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チートイツリーチの読み
今回は配牌オリとチートイツリーチの読みというテーマで局を取り上げたいと思います。
今回検討した牌譜はこちらです。
東4局1巡目
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東4局で自分は4万点超えのダントツ、ラス目が飛び寸になっています。
ここでいきなり1巡目からラス目が役牌の東を鳴いてきたので、私はもう1巡目から配牌オリすることを決めました。
自分の手は1面子あって両面ターツ2つと、悪くない手ですが、1巡目から下家にいるラス目が役牌を鳴いてきたことでガチ絞りモードに突入するので、自分の和了りを見ている余裕はないと判断しました。
この場面で最も重要なことは自分が和了ることよりも、親に放銃しないことと、ラス目に餌をやらないことです。
この点棒状況だと自分が無理に和了りに行かなくても親か上家がツモってしまえば大体ラス目が飛んでまくられずに終わります。
ということは自分はここで下家の絞りに専念して、下家の和了りを阻止するか、それが叶わぬまでも下家のテンパイ、和了りを1巡でも遅くして、上家、親の和了りを待つのがベストと判断しました。
とはいえ親への放銃を避けることが第一なので、下家への絞りは二の次。
下家へ絞りつつも、親への安牌を充分に確保しながら手を進めるという非常に難しい舵取りが求められますね。
この場面、牌効率などとは程遠い面子ターツぶっ壊し上等の、傍から見てたらちょっと意味不明の特殊麻雀を打つので、AIがどう評価するのかは気になりました。
そこでmortalの評価も交えながら解説していきます。
mortalの添削結果はこちら
https://mjai.ekyu.moe/report/a3ad14c37be9a67b.html
第一打は8mです。
親への受けを考えると字牌にはどれも手をつけられないですが、まだ1巡目で河には何の情報もなく、数牌のどれを切ったらいいかは分かりません。
そこで無難に孤立している8mを切っていきます。
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ちなみにmortalは白切りを推奨。
ションパイの役牌を先切りし、普通の平和手を目指しているかんじの進行ですね。
案の定、下家への絞りなどはまるで考えていなさそうです。
ただオタ風の南や北とか、1枚切れの發を切らないあたり、親への受けはそれなりに考えてそうではあります。
東4局2巡目
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赤5pにくっついて両面ターツが出来たのですが、ここは下家が切った3sを合わせ打ちしていきます。
それなりに和了れそうな手にはなったのですが、鉄の意志で配牌オリを続行します。
自分が和了る方が簡単だろと思う人もいるかもしれないですが、親の跳満なんて早々和了れるものではありません。
しかもツモ和了り限定で、ラス目から和了ることはできないですから、相当に厳しいはずです。
3sは下家に絶対鳴かれない牌かつ後に危険になりそうな牌を選択しました。
当たり前ですが下家が切った牌なら鳴かれることは絶対ないはずです。
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これもmortalからの評価はすこぶる悪く、13ある選択肢の中でも最下位から2番目です。
配牌オリしてるとAIの評価が下がることがよく分かりました。
今回は総合レーティングの値も低くなってますし、配牌オリはAIからすれば期待値が低い打牌が連続するので、レーティングが下がりやすいんですよね。
しかし期待値が低いのは、AIが局収支の面で打牌を評価してるからであって、半荘全体で考えればそんなに期待値は低くないはずです。
ここで無理に和了りに行かなくてもほとんどはトップで終わることの方が多いでしょうからね。
東4局3巡目
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ここは2sを切っていきます。
下家に絶対鳴かれない牌を選ぶなら發とかでもいいですが、親への受けも考えて安牌は消費せず、できるだけ鳴かれにくい数牌を選んでいきます。
ここは下家への絞りと親への受け両方を考えてバランスを取りました。
2sは比較的鳴かれにくいです。
223sから3s切ってトイツ固定ってこともないでしょうし、133sから3s切ってフォローなしのカンチャンターツに固定することもかなりまれかと思われます。
