阪神タイガース2024ドラフト候補
今年もこの季節がやってきました.
今年は自分の時間に余裕があったこと,体力も熱量もあったため人生で1番アマチュア野球に触れた1年でした.
もちろんドラフトのためだけにアマチュア野球を楽しんでいるわけではないですが,これまで見てきた選手がこの日を境に何人もプロのスター選手への第一歩を歩み始め,その中には自分の好きな球団に入ってくれると思うとこれほど胸の高鳴ることはありません.
今回はタイガースファンである以上,阪神タイガースにフォーカスをあてたドラフト選手紹介をしていきたいと思います.
タイガースはその特殊なメディア体質と人気によってほかの球団に比べてドラフト前から異常にドラフト関連の記事が豊富であり,スカウトも頻繁にコメントを出すので,他球団よりある程度指名する選手が読みやすいという傾向があります.
まずタイガースの現状からドラフト指名のありそうなポジションを挙げ,
その中から10/22現在までに視察情報やリストアップのコメントの挙がっているほぼ全選手を紹介します.
その中で僕自身こう思ってますというのも併せて書いていくので是非読んでいただけると嬉しいです,,,!
前提となるタイガースの現状分析が長いので,ドラフト候補が知りたい方は目次から飛べるようになっていますので,そちらを活用していただけると幸いです.
2024タイガースの戦力整理
1軍戦力の課題
こちらを見てもらうと明白なように,まず現在の打撃的な課題は明らかに近本を除くSS,2B,Cのセンターラインでしょう.
守備的難易度の高いポジションゆえに,打撃指標のみでウィークポイントを決めつけるのはナンセンスですが,守備指標においても特に今年の二遊間は壊滅的でした.
この3ポジションが明らかに課題なのは阪神ファン総意のものでしょう.
しかしこれに対する解決法はファンの間でもいろんな意見があります.
一つは基本的に現有戦力で賄えるという判断です.
僕自身もこの考えに近いです.
もうひとつはドラフトでこのポジションの即戦力を獲得するという考え方です.
特に今年は今後野球界の歴史に大きく名を刻む可能性のあるショートの選手がいるだけにこの論争は白熱しています.
編成全体から考えるデプス的課題
こちらが現在最新のタイガースのデプス表になります.
デプス的観点で気になるのは
・昨年は高校生投手獲得0(加えて阪神は高校生の育成選手をとらないので,21歳以下の高校生投手が3人だけ)
・コーナーをメインポジションにする選手が25歳以下0(!!!)
・30歳以下の捕手が3人.うち2人は1軍経験なし.
・左打ちのセンターを守れる選手が少ない
このあたりでしょうか.
特にコーナーポジションが佐藤輝明より下の年齢がいないのは他球団ファンの方からすれば結構インパクトがあると思いますが,こちらは阪神の特殊な編成事情があり,昨年真鍋慧(広陵⇒大商大)選手を指名しなかったことから考えても,今年必ずしも指名があるかは検討の余地がありそうです.
戦力外&育成から考える枠と支配下人数
先ほど赤字で今季引退の選手と戦力外の選手を示しましたが,こちらはあくまで第1次戦力外の結果なので,当然ドラフトで新戦力を獲得後も人員整理が行われるでしょう.
現在支配下枠は61/70であり,外国人選手を新たに2人ほど支配下で獲得することを考えると
追加の戦力外&育成打診は4~5人,支配下指名は6人の64~65人態勢に他球団からの自由契約選手などを加える具合が妥当なのではないでしょうか.
大物移転と育成選手獲得増加
こちらの記事にもあるように,今年のドラフトからは育成指名の数も増加する予定です.
阪神は高校生の育成指名をしないので,育成を受ける地方リーグの大学生や(もちろん中央球界でも可能性はありますが),独立リーグの選手には例年以上に注目でしょう.
さてここからはそんな補強ポイント,順位感,スカウト視察情報やコメントの出ている未来のタイガースの選手を紹介していきます!
金丸夢斗(関西大) LHP
今後のリーグの勢力図を変えうる選手_____
傑出したアマチュア成績を誇り,その圧倒的なスタッツは左投手としては過去20年に比類する大学生投手がいない,左右問わずしても菅野智之(巨人)以来といわれるようなスペシャルな存在です.
