
第5節 大分トリニータ戦
こんにちは、私です。
大分戦は1-2で敗戦、これで2連敗&4戦勝ちなしとなってしまいました。
大分対策ということでこれまでの試合とやり方を変えてきましたが、ビルドアップは進歩しているとは言えません。この試合では大分対策がビルドアップの欠陥を生んでしまっているようにも見えました。また、決め手に欠けている印象もありますし、ジェフの武器がはっきりとしていないのが現状です。
選手起用の意図が理解でき、前プレのデザイン力や修正力があるため、私は小林監督を評価していますが、正直このままだとまずい。後ろから繋いでいくという面では選手のビルドアップ能力が足りていない印象も受けます。 私はできる限り理想の形に向けて貫いてほしいと思っていますが…
この試合では勿体ないミスも散見され、選手の自信がなくなっているように感じます。ここからチームを立て直すためには戦術的なアプローチに加えて、小林監督のモチベーターとしての能力も求められます。
J2リーグ 第5節
大分トリニータ 2-1 ジェフユナイテッド千葉

・4バックの狙い
この試合は攻撃時も4バックを用いていて、守備時も大分仕様の嵌め方をしていました。このシステム変更によって大分は思い通りの攻撃や守備ができていませんでしたが、ジェフも大して良くは見えず。ジェフは狙いを見せたものの、選手の距離感の悪さやミスの多さによって自滅した印象です。
①前プレの機能

大分対策として4-2-4のような形で構えて、前から嵌めていく戦い方をしていました。
SHが相手のIBを、FWのどちらかがアンカーを監視し、大分の後方からのビルドアップに制限をかけていました。

28分には良い形で嵌めて、ボランチのところでインターセプトをし、高い位置でボールを奪うことができました。同サイドに限定できていましたし、良いシーンでした。
28分のように高い位置で引っ掛けるシーンは何度か見られ、大分は理想通りのビルドアップができずに苦戦していたような印象です。ただ、前半時間が進むにつれて強度が低くなり、中盤を自由にさせてしまうシーンも見られましたし、継続させるというところは課題になります。
この継続できなかった理由、また、おそらく狙い通りに前で嵌めれていたはずなのに良くは見えなかった理由は、奪った後のビルドアップの拙さ、ミスの多さが原因だと思います。
自分たちでボールを保持して、自分たちのリズムでゲームを運ぶことで、体力のセーブに繋がります。この試合ではミスが散見されましたし、奪った後のイメージが共有できていないように見えました。高い位置で奪っても選手同士で被ったりしてシュートに持ち込めないシーンもありました。これがそこまで内容が良く見えなかった原因ですし、守備強度を持続させるためにもビルドアップの安定化や必ずシュートで終わるようにポジトラの整備をしっかりとする必要があります。
選手の焦りもミスが多発している原因だと思いますし、一回勝てば、結果を出すべき選手が結果を出せればチームの状況もまた変わってくるはず…
②保持時の最終ラインでの数的優位
ボール保持時に関しては、大分の3トップに対して4バックでズレを生み出すことを狙っていました。

これもDAZNで見返してみると意外と効果があって、ジェフの選手の距離感がもっと良ければ、楽にボール保持ができていたように思いました。

松田が高い位置を取るのにつられて、大分の左シャドー梅崎がサイドをケアするため、ボランチの熊谷にボールが入ることが多かった。大分側も3バックで来ると思っていたみたいなコメントをしていましたし、ジェフの4バックでのビルドアップに対応することに時間がかかり、狙い通りの前プレはできていなかったような印象です。
ただ、ジェフの選手の距離感の悪さやジェフの最終ラインのビルドアップ能力があまり高くないということもあって、大分が高い位置でボールを奪うことが目立っていました。要するに、用意していた形では嵌めれなかったけど、ジェフの自滅もあって、大分は高い位置でボールを奪えていたというのが私の見解です。
3トップで前から嵌めてくる相手に対して、4バックを作り、ズレを生み出すという意図は理解できますし、実際に相手のシャドーを下げさせ、ボランチにボールを入れるシーンもあって狙いを表現できていたとは思います。しかし、距離感が悪くなることが多く、DFのビルドアップ能力もそこまで高くはないため、私は3バックのままのビルドアップでも良かったのかなと考えました。距離感の悪さや私が考える5-2-3の攻略法については後述します。
・決め手に欠ける攻撃の改善点
この試合はミスが散見され、自滅した印象もありますが、決め手に欠けていて、ゴールへの道筋をもっと明確化させる必要があります。後半は修正された部分もあって前半よりもボールが回るようになりましたが、チャンスをそこまで多く作れませんでした。ビルドアップの改善は必須で、ゴールを量産していくためにはジェフの武器も明確化させなければいけません。
①選手の距離感の悪さ
4バックで前から3トップで嵌めてくる相手に対してズレを生み出そうとしていて、実際に狙い通りにボランチを使えていたシーンも見られました。ただ、4バックの距離感が悪すぎていて、あまり上手くビルドアップをできていなかったようにも思いました。