一番鳴かれそうな334sから3s切りで両面ターツ固定っていうパターンも他の両面に比べたら可能性としては低めですし、両面なら鳴かれてもそれほど痛くはありません。
両面は鳴けなくても自力で有効牌引けることが多いですからね。
大事なことは急所を鳴かせないことです。
愚形を鳴かれるのが一番痛いです。
東4局4巡目
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ここは1mを切りました。
けっこう悩みましたが、鳴かれにくいという意味ではさっき2sを切った要領で6pも候補に挙がります。
ですが、親への安全度という意味では6pはけっこう重要です。
3pが通ってますし、7pも切っているので、後にリーチと来た場合でも先切りのまたぎになるんで6pが通りやすいんですよね。
先切りのまたぎと言っても、無スジの牌なんてどうせ切れないでしょと思うかもしれませんが、重要なのは6pが親に通りやすいという事実であって、後に親が自分でツモ切るかもしれませんし、この先6pが安牌に化ける可能性は高いです。
なのでこの6pは取っておきましょう。
ここは6p以外で場に高く、比較的鳴かれにくいという意味で1mを切りました。
東4局5巡目
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ここで親からリーチが入りましたね。
先ほど残しておいた6pが早速役に立ちました。
ここからはベタオリに徹しますが、下家への絞りを考えている余裕はないかもしれません。
理想は親が満貫までを和了るか、下家が放銃して終わるかです。
自分が放銃するのが最悪ですし、親へはもちろん下家へも放銃してしまうと飛び終了のチャンスが消えてしまいます。
ここはまず一発消してくれることも期待して、安全かつ比較的鳴かれやすい6pを切っていきます。
東4局7巡目
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6巡目は現物の8sを切り7巡目ですが、ここは4mを合わせ打っていきます。
これは下家に鳴かれてしまいますが、現状は意外と安牌が少ないので仕方なしかもしれません。
東4局12巡目
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その後は現物の發、8p、2mと切っていき12巡目です。
このあたりで異変というか、直感的に何かを私は感じ取ります。
ひょっとして・・・
『親のリーチはチートイツなのでは?』
この根拠というか、直感的な予感で言語化するのは難しいんですが、思考を整理してみますと、怪しい点がいくつかあります。
1.親が両面ターツ落とししている
両面ターツ落としのリーチはチートイツが割と多いということです。
統計を取ったわけではないですが、たぶん実際にも多いんだと思います。
そもそも67pという絶好の両面ターツを嫌う理由ってなんでしょうか?
5-8pが場に切れていて薄いわけでもないので、嫌う理由があるとすればよほどの好形ターツが他に揃っているということになります。
それかチートイツしかないですね。
チートイツに両面ターツは必要ないですから。
2.6pが3枚見え、7pが3枚見え
これはダブルターツ落としの可能性は低そうだということです。
ダブルターツ落としは両面ターツを嫌う理由の1つとして考えられるんですが、
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こんな形で持っていたら二度受けを嫌って67pを1枚ずつ切っていくことはよくあります。
ですが、6pと7pが3枚見えなこともあってそれも考えづらいということです。
3.面子手なら好形リーチのはずなのになかなか決着がつかない
両面ターツ落とししているということは面子手なら好形リーチのはずです。
それなのになかなか決着がつかないのはおかしいですね。
そんなのはよくあることと言えばよくあることですが、今回は好形の中の好形であるはずなんです。
それこそ三面張とかでもおかしくはないでしょう。
三面張がツモれないのもよくあることと言えばよくあることですが、確率的な問題で、決着が付きやすいはずなのに決着が付いてないというのは、ちっぽけではありますが不審な点の1つです。
4.ラス目もゼンツッパしているのに決着がつかない
これも1人旅ならともかく、2人でめくり合っていて和了りの可能性も倍にはなっているはずなのにまだもたもたしています。
面子手の好形であると仮定するなら少し不審に思ってもいいでしょう。
5.全体的に3枚見えの数牌が多い(トイツ場っぽい)
これもオカルトっぽくて説明しづらいのですが、感覚的にチートイツが出来やすそうな河ではあります。
特に筒子に関しては6p、7p、2p、3p全部3枚見えで、かなり面子(順子)が構成しづらそうな印象を受けます。