関西学生野球には主に2年生からリーグを代表する選手として名をはせており,僕自身もその投球を映像だけでなく現地で幾度となく見てきました.
彼のすごさは言うまでもないですが,その特異的なフォームゆえに春に腰を痛め,この秋もリリーフ限定の登板になっています.
しかし自分を含め金丸夢斗という投手を知っている人からの評価は揺るぎません.
もう一人のスーパースターがいなければドラフト史上最多競合もありえた"超"即戦力左腕.関西出身で補強ポイントにもマッチする彼への初回入札の可能性が最も高いとみています.
宗山塁(明治大) SS
鳥谷敬(早稲田大ー阪神ーロッテ)以来の大学生ショート
彼もまた20年に1人の逸材です.
1年生の春に村松開人(明治大ー中日)からショートのレギュラーを奪い,それ以降長きにわたって中央球界の顔的存在となった宗山塁選手.
2年生のころから「2024年は宗山ドラフト」といわれており,実際彼と金丸は4年でお互い怪我を経験するものの世代トップの座を3年間譲らずこのひまでやってきました.
宗山といえばその華麗で「現状でも源田の次にうまい」といわれる守備をまず連想しがちですが強調しておきたいのは打撃面の傑出度.
特に2年生の1年間とこの4秋は長打力も圧巻.
もちろん1春から出場し続けていることも理由の一つですが,宗山の六大学通算HR10本を超える今年のドラフト候補は吉納翼(早稲田大)ただ一人.
東都を含めても上は佐々木泰(青学大)のみです.
金丸or宗山___________
多くの球団がこの2択に頭を悩ませると思いますが,阪神もその中の1球団でしょう.
西川史礁(青山学院大) OF
大学ジャパンで三年生から4番を任された大学NO.1スラッガー.
高校時代は守備のうまいショートの選手で打撃はそこまで目立っていませんでしたが,青学に入学後,三年生になり打撃が覚醒.
早いカウントから積極的にフルスイングを仕掛ける選手ですが,追い込まれるとノーステップに変えるなど打席における対応力もあり,なおかつ天性の打球角度はまさにホームランバッターのそれでしょう.
三年生で青学のレフトのレギュラーを獲得した西川選手ですが,今季からはセンターに挑戦.侍ジャパンでの活躍をみてもわかるようにセンターとしての能力も非常に高く,また元内野手なのでサード等でのユーティリティ性を期待できるのも彼が評価されるゆえんです.
二人のスーパースターの影に隠れる形にはなっていますが,
「ジャパンの4番を3年生から務めていた右投げ右打ちの強打のセンター」
というとその希少性は数年に1度のレベルであり,ほかの年であれば最多競合もありえた,そんな選手です
僕は彼を侍ジャパン,オープン戦,平塚合宿,高校大学ジャパン壮行試合と数多く直接見る機会がありましたが,やはり同世代の中では抜けた実力を持つ選手で打撃だけでなく,守備走塁を含めて総合的に素晴らしい素質を持った選手だなと感じました!
渡部聖弥(大商大) OF/3B
「筋肉マン」と呼ばれるほどの強靭な肉体による圧倒的パワーとあらゆるボールに合わせられる当て感の良さを持った,強肩強打の外野手.
それがこの渡部聖弥です.
はやくから頭角を現し,下級生のころから大学ジャパンでの実績を持っており,大学生BIG4と彼を合わせて「大学生BIG5」と称する人も多いほど.
彼を簡単に形容するなら,「センターを守れる牧秀吾(DeNA)」といったところでしょうか.
ジャパンの合宿,高校大学ジャパン壮行試合,秋季リーグ戦と結構彼を生で見る機会も多かったのですが,今年1年はかつてほど絶対的なものを見せられていないだけに,
阪神が金丸or宗山のくじを外した場合にはずれ1位として指名する可能性は十分に考えられるのではないでしょうか.
後に紹介する林,柴崎の出場もあるということで,関東では宗山のいる明治大の試合があるにも関わらず畑山総括スカウトを含めた複数体制の視察を連日続けていたので,入念にチェックしているといえるでしょう.
佐々木泰(青学大) 3B
いまや大学野球界No.1といえる名門・青山学院大で1年生からレギュラー&一年生の春から戦国東都でベストナインに輝いた選手.
