12.今の自分を愛しているか ー愛の正体ー
We need to learn to love ourselves first, in all our glory and our imperfections.
僕らは、自分のすばらしさと不完全さのなかで、何よりも自分自身を愛することから学ばなければいけない
ー John Lennon (ジョン・レノン) ー
最近は自己肯定感とか、自己愛などと、よく耳にする。
そもそも、「自分を愛する」とは何だろう。
何人かのヒントから、「自分を愛する」とは何かを突き止めていきたい。
◆リチャード・テンプラー
苦しみは過去にしがみつくことから生まれる。
ぼくたちはよく過去の思い出話に花を咲かせる。
今の自分と向き合うよりも、昔の自分を振り返ったほうが楽だから。
過去にどんなに栄光をつかもうとも、それは過去。
どんなに今が辛くとも、過去と比べてはいけないんだ。
今を生きよう。
◆エーリッヒ・フロム
型にはめられた人間
誕生から死ぬまで、日曜から土曜まで、朝から晩まで、すべての活動が型にはめられ、 あらかじめ決められている。このように型にはまった活動の雨にとらわれた人間が、 自分が人間であること、唯一無二の個人になること、たった1度だけ生きるチャンス を与えられたということ、希望もあれば失望もあり、悲しみや恐れ、愛への憧れや、 無と孤立の恐怖もあること、を忘れずにいられるだろうか。
型にはめられた方が楽ちん。
何も考えずに、誰かから決められた行為を決められた時間だけやっていれば、なんとなく人として認められている感覚を覚える。
でも、そういう生き方は、どこか虚無感がある。
人間らしくない気がしてしまう。
ぼくらは一人一人違う生き物。
そもそも、みんなを同じ型にはめるなんて無理がある。
先が見えない道を選ぶのは怖い。
最初の一歩が一番怖い。
でも、その一歩さえ踏み出せれば、
自分にしかない唯一の生き方を進める。
ぼくは、20歳のときに原宿で絵本の個展を開いた。
「どんな反応があるか見てみたい」と思ってやってみた。
そのとき、外国人観光客のおばあさんがぼくの絵本を読んで、目を麗しながらこう言ってくれた。
“Very nice…!!”
あのとき、ぼくはおばあさんと一体感を得た。絵本を通して、共にお互いの思いを感じ取れた。そこに言葉の壁はなく、手を合わせるだけで繋がれた。
こんなに嬉しいことはなかったし、今思えば、あれが愛だったのかもしれない。
自分で思い立って起こした行動に、誰かが反応して、喜んでくれた。
あのとき、ぼくは「自己愛」を体現したんだと思う。
◆マイスター・エックハルト
もし自分自身を愛するならば、すべての人間を自分と同じように愛している。他人を 自分自身よりも愛さないならば、ほんとうの意味で自分自身を愛することができない。
他人に思いやりがある人は、誰かに優しくされたことを覚えている人。
他人に寛大な人は、自分の心に余裕がある人。
他人のものを平気で奪い取る人は、自分の大切なものを見失った人。
他人に怒りをぶつける人は、自分のことが嫌いな人。
他人に対する態度は、自分自身の映し鏡だ。
◆自分の人生に宿れ
ぼくには安川さんという飲み友達がいる。
友達といっても50ほど歳が離れているのだが、年齢関係なく無礼講で楽しめるのが、飲み友達の良いところだ。彼は東京大学を卒業して商社マンになり、出世街道を登りつめた超エリートだった。
ぼくが22歳で初めて彼と出会ったとき、酔っ払った勢いで失礼な質問をした。
「安川さん、社会人として出世するコツを教えてください!」
すると安川さんは目を鋭くしてこう答えた。
「その答えは自分で見つけるしかない。他人に答えを求めて、まねをしたところで、それは自分の道ではない。まずは、自分の人生に宿れ」
今までぼくは、他人が敷いたレールの上をそこそこの成績で歩むのが、賢い生き方だと思っていた。でも、それは間違っていた。
「どう生きるか」は、自分で答えを見出さなくてはならない。
なぜなら、自分の人生だから。
「自分の人生に宿る」これが本来の生き方なんだ。
◆「人生のタスク」 嫌われる勇気
心理学者アルフレッド・アドラーは人生のタスクとして、以下の行動面の目標と、それに対する心理面の目標を上げている。
行動面の目標
1.自立すること
2.社会と調和して暮らせること
この行動を支える心理面の目標として
1.わたしには能力がある、という意識
2.人々はわたしの仲間である、という意識
◆「自分を愛する」ということ
「人の生き様」と書いて人生と読む。
納得する生き様を残せているだろうか。
自分を愛するためには、だれかに敷かれたレールではなく、自分の道を自分で歩まなければならない。
余裕が欲しいからお金を稼ぐのは、何か違う。
綺麗事かもしれないけどね。
一旦立ち止まり、目を瞑って、何も考えずに深呼吸をしてみると、
そこに本当の余裕があることに気づける。
自分がやるべきことはなんだろう。
他人に答えを求める前に、自分で探そう。
最終的に誰かが笑ってくれればハッピー。
誰かが喜ぶことを考えよう。
誰かが助かることを考えよう。
やってみたい、面白そうと思ったものが、自分がやるべきことの答え。
吟味する必要はない。ワクワクした瞬間に飛び込もう。
違ったって良いじゃないか。違ったことがわかるのだから。
また探せば良いだけのこと。
そうやって少しずつ、自分の意志で動いていくことが、
「自分を愛する」ということだと思う。
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