見出し画像

第36期中部プロリーグ決勝4回戦

中部プロリーグについて

4回戦開始時のトータルポイント

トータル成績
山本+15.9
高橋+14.3
犬飼△3.6
山田△27.6

いよいよ最終戦。
最終4回戦目は日本プロ麻雀連盟の規定に従って、
東家にトータル2位の高橋
南家にトータル3位の犬飼
西家にトータル4位の山田
北家にトータル首位の山本
の並びでスタート。

ここまでは山本、山田が局を引っ張り
犬飼、高橋は勝負所を待つ展開が多いイメージ。
しっかり食らいついてこの差で最終戦を迎えているのは流石のひと言。
高橋、山本は着順勝負、犬飼は浮き沈みを決めてのトップを取りたい。山田はとにかく大きなトップを狙う状況となりそうだ。

まずは座順で改めて各選手の紹介をしていく。
高橋侑希

犬飼直紀

山田優駿

山本拓哉


東1局

四者共にまずまず纏まった手牌でスタート。
まずは東暗刻の山本が1のポンから発進。高橋の親は早々に流したいところだろう。
白と西が対子の親の高橋は大きく混一色を狙って打ち進めていく。
そうこうしてる間に山田が3巡目にリーチ、三色同順のペン七待ち。
人によっては前巡に1を残して純全帯么九を狙う手もありそうだが、ここは山田らしい選択か。

続いて山本が②と九のシャンポンで聴牌。
さらに犬飼がカン7の断么九聴牌。
高橋も白を鳴いて応戦していく。
いきなりのぶつかり合いとなった。
この局は山田が高橋からリーチ、三色同順の5,200を和了。
これは山本、犬飼にとっても嬉しい和了と言えるだろう。

東2局

配牌は山本がリードしている。
山田も自身の麻雀を貫いてやや遠いところからの仕掛けをしていく。
そして5巡目に山本がドラ2の五-八リーチ。和了すれば決め手になりかねないリーチだ。リーチ時点で山に4枚。
山田がさらに仕掛けて応戦。三副露して一向聴、ここは完全に勝負どころと見たか。
この局は仕掛けて連荘狙いに出た親の犬飼から中が放たれ山田の2,600の和了。
この和了ができる人間がどれだけいるだろう。

まさに山田の真骨頂と言える和了だ。

東3局

親の山田は対子の多い手牌で①ポンから発進。

さらに七をポン、しかし發は高橋と持ち持ちになっており、和了までは厳しそうに見える。
5巡目に犬飼がドラのカン4待ちの役なし聴牌を入れる。ここはヤミテンとする。
次巡6を引き入れ4-7でリーチ。
すぐに7をツモり、リーチ、ツモ、500-1,000の和了となった。

東4局

親の山本に好配牌が入る。

高橋も789の見える手牌で手がぶつかりそうだなと思ったときに映った犬飼の手牌が、

配牌一向聴の手牌、他者が一気に霞んだ。
第一ツモにかなりの気合いが入っていた。

山田も負けじと、

東とドラが対子の手牌。
この局は全員がぶつかりそうだ。

まずは山田がカン⑧をチー、混全帯么九も見据えての発進か。ここから②ポン、四ポンとして、ドラの9と東のシャンポン待ちの聴牌を入れる。

白か東を掴んだら受けに回らざるを得なそうだ。

すぐに白を持ってきた犬飼はこの表情、かなり手広い一向聴から白を持ってくるのは非常に悔しいだろうが、吸収したとポジティブに捉えられるか。
白単騎ルートで三をカンして、嶺上から持ってきたのは…なんと東。