今年の市場において強打のサードは希少なため,獲得を画策する球団も多いのではないでしょうか.
懸念されるのは確実性.打率.371ホームラン4本と華々しいデビューを飾った1年春以降は毎シーズンのようにホームランを放つものの打率3割超えはないという状況,この春もリーグでは打率1割台と不調でした.
しかし,選手権では2本のホームランを放ち大会MVPに選ばれるクラッチヒッターっぷり.
秋もケガによる離脱前は打率3割を超えており,プロ入り後森下翔太(阪神)のような成長曲線をたどる可能性もあり楽しみな選手です.
僕も春に富士大とのオープン戦の際,彼のホームランを見ましたが,渡部とは違い力で飛ばすというより,バットにボールを乗せるのがうまく,美しいアーチを描ける天性のアーチストだなと改めて体感しました!
今朝丸裕喜(報徳学園) RHP
高校No.1右腕の呼び声高い,長身右腕.二年春から甲子園のマウンドを経験しており,高校野球ファンにとっては以前から広く名の知れた存在でしょう.
身長188cmですらっとした長い四肢から癖のないきれいなフォームでボールを放つ姿は,プロ向きと二年生のころから言われていましたが,彼がドラフト上位候補に一気に名乗りをあげたのは三年春の大阪桐蔭戦でしょう.
このタイプにしては制球力が高く,インコースにしっかり投げ込むことができ,変化球もまとまっており,現状は大きな欠点の少ない選手といえるでしょう.
僕自身,報徳学園の特に今朝丸間木世代は応援しており,上記のセンバツ大阪桐蔭戦や3年夏の兵庫県大会決勝での完封も現地観戦しており,非常に思い入れの強い選手です.
ぜひ地元兵庫でタテジマを着て,才木浩人(阪神)のようなリーグを代表する大型右腕に成長してほしいです
柴田獅子(福岡大大濠) RHP
日本ハムや中日が二刀流としても評価する大型右腕.
世間的な知名度の影響で左は藤田,右は今朝丸が高校No.1投手との呼び声が高いですが個人的にはこの柴田がNo.1だと思っています
打者としてもプロから注目されるほど身体能力や身体操作性に長け,体の使い方も非常に美しく,その上自分自身で考えて練習できる思考力の高さがインタビューなどからもうかがえます.
投げるストレートの質も素晴らしく,最速は149ですが,早い段階で最高球速も平均球速も伸ばしつつ,ストレートを中心に勝負できる投手に育つのではないでしょうか.
村上泰斗(神戸弘陵) RHP
阪神の熊野スカウトが愛してやまない快速右腕.
最速153km/hを記録するストレートはただ速いだけでなく質も素晴らしく,数多くの変化球を投げ分けられる身体操作性と探求心,器用さが武器の選手.
彼を説明するうえで欠かせないのはその投手歴の浅さ.
高校に入学後捕手から投手に転向したのにも関わらず,自身でYouTube等を参考に練習した結果2年生の夏には152km/hを記録したというとんでもない成長速度の持ち主です.
近年の高速化の激しいプロ野球界では肩肘の消耗の観点から,投手歴が短いことはプラスにとらえられることが多く,村上もその対象にまさに入る選手といえるでしょう.
いかにもタイガースが好みそうなタイプの投手であり,今年のドラフトでは2位あたりの指名が予想されます
藤田琉生(東海大相模) LHP
身長198cmの超大型左腕.
今年の東海大相模のエースで最速は150km/hを記録し,一躍ドラ1候補に躍り出ました.
甲子園で1度,高校大学ジャパン壮行試合で1度,計2度彼を現地で観戦する機会がありましたが,まだまだ長い手足を持て余している印象で,ストレートも球速ほどの脅威を感じるものではありませんでした.
しかし逆に言えばそれこそ伸びしろであり,NPB入りすれば最高身長の投手になるうえまだまだ未完成の状態で150km/hを投げられる,しかも左腕,,,
間違いなく今年のドラフト候補の中でポテンシャルは最高クラスといえるでしょう
石塚裕惺(花咲徳栄) SS
高校生No.1ショートにして高校生No.1野手.
これだけで彼のすごさは伝わると思います.
