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第6節　ファジアーノ岡山戦

renren2181

　岡山を圧倒して、ジェフペースで試合を進めましたが、1－1の引き分けに終わってしまいました。この試合は2点、3点取って勝たなければいけない試合で、昇格を目指しているのであればこうした試合は確実に勝たなければいけません。ただ、ビルドアップの部分では成長しているように感じましたし、繋いでいくための立ち位置がしっかりと取れていたことが多かった。クロス攻撃などファイナルサードでのチャンス構築については改善が必要だと思いますが、今後に期待の持てる試合内容でした。

J2リーグ　第6節
ジェフユナイテッド千葉　1－1　ファジアーノ岡山

スタメン

・ビルドアップの急成長

　自陣でのビルドアップでミス少なく、相手のプレスをいなし、簡単にプレス回避をしているシーンが多く、かなり驚きました。立ち位置など原則がしっかりと落とし込まれるようになり、安定したビルドアップから前進をすることができていました。
　ただ、クロス攻撃などファイナルサードでの攻撃の質はまだまだ課題で、決定的なチャンスシーンをもっと増やしたいですね。まあ、後方からのビルドアップが安定しないと、ゴール前まではたどり着けませんし、まず第一歩って感じですかね。これを継続していくことが大事です。

①攻撃時の全体像

　攻撃時は図のような形で、1-2-3-4-1(GK含む)のシステムでビルドアップを行っていました。小林がアンカーの位置に、松田がCB－WBの中継地点作り、田口は中盤のタスクに加えて中継地点作り、田中と日高が基本的に幅取り役で、風間と見木がライン間を狙った配置でした。この試合でキーとなったのは風間でしょう。風間をスタメンで起用した経緯について小林監督はこのようにコメントをしています。

対岡山”の分析を進める中で（風間）宏矢のポジションがキーになると思っていました。彼の特徴とタスクがマッチしているという意味でスタメン起用を決めましたし、しっかりと期待に応えるような働きをしてくれたと思います。

https://jefunited.co.jp/matches/contents/383

　風間はムークの裏や脇を狙った立ち位置を取っていてそれが非常に効果的に働いていました。

3分

　例えば、3分のシーン。一耀から松田へと繋がり、松田は岡山のプレスを受けますが、SHの背後・ボランチの脇でフリーになっていた風間にダイレクトで出して、プレス回避をしました。このように序盤は風間が相手に捕まらない立ち位置を取って、プレスの逃げ道となるシーンを多く作りました。

　風間がフリーの状況を多く作り出すことができた要因として小森の存在が大きく関係しています。
　小森は巧みなオフザボールで相手の背後をよく狙っていました。ライン間で漂う風間を潰しに行くべきなのはバイスになりますが、バイスがプレスに行くと小森に背後のスペースを使われてしまいます。実際に3分のシーンでもプレスに行こうと少し前に出たバイスの背後を狙った動き出しをしていました。また、ジェフの先制点のシーンも小森が手薄になった岡山DFラインの背後を突いて生まれたゴールでした。

　柳の視野に入らないように背後に潜って、斜めに抜け出す素晴らしいオフザボール。代表入っている浅野とかよりも全然オフザボールが上手いです（笑）
　このようにCBがライン間の選手を潰しに行くと小森に背後のスペースを突かれてしまう。そのため、風間がフリーになる状況を多く作りだすことができました。
　ただ、前半途中からムークが風間をマンツーマン気味で対応するようになり、風間がフリーになることは序盤に比べて少なくなりました。これによって小林が空き始め、左サイドでもボールが動くようになりました。

25分

　25分のシーンでは風間がムークにマークされますが、小林がその分空いて、松田と小林のパス交換から逆サイドの大輔へと展開することができました。
　前半途中からムークは風間を見るようになったため、小林に対するプレスが若干甘くなりました。また、25分のシーンのように風間に引っ張られ、岡山の中盤がジェフの右サイド側にスライドするため、左サイドが空くようになりました。

　田口が図のような左SBの位置で受けて日高を押し上げ、左サイドの田口日高見木の3人でボールを動かすシーンを途中から多く作り、ゲームを支配しました。これが用意していた形ではなく、試合中の選手たちの判断によるものというのが凄い…！
　他にも小森が相手ボランチの間に降りて受けるなど風間がマンツーマン気味の対応を受けたことで柔軟に立ち位置を変えて対応することができていました。
　後半途中までは岡山に対して立ち位置で優位性を取って、常に後出しじゃんけんができる状況を作っていました。小林監督は相手によって戦い方を変えることが多いので次の試合ではまた変わった形になる可能性もありますが、こういったビルドアップを今後も継続していきたいですね。