まず、松田などSBがサイドに張りだしすぎなのと位置が高すぎていて、CBからサイドの距離が遠く、パスの難易度が高くなってしまっていました。また、大輔の立ち位置が中に絞り過ぎで、左サイドも繋がっていない状態でした。

CB-SBの距離が遠すぎるため、熊谷が中継地点を作っていましたが、中盤の枚数が少なくなり、上手くビルドアップができていませんでした。

4バックでビルドアップをするなら図のようにSHを高い位置で張らせて、SBを中に絞らせ、迂回できるような立ち位置を取ることが必要です。
ただ、見木などはサイドで張るよりも内側で受けた方が活きますし、3バックのままでのビルドアップでも良かったのではないかなと思いました。
②右サイドの立ち位置修正
福満の試合後コメントで立ち位置の修正について言及されていました。
―― 前半は守勢が続きました。
相手は最終ライン5枚で守るので、こちらの中盤4枚が相手選手の間に入ってボールを受けたかったんですけれど、なかなか思うようにボールを受けることができませんでした。外のスペースに張り出してうまくサイドバックを使えるようにポジションを修正するという指示があって、実際、そういうポジションを取るようになってから前半の最後のほうはいい形を作って崩すこともできました。それをもっと早い段階で自分たちが気づければ良かったと思います。
確かに福満は内側に絞るポジショニングを取っていて、福満が起用された狙いもおそらくもっと内側を突いたライン間を使った攻撃をするためだと思います。ただ、この狙いがビルドアップの欠陥を生んでしまっていました。

DAZNでは見切れていましたが、前半の右サイドは松田が低い位置でサイドに張り、福満が中に絞るような構造になっていました。
このような立ち位置を取ってしまうと、松田に入った時のパスコースの選択肢が内側のコースしかなくなってしまい、嵌りやすく、前進しにくくなってしまいます。

後半に入ると松田がハーフレーン、福満が大外レーンを担当することが多くなり、後半序盤はボール保持の時間が続きました。53分や55分のシーンはシュートまで持ち込めませんでしたが、この修正が効いていた良いシーンでした。

特に53分のシーンは理想的なシーンだったのかなと思っていて、中央を上手く使いながら逆サイドに展開し、左サイドで数的優位を作ることができていました。この後、呉屋と見木が被ってシュートを打ち切れず。良い形でゴール前まで前進できただけに、とても勿体なかった。見木も呉屋も焦りを感じます。1点取れば精神的に余裕が出るはずなのでどちらも早めに結果を出してほしい…
③広いスペースを使う意識と内側を突いた攻撃
広いスペースを使うということや逆サイドを意識するということは課題・修正点として今季は何度か取り上げていますが、この試合でもまだそういった意識が足りないように思いました。ボールの持ち方であったり、体の向きなどを工夫することが必要ですし、個々のまず逆を見る、広いスペースを探すという意識がまだまだ足りません。ジェフは同サイドに拘って崩しに行くことが多く、同サイドがダメだったら迂回して逆サイドへということをもっとやってほしいです。揺さぶっていくことで中央へのパスコースが空きやすくなりますし、広いスペースを見ること、逆サイドを使うことはビルドアップを良くしていくためには重要になります。
内側を使っていくということは福満をスタメンで起用したということからもチームの狙いであったということが読み取れます。末吉は突破力という明確な武器がありますが、ハーフレーンでは活かしにくく、流動性という部分ではマイナスになってしまいます。福満が入ることで流動性が生まれますし、流動性を生んで、崩すことを狙っていたと思います。
ただ、サイドの崩しに絡む選手が足りず、内側を使えていないシーンもありました。

55分のシーンでは、一耀→熊谷→呉屋→小森→福満とうまく中央を崩して、ライン間を使いながら前進しましたが、福満からニアゾーンランをした松田へのボールはタッチラインを割ってしまいました。このパスは難易度高めだったと思います。
ここで松田がニアゾーンランでシャドーを引っ張って空いたペナ角のところに一枚絡んできて欲しかったですね。スピーディな展開でボランチが上がってくるのは厳しかったかもしれませんが、福満にもうちょいタメさせて、スプリントしてこのエリアに入ってきて欲しかったです。ここで田口がボールを受ければ、精度の高いクロスやミドルシュートがありますし、田口を経由して、揺さぶることもできます。
サイドでの崩しは3~4枚で流動的に動いて崩してニアゾーンなどに侵入していくことが理想ですね。
・対5-2-3攻略法
ボード上の理想論になってしまいますが、私の考える5-2-3攻略法について紹介します。