ショートというポジションの特性上,ドラフトでは高い評価を受けやすく毎年高校生No.1ショートは高い順位で指名を受けます(昨年はオリ横山が一位,阪神山田が2位の折り返し二番目の3位)
しかしその年のNo.1打者がショートであるというのは,あまり例として多くなく,それこそ高橋周平(中日)ぐらいまでさかのぼる必要があるほど希少な存在です
ショートの守備単体では斎藤(金沢)に軍配が上がる部分が大きいですが,石塚の正確な送球や一つ一つの動きは高校生ショートの最上位クラスと位置付けて問題ないでしょう.
また打撃に関していえば,非常に完成度が高く,隙がない傑出した存在であると僕は思います
彼は高校大学ジャパン壮行試合で直接見る機会がありましたが,大学生のドラ1候補である篠木(法政大)の150km/h越えのストレートをいとも簡単にはじき返し長打にしてしまったところはまさに衝撃でした.
スイングは初動からフォロースルーまで無駄な動きがなくシンプルで,プロに入ってもほとんど矯正されず普通に1年目からファームで結果を残し,プロの球への対応力を挙げていく段階に入れる数少ない選手なのではないでしょうか.
控えめな性格だけが少し心配ですが,未来の坂本勇人(巨人)や山田哲人(ヤクルト)になれる可能性をもった大器であることは違いないでしょう
斎藤大翔(金沢) SS
驚異的な身体能力をもつ強肩の高校生ショート.
今冬ごろから急激に注目度を挙げてきた選手で,全国大会の経験はないものの,最後の夏の大会ではその守備力の高さを存分に発揮.
打撃はある程度ミートのセンスはあるものの,まだまだこれから鍛えていく必要がある一方で,守備に関しては今年の高校生の豊作カテゴリーの中でも最上位であり,最もショートとして生き残れそうな選手のように見える選手です.
石伊雄太(日本生命) C
社会人NO.1捕手の呼び声高い強肩捕手.
近大工学部時代は指名漏れを経験するものの,社会人の強豪日本生命でプロ一年目からレギュラーを獲得.
僕は彼を鳴尾浜での練習試合と,社会人の近畿選抜で観戦しましたが,さすがの強肩で幾度となく盗塁を阻止しておりここはおおきな魅力に感じました.
また打撃に関してもシェアなバッティングを披露していました.
日本生命で現在コーチをしている福留(中日-阪神など)との縁もあり,阪神が注視,さらに中日も先日2位での指名を画策しているとの報道も出ていました.
浦田俊輔(九州産業大) SS
大学生ショートの中でも屈指の守備力を誇る守備職人.
非常に足が速く,バウンドに合わせてきちんとステップを踏めるため,おそらく土の甲子園のグラウンドでも順応しやすいタイプに見えます
打撃も福岡六大学リーグでは傑出した成績を誇るため,プロでも守備から試合に出る機会を得るとそこから打撃も良くなってくると予想しています
今年の大学選手権を現地観戦した際は,足のケガで代打でしか見られなかったのが残念でした,,,
佐藤柳之介(富士大) LHP
キレのある直球を精度よく投げ込める先発型左腕.
大きくグラブを振り上げるスタイルで球の出どころが見づらく,球速はそこまででもないがしっかりストレートで空振りが取れます.
また鋭いチェンジアップや縦変化の大きいカーブも強度が高く,先発投手としてのクオリティが非常に高い選手です.
この春の青学とのオープン戦にて現地観戦させてもらいましたが,2イニングを4奪三振ノーヒットと完璧な内容で抑え込んでおり,その実力は大学選手権連覇中の青学相手にもいかんなく発揮されていました・
伊原陵人(NTT西日本) LHP
抜群の回転数を誇るストレートが武器の即戦力左腕.
抜群のコントロールでスライダー,スプリットも投げ分け,その日の調子によってボールの選択も変えられるゲームメイク能力に長ける社会人らしい投手です.
身長と年齢で実力以上に低く見積もる球団もいそうですが,投手の頭数が足りていないチームにはうってつけの選手と感じます
伊原投手は近畿東海選抜,都市対抗予選などで現地観戦しましたが,抜群にいい時の彼のボールは社会人でも全く手が出ないレベル.