②田口松田の気が利く立ち位置

　この試合では田口と松田がCB－WGを繋ぐ役割を担っていて、とても効果的な立ち位置を取れていました。

16分

　16分のシーンでは岡山の前プレを受けますが、田口がSBのような立ち位置を取って、大輔からダイレクトでボールを受け、プレス回避をすることができました。
　このように田口がSB化してビルドアップの起点となったり、プレスの逃げ道となることが多く、これもビルドアップが上手くいった要因の一つです。
　松田も同様に中継地点を作って、CB－WGを繋ぐ役割を果たしていました。松田もロストが少なく、逆サイドへと展開するなどしてプレス回避ができていてとても良かったと思います。

　CB→WGへのパスは距離が遠いため、難易度が高く、通すにはWGが降りてこないといけなくなってしまいますし、ここが遠いままだとサイドが繋がらなくなり、嵌る原因にもなってしまいます。この間を中継することで良い距離感を保ち、スムーズにWGへとボールを運ぶことができます。
　また、松田に関してはCB→WGのパスコースを作るのが非常に上手いなと感じました。

　図のようにCBの一耀が開くと松田が中盤の位置に入り、WGの田中へのパスコースを空けるような動きをしていました。
　このように中盤の位置に入ることでSHを内に絞らせることができますし、WGに入った後の展開で中盤での受け手を増やすこともできます。
　こうした松田の動きは気が利いていてかなり良かったです。
　田口松田ともにサイドに張りすぎるなど修正ポイントもありますが、この試合では2人の立ち位置がよく効いていました。

③ポイントに立つアンカー

　アンカーに入った小林は2トップ間のポイントに立つことが多く、ここはしっかりと原則が落とし込まれているように感じました。
　ここにアンカーの選手が立つことでCBへのプレスを行きにくくさせることができます。
　岡山はルカオが結構張り切って前プレすることが多く、それが少し中途半端な印象を受けました。また、岡山のボランチも風間や見木を気にして極端に小林を潰しに行くことはしてこなかった。そのため、2トップ間に立ち位置を取る小林にボールが入ることが多く、ここから逆サイドに展開してプレス回避をするシーンなどを作れていました。
　この試合の小林は立ち位置を間違えないことが多く、サイドに入った時のサポートも良かったですし、最終ラインに降りすぎるなど動きすぎることも少なかったので小林に関してもよく効いていたと思います。

④クロス攻撃の共通認識

　ファイナルサードでの攻撃はまだまだ課題が多く、特にクロス攻撃についてはもっと共通認識を深めていかねばならないと感じました。
　中1枚なのにアーリークロスを上げるシーンもあり、もう少し整理しなければならないと思います。
(もっと書きたかったですが、時間がないので割愛します…)

・岡山のシステム変更による影響

　岡山は立ち位置で劣勢に陥り、ジェフのプレスにも屈していました。しかし、システム変更により後半途中から盛り返してきました。

①鈴木大輔vsルカオ

　大輔とルカオのマッチアップは見ごたえがありましたが、大輔がルカオの自由を奪い、うまく対応していたと思います。
　ここまで失点に絡むことがよくあり（山形戦など仕方ないのが多い）、ビルドアップもあまり得意なタイプではないため、批判されることが多かった大輔ですが、ルカオにほとんど仕事をさせませんでした。ルカオをターゲットにして蹴ってくることも多かった岡山ですが、大輔の奮闘により、流れの中から危ないシーンをほとんど作らせませんでした。
　ビルドアップに関しても運ぶようになっていましたし、この試合の大輔は良かったですね。

②システム変更による影響と空いた左大外

　岡山は守備時はジェフの立ち位置によって劣勢となり、攻撃時に関しても中盤が効果的な立ち位置を取れていない印象でした。単純に中盤での受け手が少なかったように思います。
　こうした問題が起こっていた岡山は後半途中から3-4-2-1へのシステム変更をしてジェフの前線に対してマンツーマンでマークにつけるような形を取り、攻撃時に関しても田部井が入ったことで中盤での受け手が増えました。ジェフ側の運動量低下もかなりえいきょうしていそうでしたが、このシステム変更によって盛り返すような時間帯を作りました。
　ただ、このシステム変更によって、左大外のエリア(岡山右WB裏)が空くようになり、椿や日高のスピードが活きる展開になりました。
　実際に椿がサイドをえぐってクロスを上げるシーンを多く作っていて、田口のヘディングシュートのチャンスシーンも生み出しました。

・最後に

　もっと書きたいことはたくさんありましたが、時間がなかったです、申し訳ないです。
　とにかくビルドアップは良かったですし、勝たないといけない試合でした。ただ、ファイナルサードでの攻撃に関してはもっと工夫が必要で、クロス攻撃の共通認識を深めていかなければいけません。小林監督は相手によってやり方を変えていく感じなので金沢戦はビルドアップの構造が変わる可能性もありますが、良いところは継続して、修正すべきところは改善していかなければいけません。
　次は金沢戦。とにかく勝ちましょう！現地行ってきます！！！

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