犬飼は完全に撤退となったかと思われたが、なんと白を重ねて聴牌、

ここで犬飼はリーチを選択。
無情にも東が出ていき、山田の東、ドラドラ、3,900の和了となった。

4回戦になってようやく山田が躍動し始め、犬飼を捲りトータル3位に。トータルトップまで17.3ポイント差とした。

南1局

優勝のために何とか繋げていきたい高橋の親番。
配牌は決していいとは言えない。

山田は得意の仕掛けが効きそうな配牌で高橋の親を早く落としたいだろう。

犬飼、山本はやや厳しそう。

高橋、山田の両者は順調に手を進めていき、5巡目には共に高打点が見える形に。

山田に先制聴牌が入る。
フリテンの一-四に受けるか聴牌を外すかの選択。

山田が選んだのは③切りのヤミテン、実況ではフリテンリーチも考えての選択ではと言っていた。

山本はこの③をチー、中の後付けで仕掛けていく。高橋の親番は何とか落としたいだろう。
中は親の現物となっており、安全度も加味しているように見える。

次巡山田が三をツモり、また選択となる。
ここは打二とし、フリテン解消となる三と六のシャンポン待ちとする。

続いて山本が聴牌を入れる。

この中は犬飼の手の中にあり、よほど打ち出されることはなさそうだ。

ここで山田が最高に嬉しいと手代わり言えるドラ表示牌の七を引き、五-八でリーチ。

山本はすぐに撤退、そして親の高橋にも七が!
少考の末、高橋はリーチを選択。
この勝負の結末が決勝の行方を占うと言っても過言ではない。

結果は山田が四を掴むこととなる。
たらればを言えばキリがないが、最初の聴牌時にフリテンリーチを打っていれば山田の1,300-2,600の和了となっていた四だ。
まさに紙一重の一局となった。

ここまで我慢の麻雀を打ち続けた高橋の、高橋らしい丁寧な手順で打ち進めた結果の和了はリーチ、平和、断么九、三色同順、ドラの18,000。

山田、犬飼の表情がこの和了の大きさを物語っている。

トータルスコアも一気に三者を突き放した。

南1局(1本場)

高橋はこの配牌から1巡目に北のポン、ドラ色の萬子の混一色でプレッシャーをかけていく。
上家の山本はこの時点でかなり打牌に制限がかかりそう。犬飼、山田も役牌はかなり切りづらいだろう。
やはり高橋の早いオタ風のポンはかなり警戒される。
高橋の一人旅になるかと思えたが、山田が役牌を重ねていき七対子の一向聴に。
ここで高橋から打たれた發をポン、対々和の一向聴に。

打ち出された東をすかさず高橋がポン

さらに広い一向聴となる。
山田の欲しい、南と白は犬飼、山本の手に各1枚ずつ。まず打たれることはなさそうだ。
高橋にペン七の聴牌が入るも、和了とはならず高橋の1人聴牌で流局。

南1局(2本場)

ここは山田が断么九が色濃く見える纏まった配牌、高橋は白が対子の手牌となるが、かなりスリムに打ち進めていく。しかし他者の目からは高橋の捨て牌には警戒が必要に見える。

まずは山田に断么九の聴牌が入るが、一手変わりで三色同順になることもありヤミテンを選択。ツモってからのフリテンリーチも視野か。

続いて山本が聴牌、打点を見てツモり三暗刻でリーチ。

山田が5を引きツモ…と言いたいところだが待望の三色振り変わり、決死のフリテンリーチとした。しかし無情にも打ち出された二が山本への放銃に。山本のリーチ、2,300は2,900の和了。

南2局

ドラの發が対子の犬飼が一気に萬子の混一色へ。決まれば6,000オールクラスも見える。

順調に萬子を引き入れていき、6,000オールどころか12,000オールまで見えてきた。

高橋が打ち出した二をチーして聴牌、發と西のシャンポンで安めの西でも12,000、まずはひと和了と言うには十分すぎる打点だ。
1枚切れの西は誰が掴んでも出ておかしくない。高橋が②をチーして、2-5の聴牌。

山田に聴牌が入り、リーチ宣言牌の5を高橋が捉えて、断么九、1,000点の和了。
高橋にとって非常に大きな和了。犬飼は非常に悔しいだろう。

南3局

山田にとっては絶対に落とせない親番。
犬飼も最低でも倍満を和了したい。
ここで山本が中、發とポン。

手の内に白が1枚、残り3枚は山にあり、大三元のチャンス。ここで大事件は起きるのか。
3を引き入れ、大三元の一向聴となったが、冷静に⑤をポンして小三元の聴牌。

ここでの満貫和了は大きいため、賢明な選択に見える。
高橋の心境は穏やかではないだろう。
犬飼も苦しい手形、山田はメンツ手と七対子が見える一向聴で粘っていたが、ここで白を引く。

条件を考えれば白を切り出しても誰も責められる者はいないだろう。

長考の末、山田が選んだのは白ではなく7、七対子に決めた格好だ。
見事に北を重ねて白単騎のリーチ。

2枚山の白はすべて王牌におり、山田、山本の2人聴牌で流局。

南3局(1本場)