悪い時も回を重ねるたびに修正ができるタイプなので,先発でもリリーフでも面白いと感じました
吉田聖弥(西濃運輸) LHP
高卒社会人三年目の21歳の大型左腕
最速152キロのストレートと落差のあるチェンジアップを武器に高卒三年目ながら高い奪三振能力を見せています
高卒3年目の今年本格的に稼働してきた選手であり,夏以降は乱調が多くなったため即戦力としての評価は難しいですが,持っている素質と大学生より1歳若いことを考えると高い順位で指名されてもおかしくないのではないでしょうか.
また吉沢亮似の甘いルックスを話題でプロ入り後活躍すると,女性ファン獲得も見込めるかもしれません.
僕は大学ジャパン合宿のU-23代表との練習試合で現地観戦しましたが,今年の大学生候補にはなかなかいないスケール感のある左腕という印象を受けました
荘司宏太(セガサミー) LHP
驚異的な奪三振能力を誇る社会人サウスポー.
セガサミーでは主にリリーフとして登板し,今年の公式戦では奪三振率12.81を記録しています.
ストレートは荒れ球気味で高めに抜けている印象が多いですが,自慢のカーブでカウントを整えつつチェンジアップを交えながらもホップする高めのストレートを活かしていけばNPBでも十分通用するのではないでしょうか.
吉納翼(早稲田大) OF
打力が売りの外野手.
将来の主砲候補が欲しい球団にはうってつけの選手です.
早稲田大学の主砲として活躍する吉納選手の長打力は,今年の大学生左打者の中ではトップクラスで間違いなく,今年の全日本大学選手権準決勝でも逆転のスリーランを放っていました
構えはややオープンスタンスですが,ボールを呼び込み体を開きすぎないスイングで軽々と神宮の逆方向のスタンドにもぶち込むパワーは必見でしょう.
麦谷祐介(富士大) OF
富士大が誇るスーパースター.
野性味あふれるルックスと性格,電光石火のような脚力,センターとして驚異的な守備範囲と強肩,今秋リーグ三冠王に輝くなど確実性と長打力を兼ね備えた打撃,そして春の選手権では常廣(広島),昨年の神宮大会では下村(阪神)からホームランを放つスター性...
これこそ麦谷祐介という男であり,今年の野手注目株をすべて抜き去ってナンバーワンになりうる可能性を秘めた選手です.
地方リーグの選手であること,波が激しいことなどは懸念材料ですが,この選手が2位まで残っていたら驚いてしまうと思います.
春の青学とのオープン戦で彼を直接見る機会がありましたが,やはりスターのオーラが佇む選手で,ぜひプロの世界でも大きく羽ばたいてほしいと思いました.
モイセエフ・ニキータ(豊川) OF
ロシアのルーツをもつ抜群のバネをもつ強打の高校生外野手.
秋の神宮大会で強烈な打力をアピールすると,春のセンバツでは低反発バットをもろともしない弾丸ライナーのHRを打つなどとにかくすさまじい打力を誇る高校生です
守備に関しては甲子園でも致命的なエラーをしてしまうなど,センターとして評価できるかどうかは球団によって割れる可能性がありますが,打力に関してはどこの球団も高い評価をしていると思われます
正林輝大(神村学園) OF
この選手もモイセエフ同様打撃に関して大きな魅力を持つ高校生外野手.
スイングアプローチに大きな欠点がなく,広角に打ち分ける技術やゾーンから逃げる変化球に対してもきちんとバットを止められるかつ強いスイングを仕掛けられる高校生離れしたスイング技術を持つ選手です
身長が178cmとNPBでスラッガーとして成長するにはやや上背は足りないのでタイプや順位感的には2021年ドラフト4位の前川(阪神),田村(広島)のようなイメージになると思いますが,
スイングから考える完成系は村上宗隆(ヤクルト)を彷彿とさせると思うので打者育成のしっかりした球団での成長に期待です
毎年好打者を次々と生み出す神村学園は僕もお気に入りの高校の1つで,今年こそ見ることは叶わなかったですが,昨年の夏は正林選手を生で見ることができ,下級生ながら非常に印象に残った選手の一人でした!
清水大暉(前橋商業) RHP
今年の豊作カテゴリーである大型高校生右腕のなかでも一際その素材の良さが光る選手.
