています。だから彼は一杯のシェリーを楽しみ ― 「本当はだめなんだけど」―  ただ話をします。ご両親(レインボーでお目にかかりました)は今のあなたの状況にいくらか驚いていらっしゃったと私が言うと、彼は同感だといいます。メイ夫人は「私どもはずっと、息子はどこか山の上の天文台に落ち着くだろうと思っていました」と打ち明けてくれましたが、勉強好きで聡明、そして思慮深い彼のような息子ならそれも当然ではないでしょうか?

「あの上は本当に平和なんだ」と遠くを見るような表情で言うブライアン。もちろんロックンロールビジネスは正反対です。でも彼はそれが本当に大好きなのです。「それに、苦労して稼いだ金で僕たちのレコードを買ってくれる人たちのことを考えるとすごく謙虚な気持ちになるし、同時に誇らしくも思う」

一番お気に入りのグループ(ザ・ビートルズ)についての軽い会話で気分が少し上向いたブライアンはマニキュアを塗り直すためにふらりと出ていきます。「あれはいつも気分を落ち着かせてくれるんだ」

8:30  ギグに向かう準備が整ったクイーン。サポートバンドを擁するライバルレコード会社がギグの妨害を企んでいるとの噂にボルテージが上がっています。「やってみろよ」とロジャーが獰猛な表情で言います。

9:00  スキナードはかなり受けていましたが、会場は熱狂とまではいきません。でもクイーンがステージに登場するとすぐにそうなります。照明が点滅し、「ナウ・アイム・ヒア」の出だしでフレディが現れると大歓声、曲が終わると喝采がずっと続いて2曲目を始めるまでに5分ばかりかかったほど。ステージから安堵感が漂ってくるようなのをその脇に立っている私は感じます。そしてそれは演奏に表れます・・・クイーンはリラックスし、それぞれがベストを尽くすのです。満足げで勝ち誇った様子のフレディ、ほほえむブライアン、嬉しそうなジョン、そしてロジャーは自分の音楽に熱く没頭するのでした。照明と音響、見事です。

11:00  ギグ終了。アンコールはすさまじい拍手喝采で観客は帰りたがりませんでした。楽屋ではお祝いになりますが、ロジャーは少し顔色が悪いです。「最後にドラム台から降りたらステージにすき間があったんだよ。そこで転んで伸びちゃった。1、2分してからローディーのひとりが俺が倒れているのを見て大丈夫か聞いてくれた。彼を見上げて『最高』と言ったよ」

でもロジャーはサザンコンフォート少々の助けを借りて間もなく回復しました。私たちが打ち上げに出かけようとしているとカメラマンが何人か来て、クイーンはいつものように止まって写真を撮らせてあげました。ロジャーはそれに応じられるぐらい大丈夫だったのかとの疑問には返答がありました。「イエス、もしあなたが彼の髪をやってあげるなら!」。ジョンが床に寝そべっていて、私たちは彼が写真の任務に真剣になりすぎていると思いました  —  彼はバスルームの中のブライアンを撮ろうとしていたのです。

12:00 ナイトクラブでの食事へ —  スコッチのボトル何本かとステーキ少し。テーブルの上の氷のボウルがストレス発散の格好の道具になります — 逃げきれなかったロジャーはすぐに服のあちこちに氷のキューブを落とされて、笑うのと冷たいのとで身をよじることになりました !

ディスコを聞きながら、クイーンが良いディスコダンスのレコードを書くのもいいんじゃないかと思うとブライアンが打ち明けます — 考え込む彼の表情からすると、そんなに先の話ではないでしょう。

2:00(あるいはもっと遅い)ハンブルクに行くなら有名なレーパーバーン(※歓楽街)のクラブを訪れないわけにはいきません。私たちが行ったのはかつて伝説的な「スタークラブ」(※ビートルズも演奏したクラブ)だったところで、メンバーたちはそれを知って喜びます。みんなショーにふさわしいムードで楽しみますが、フレッドは自分ならもっとうまくできたはずと言ったらしいですよ。

午前3時か4時、あるいは5時 — 愉快な夜の後、ようやくホテルに戻ります。クイーンはハッピーで、今は残りのヨーロッパ、その後に続くアメリカ、オーストラリア、そして日本を征服しようと奮起しています。残念ながら私はロンドンに戻らなければなりませんが、これほど楽しい2日間はそうありませんでした。ヨーロッパでうまくいっているバンドがほとんどない中でクイーンがそこを席巻するのを見て、来年の今頃には彼らの王国に全世界が加わっていると確信しています。ぜひ一緒に行ってそれを見たいのですが仕事があります。そして、さよならを言う私はその夜ドイツのファンたちから何度か聞いたフレーズをまねるのでした。「グーテンナハト(※ドイツ語でグッドナイト)、ディアーズ(※フレディが人に呼び掛ける時に使うdearの複数形)」。

ローズマリー・ホライド


(ジョン撮影の写真とキャプション)

左:チューニングの時間  — カメラ担当者からスタート
右:僕の堂々たるポーズだよ、ディア
左:スマイルプリーズ、どっきりカメラです
右:手首をフリックするだけ・・・



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