後方からのビルドアップでは7+GK vs 5の局面を作ります。
相手が3トップなのに3バックを作るの?と思われる方もいると思いますが、ボランチがしっかりといるべきところにいれば、プレスを受けにくくなりますし、この試合に出てたジェフの選手のタイプ的にも後ろ3枚で回した方が良いのかなと考えました。日高を下げて4バックで回すこともできますが、左ワイドの高い位置に見木を張らせることになり、適材適所になりません。日高を左ワイドに張らせた方が良いと考えました。

で、3トップの相手に対しては、中盤はアンカーではなく、2ボランチの形を作るべきだと私は考えています。相手3トップの間には2つのゲート(ポイント)ができ、ここにボランチが1人ずつ立つことで、相手3トップはボランチをケアしなければならず、前プレに行きにくい&距離感を狭めなければならない状況にすることができます。このゲートにボランチの選手が立てていないと、最終ラインの選手たちがプレスを受けやすい状況になってしまいます。後方からのビルドアップではこのゲート(ポイント)に立つことがとても重要です。
福満と日高は高い位置でサイドに張らせます。福満は張って仕掛けるタイプではありませんが、松田を張らせるよりも適材適所感は出ると考えました。
見木と小森には相手のボランチ脇に配置します。相手ボランチ脇に配置することで、相手のボランチに2択を迫らせ、熊谷や田口へのプレスを行きにくくさせることができます。
CB→ゲートを通してボランチにつけることができれば、ブライトンみたいなボランチ→レイオフでもう片方のボランチ→縦パスといった展開を生み出せます。

相手が3バックに対して、3トップで嵌めに来たら、GKを使って迂回させます。相手はボランチを消しながらプレスしなければならないため、内側に絞った位置からのプレスとなります。そのため、IBが運びやすく、ライン突破が可能になります。

もし、相手の3トップがジェフのボランチを切らずに、IBへとプレスをしたら、GKやCBからボランチへのパスコースが開通しますし、相手のボランチが前に出て、ジェフのボランチを潰しに来たら、その奥の見木や小森へのパスコースが空きます。

また、相手のIBが出てきて、見木や小森を潰しに来たら、前線にはスペースが生まれ、3vs3の同数になります。こうなった時はIBが出たスペースを狙ってロングボールを蹴れば、一気にチャンスへと繋がります。
この試合のジェフは4バックでズレを生み出そうとしていましたが、選手の距離感が悪く、思うように前進することができていなかったように思いました。このように後出しじゃんけんができるような立ち位置を取っていくことが重要になります。

アタッキングサードでの攻撃に関してはSBに大外を取らせて、福満を絞らせる配置が適切だと思います。後ろを2CBやボランチで作って福満や見木でライン間を取らせる。
図のように相手のIBをFWでピン止めさせて福満などにライン間を使わせたり、ニアゾーンを狙わせるトゥヘルがやっていたような攻撃も5-4ブロックを攻略する一つの方法です。
あとはFWとのリターンで相手のCBやIBを引き出したり、適切な距離感で迂回経路をしっかりと作ることが5-4ブロックを崩すために必要となります。
対5-2-3の攻略法について書いてきましたが、相手に対して正対できていることを前提に書いています。
群馬戦のレビューでも書きましたが、ジェフのDFの選手は正対する技術を持った選手が少ないように感じます。補強はなさそうですし、ビルドアップ能力の高い田邉は帰りました。後ろから繋いでいくのならチーム戦術だけではなく、個人戦術もレベルアップさせていくことが必要です。
・最後に
CBのパスコース作りの遅さやSBに出すパスの危険性などについても書きたかったですが、時間がないのでこの辺で。この2点についても気になったのでまたいつか書きます!
振り返ってみると狙いを表現できていたとは思いますが、奪った後や後方からの運び方は整理しないといけませんし、決め手に欠けているような感じでジェフの武器もはっきりしていないので、どうやって運んでどうやって得点を取るのかを明確にしなければいけません。結果が出せていない状況の中で選手のミスもかなり多かったですし、小林監督のマネジメント能力であったり、モチベーターとしての振る舞いが非常に大事になってきます。
次は岡山戦。ホーム初勝利を!