身長193cmの長い手足を存分に使った指のかかったストレートは今年の高校生No.1クラス.ホップ成分も非常に強く狙って高めに投げることができればNPBでも強烈な武器になると感じています.
コマンドに関してはまだまだアバウトな部分が目立ち,変化球も複数種を投げ分けるものの強度が足りていないように感じますが,
先述のストレートや,投球する姿を見ていてわかるメカニックの部分への意識の高さも含めてどの球団のファンも贔屓に来たらうれしい存在なのではないでしょうか.
狩生聖真(佐伯鶴城) RHP
身長186cmに対して体重がわずか72kgと非常に細い体つきでありながら,最速150km/hを記録する素材型右腕.
ストレートの質自体は今朝丸や清水に比べると,劣る印象で高めに集めて効果的であるかどうかは疑問ですが,コマンドはまとまっており,また縦のスライダーは変化量が大きく高校生レベルであれば有効に使えていました.
投げ方もきれいでこの体をビルドアップしていけばより速く,より強い球を投げられる可能性が高く,プロでじっくり育てていきたい好素材の選手だと思います.
箱山遥人(健大高崎) C
高校生No.1捕手の呼び声高い万能型捕手.
打ってはセンバツ優勝校の健大高崎の絶対的4番,守っては下級生のWエースを引っ張りチームのキャプテンとしても全員を引っ張る「ザ・捕手」といった魅力のある選手です.
数多くのプロ選手を輩出している健大高崎の青柳監督も「自分が見てきた捕手の中でNo.1」と称するほどで,あらゆる面に隙のない捕手です.
関東の選手ながら僕は縁あって春と夏の甲子園どちらも現地で見ることができましたし,高校日本代表でもお目にかかることができました.
実際,リード面や捕球技術は高校生の中では卓越しており,強肩もプロのレベルど問題ないくらい強かったです.
打撃に関しては見るたびにやや印象の変わる選手ですが,基本的に打てる捕手にカテゴライズされることは間違いないでしょう.
沼井怜穏(横浜隼人) RHP
ナイジェリアのハーフで豊かな肉体をもつ大型右腕.
身体中からバネを感じる選手で,肘を柔らかく使いうまくしならせて最速150km/hの速球を投げます.
まだまだ速球,変化球ともにコマンドは不足しており,これから長い目で見ていく必要のある選手ですが,やはりその生い立ちからもわかる身体能力の高さは大きな伸びしろといえるでしょう.
阪神スカウトが以前から熱心に視察を続けている選手でありますが,阪神は前述の通り高校生の育成選手をとらない方針ですので,このようなポテンシャル全振りの選手をどのように獲得していくのか注目が集まります.
茨木祐太(帝京長岡) RHP
2022ドラフト4位指名の茨木秀俊(阪神)を兄に持つ大型投手.
兄に似て体の大きい大型右腕ですが,兄よりはややアングルが低めで,まるで軟体動物のような兄ほど体は柔らかく使っていないですが,肩甲骨周りは兄同様柔らかい選手です.
登板のない日は4番センターで出場するなど野手としても非常に注目度の高い選手でした.阪神は身体操作性の高い投手を好みますし,兄弟の縁もあって早い段階から視察情報も出ていましたので,ぜひタイガースに入団し兄弟で甲子園のマウンドをめざしてもらいたいです.
早川太貴(くふうハヤテ) RHP
新設の2軍球団からドラフト指名を目指す大型右腕.
早川投手はNPBの一軍球団を経由していないため,ドラフトでの指名が必要な選手になります.
身長は185cmながら投球モーションは身体をかがめ腹筋優位の出力でリリースアングルも低く前に出していく投手です.この投げ方で生み出されるエクステンションは素晴らしく,筒井スカウト曰く岩崎優(阪神)並みの数値を記録しているそう.
変化球に関しても,現状はスプリットを決め球に使っているようですが子の投げ方であればスイーパーやカット系の成長にも期待です.
阪神は特に2軍球団が対戦時21イニング連続無失点ととにかく抑え込まれているので,高く評価している可能性があります.
加藤響(徳島インディゴソックス) SS
東洋大学に在学しながら野球部を中退し,現役の独立リーガーという異色の経歴を持った選手.