牌が異常に偏っている気がするんですよね。
6.河に字牌が異常に少ない
これもトイツ場っぽい印象を受ける理由の1つです。
河に切られてない字牌が自分のところに異常に偏って集まってる気がしますね。
しかも持っている南、西、北、白は全部2枚見えもしくは1枚見えです。
3枚見えている字牌がないんですよね。
これはやはりニコイチでどこかに使われてる感じがしますね。
7.親が跳満を狙うとしたらチートイツは自然である
最後に、これは親の狙いとしては跳満をツモらないとトップが取れないので、チートイツを狙うのがいたって自然であるということです。
跳満を狙うのにチートイツは効率が良いですからね。
もしドラなしのチートイツだとしても、ツモって裏裏載れば跳満になります。
裏裏期待であわよくばと考えるのは自然だし、チートイツなら意外な単騎待ちで私から直撃も狙いやすいでしょう。
これらの要素1つ1つは小さなものですが、全部合わさるとけっこうバカにならないほどのものにはなると思います。
例えば両面ターツ落とししてるからというそれだけの理由ではチートイツと断定はしにくいですが、今回はそれ以外にも不審な点が多すぎるんですよね。
私はこの12巡目あたりからチートイツを全力で警戒していました。
せっかく溜め込んだのにもったいないですが、字牌にはあえて手をつけません。
字牌はチートイツとしては絶好の待ちになってしまいます。
字牌を切るくらいなら適当に無筋の牌を切った方がましくらいに思ってました。
もし字牌以外から消去法で選ぶなら中スジの6mくらいですかね。
1枚は見えてますし、チートイツの待ちに選ぶことはまずないでしょう。
赤絡みのカン6mなら両面ターツを嫌って残すかもしれないですが、それもちょっと考えにくい気がします。
跳満を狙うはずなので、面子手なら赤の愚形待ちよりも平和を優先するはずですからね。
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これに関してもmortalからの評価は低いです。
字牌の北に手が伸びるあたり、チートイツとは全く読めていないと見えます。
東4局13巡目
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これも難しいです。
字牌以外では9sや9pもチートイツとしては待ち頃の牌でしょう。
これらは絶対に切れません。
2sなんかも怪しいです。
ノーチャンスなのが逆に危険ですね。
リーチした時点ではノーチャンスではないのですが、端寄りの2sくらいなら勢いで曲げちゃえとなる可能性はあります。
あとは索子の真ん中あたりが見えてなくて、面子手も警戒するなら無筋の4sと7sはやばそうです。
ただ、4sと7sに関してはチートイツに刺さることはあまりなさそうではあります。
消去法で5mか赤5pになりますが、赤5pは中スジが通っているので面子手には比較的安全ですし、チートイツにも通りそうだと思います。
親からすると赤5p単騎で曲げるっていうことはあると思いますが、黒5pはど真ん中ですし、ドラでもないので曲げる理由にはなりません。
ただ、チートイツからのトイトイ変化という可能性も考えたのか実際には赤5pを切れませんでした。
赤5pが刺さるとすればトイトイしかありませんが、ションパイですし少し警戒しますね。
実戦では自分から2枚見えている5mを切りました。
赤5m単騎だとチートイツに刺さる可能性はありますが、跳満狙うのに赤5mは要らないんでそれはあまりないかなという気はします。
流局
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今回は無事流局することが出来ました。
親のリーチはチートイツでしたが、5pがトイツでしたので、やはりチートイツからのトイトイ変化は有り得るなという気がします。
こういう両面ターツ落としのチートイツって5567みたいなところからの面子崩しのことがよくあって、それは面子手と天秤にかけたり、チートイ狙いをぼかして河をつくったりすることが多いので、そうなってることが多いんです。
逆に赤5mだけポツンと浮いてるのは想像しがたいので、割と通るかなという感じでした。
こういうアバウトで感覚的な読みはAIは苦手ですので理解されないです。
今回のこの局も全体的にそういうかんじの読みが多かったですが、AIではまったくもって評価不能ですので、自分の感覚を頼りに実戦経験を積むしかありません。
そのためには、AIの指示通りに毎回序盤から手をつくって和了りに行くのではなく、AIの評価など無視して配牌オリをまずはやってみることだと思います。
今回のように自分の和了りを捨てて配牌オリして、他家の手の進行に集中してるからこそ相手の手が見えてくることもあります。