高橋に軽めの手が入り、さらに白を重ねる。
山本、山田もすぐに七対子の一向聴に。
そして白を暗刻にした高橋が萬子の両面を払って、スピードよりも打点に振り切っていく。

先手を取ったのは親の山田、ドラの5単騎の七対子をリーチ、リーチ時点で3枚山。

この5をツモ和了り山田の6,000は6,100オールの和了。

南2局(2本場)

山田にまたも強烈な手牌が。仕上がれば8,000オールまで見える。

山本は混一色へ、高橋はタンヤオへ向かう。
またも山田が先制聴牌し、ドラは出ていく形にはなったが、6-9待ちのリーチとする。

三者共に立ち向かうことはできずに、山田がリーチ、ツモ、平和、ドラの2,600は2,800オールの和了。
解説の杉浦は山田が2局連続で門前で和了したことに驚いていた。

南3局(3本場)

山本がややリードした配牌か。
南が対子となった高橋も早々この局を流したいだろう。
自力で南を暗刻にして、一をポン、五-八の聴牌を入れる。


山田から八が打ち出されて、高橋の南、1,300は2,200の和了。

南4局

いよいよオーラスを迎えて各者の条件は下の画像の通り。

犬飼、山田には役満ツモの条件が残り、山本は連荘狙い。

運命の四者の配牌はこちら。

東家 山本拓哉
南家 高橋侑希(トップ目)
西家 犬飼直紀
北家 山田優駿

犬飼、山田には役満が見えず、山本も苦しい手牌、反対に高橋は好配牌となっておりこの局で勝負が決まるか。

山本はかなり苦しいながらも⑥からポン、

高橋が三を引き、ペン7の聴牌。

この時点で7は山に3枚。
そして高橋が自力で7をツモ、2,000-3,900を和了。

この瞬間、第36期中部プロリーグの王者は高橋侑希に決まった。
中部本部では初の女流選手の戴冠となった。

最終結果
1位高橋+39.3
2位山本+1.0
3位山田▲11.8
4位犬飼▲29.5

書きたいことは山ほどあるが、筆者にはまだ遠い世界でのこれだけの戦いを繰り広げた先輩方に対して、述べる言葉など持ち合わせていない。
どんな言葉も陳腐になってしまう。
ただただかっこよかった。
そして、この舞台に立ちたいと心から思う。
36期の終わりは37期のスタート。
来期は誰がこの舞台に立ち、優勝するのか。

最後に解説を務めた、杉浦勘介プロと中部本部副本部長の青山大プロから総評をいただいた。

杉浦プロ
「4者がそれぞれ持ち味を出した素晴らしい決勝戦でした。
もちろん敗者には後悔もあるでしょう。
でも実況解説室が大いに盛り上がっていたように、きっと視聴していただいた方にも選手の個性と魅力が伝わったはず!
自分も来期はこの舞台に立って痺れる戦いをしたいなぁと強く思いました。
高橋プロ優勝おめでとうございます!」

青山プロ
「優勝予想で一番印が少なかった高橋。みんなの予想結果を見て、高橋の反骨精神がプラスに作用していれば幸い。
雀風が異なる4者が長い予選で戦略に磨きをかけてきたのが伝わって来ました。
中部の決勝は初出場が3名いて緊張感も多かったと思います。
その緊張感の中にも4者それぞれの見所がありました。

4者とも交流があるため個人的には誰に優勝して欲しいと言いにくいですが、誰が勝っても私は嬉しいです。(ズルいコメント)
出場した選手の中での先輩は29期の高橋・山本。(13年目)
この対局を通じて層の厚さや出場選手が広く知れ渡って頂けたら幸いです。」

おまけのオフショットを。

勘介さん…
ゆきりんパイセンいつもカフェラテ。
同期2人で。

さて、第37期の中部プロリーグは3月9日(日)より開幕します。原則毎月第2日曜日に琥珀さんで行われます。
観戦自由となっておりますので、是非とも選手たちの姿を生でご覧ください。
決勝を戦った選手だけでなく、魅力的なプロがたくさんいます。
志方もいます。志方のAリーグへの挑戦を応援に来てください。後ろ見されるとやる気増すタイプです。
あー夏目坂で対局したい。

お問い合わせなどは中部本部公式Xより。
どんな些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

いいなと思ったら応援しよう!