ここでは中退の経緯は詳しく書けませんが,本人の素行が悪かったなどではないのでそこは心配しなくても大丈夫だと思います.
東洋大学在学中は東都1部で下級生ながらサードのベストナインも受賞したことがある逸材は徳島IS入りでさらに攻守でレベルアップ.
打撃はリーグで3割越えの打率と6本のホームランと長打力をアップさせ,守備ではショートを守りますが土のグラウンドが多い独立の環境でも堅実な守備が光り,プロのレベルでも期待できるほど.
ただ阪神が獲得となると少し厳しい事情があるのも事実です.
それは今季戦力外になった遠藤成選手のことです
2019年ドラフトの4位指名で東海大相模から獲得した遠藤選手ですが,加藤選手はその相模の1つ下の後輩にあたります
もちろん加藤選手は東洋大に進学し現在徳島ISに所属しているので,直接的なかぶりはないですが,同じポジションで年齢がわずか1つしか違わない選手の指名となると,
東海大系列の各所にいいイメージは持たれないでしょう.
森下翔太(東海大相模-中央大-阪神)を始め,東海大系列とは密接な関係を築く球団だけに,ある程度の配慮がなされるような気はします...
ここまでがリストアップの報道があった選手です.
続いて視察報道や阪神スカウトがコメントをだした選手の中から,指名の可能性が高そうな選手を選び,紹介させていただきます.
林翔大(大経大) RHP
ゲームメイク能力に長ける総合力の高い右腕.
最速151km/hの直球を内外丁寧に投げ分け,カッターやスライダー,チェンジアップも使いこなす先発投手です
リーグ戦にも通算35試合登板しており,チームからも信頼される選手で,今秋の関西六大学リーグでは最優秀投手にも選ばれました.
回を重ねても多彩な変化球をコーナーに散らすため打者に的を絞らせず安定したピッチングができるので先発投手の頭数が現状足りていない球団はぜひ獲得に動きたい選手ではないでしょうか.
僕が見に行った試合ではリリーフからの登板でしたが,複数イニングを難なく消化しており,ランナーが出ても落ち着いて投球できる姿が印象的でした.
廣池康志郎(東海大九州キャンパス) RHP
伸び代著しい豪速球右腕。
最速153km/hの直球を柔軟性のあるフォームからくらい出すのが特徴で,特に足を高く上げるときに腰をそらし,そこから遊脚を伸ばしたままおろしていく独特なフォームは一度見るとなかなか忘れない特徴的なフォームです.
直球の回転数は2500回転を記録し,回転軸も美しいため非常にホップ成分の期待できる直球で秋季リーグでは153km/hを複数回計測するなどこの部分に関してはドラフト候補の中でも際立っているといえます.
選手権で登板した際は変化球もうまく扱えていましたが全体的な投球術やコマンドに関してはこれから改善が必要で,このスケール感をどの順位感で評価するかが争点になってくるでしょう.
吉岡暖(阿南光) RHP
多彩な球種を投げ分ける技巧派右腕。
身長182cm,最速146km/hは今年の大型右腕大豊作市場では少し見劣りするものの,投球術や変化球の精度など投手としての質の高さは抜群で,個人的には高尾響(広陵),間木歩(報徳学園)とこの吉岡の三人が今年の高校生世代で最も総合的に優れた投手だと考えています(※間木は進学)
カッター,ツーシーム,フォーク,カーブ,スライダーなど多くの球種を器用に使いこなす投手ですが,特にカッターはカウント球としても勝負球としても使えており,極めて先発適正の高い投手の印象を受けます
課題はやはりストレートの球速と強度になってきますが,本人もそれを自覚しており,逆にストレートさえ高い基準に持ってこれば世代を代表する投手になれる,そんな実践型右腕です.
今坂幸暉(大院大高) SS
履正社、桐蔭を破った大阪の高校野球界の革命児。
50mを5秒9で走る瞬足と,最速140km/hで遠投115mを投げる肩,気持ちがいいほど鋭く振りぬくバットスピードの速さとわかりやすく走攻守3拍子揃ったアスリート系ショートです.
ショートとしてはまだ身体能力の高さに依存するプレーも多く,最終的なポジションがどこになるかは予想ができませんが,これだけのアスリート性を持った選手は今年の高校生ショートだと斎藤(金沢)か彼ぐらいではないでしょうか.
夏は見に行こうと思った試合が雨で流れてしまい,その流れた試合でまさかの初戦負けだったのですが,春季大会で彼を見に大阪の山奥まで見に行ったのは今でもいい経験だったと思います(笑)
谷村剛(和歌山東) 3B
強いスイングを仕掛けられる強打の高校生三塁手.
身長は177cmとコーナーの選手にしてはそこまで大きくなく,打球角度もそこまでつく選手ではないのでアーチストというより好打者的なイメージの選手です.自然な構えから無駄なくバットが出てきており,また右投げ左打ちの選手にしては珍しく背筋優位で押し手の力が強く,ポイントも近い時があり,逆方向にも打球が伸びていく印象を受けました.
3B守備も非常に上手で,左の強打者でありながら弾道は低く逆方向への長打がみられる部分から考えると,阪神が高校生のコーナーをとるならこの選手のようなタイプになると予想しています.
柴崎聖人(大経大) OF
走攻守三拍子揃った万能センター。
身長は173cmとかなり小柄な部類に入るが実際その姿を現地で見ても全くそんな風に映らない選手です.
その最大の理由は背筋優位の爆発的なスイング.この身長ながら思わず柳田悠岐を彷彿させるほどの大胆なスイングを仕掛けますが,意外にも打席内でのアプローチは冷静で追い込まれた際は身体を残しながらもしっかり強振できる技術の高さも持った選手です.
足も非常に速く守備範囲も非常に広いためプロでも十分センターでやっていける選手だと思います.
竹内翔汰(立命館大) OF
関西学生野球連盟が誇る屈指のスラッガー。
こちらも身長173cmと小柄ながら,関西学生野球界を代表するスラッガーとしてその名を馳せてきた選手です.
投高打低の関学連において,通算打率3割を超えており,4年春も首位打者を獲得するなど確実性の部分がリーグ戦で目立ちます.
実際4年秋も金丸(関西大)からツーベースを放つなど高いレベルの投手相手でもしっかり対応ができるのは強みだと思います.
彼を語るうえで最も面白く,評価に困るポイント,それは
「リーグ戦で全然ホームランを打たないくせに,関東遠征に行くと強豪相手にあほみたいにホームランを打つ」
という点です.
夏のオープン戦期間では短い関東遠征の間になんと5本ものホームランを打ったにもかかわらず,リーグでは春夏合わせて今年はゼロ.
しかも春の関東遠征でもホームランを打ちまくっており,もはや指名される球団も在京球団のほうがいいのでは,,,?とすら思ってしまうほど.
自分が最もよく観戦する関学連の選手なだけあって当然思い入れもありますし,関学連は順位縛りなどが厳しいことで有名ですが,なんとかNPB入りの夢をかなえてもらいたいと思っています.
落合秀市(高知ファイティングドッグス) RHP
ここで書くとあまりにも長くなってしまう,異色の経歴を持つ選手です.
もし興味のある方はぜひ上記の記事を読んでみてください
ラファエル・ドリスが藤川球児新監督と密接な関係にあることは,阪神ファンの中では割と知られている話ですが,そのドリスを師匠と仰ぐのがこの落合です
持っている素質はプロに入って遜色ないレベル.
阪神の隠し玉候補の一人として期待していきたいです.
町田隼乙(埼玉武蔵ヒートベアーズ) C
こちらも阪神の隠し玉候補として期待できる高卒4年目の捕手です.
詳しくはこちらの記事をご覧ください
阪神とのかかわりが強く,捕手も現在補強ポイントでありますから育成を中心に指名を考えられる選手だと思います
以上が現段階で阪神の報道や記事で確認できるドラフト候補になります!!
あと2日ですが,注意するべきは
リストアップ報道は他球団に揺さぶりを入れるブラフも多い
今年は育成指名増加.地方リーグ大学生&独立には注目
この2点は留意しておくべきでしょう!
阪神に関しては,当日朝の報道で名前の出た選手はブラフではなく本指名される可能性が高いので朝からニュース等は要チェックですね.
年に一度のお祭り,一人でも多くのファンが楽しめることを祈っています!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?