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第36期中部プロリーグ決勝3回戦
中部プロリーグについて
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トータル成績
高橋+18.5
山本+0.4
犬飼△8.5
山田△11.4
1戦でひっくり返るような大接戦である。
3回戦
犬飼、山田、山本、高橋
の座順でスタート
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犬飼は3戦続けての起家スタートとなる。
東1局
3回戦に入っても依然、犬飼の配牌は苦しい。
山本が上手く成就すれば高打点も見込める手牌、高橋は打点を見ながら進めていく、山田がドラの白を重ねてチャンス手に。
山本から4巡目に南と①のシャンポンで先制リーチ、三暗刻は崩れたがまずは先手を取る。
ドラが2枚の山田はリーチに対して押していく。
しかし、親の犬飼もドラを重ねて押し返していく形に、ドラは山田と持ち持ちなので両者厳しいか。高橋は丁寧に受けていく。
山本が山田から放たれた南を捉え、1,300の和了。
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東2局
親の山田が索子が多い手牌、山本はそこそこ纏まっており、高橋は第一打を五とし、高打点を見ながらスリムに進めていく。
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一番厳しい配牌に見えた犬飼が8巡目にドラ2七対子の一向聴に、リーチ・ツモ・七対子・ドラ2を和了すれば一気にトータルトップに。
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山田が5を両面チーして、一向聴から一向聴の鳴きで発進。一気に受け入れが広がった。
次巡すぐに五-八の聴牌が入り、続いて山本にも④-⑦の平和高めドラの聴牌が入る。
続けて高橋が中を暗刻にして、一-四の高め一盃口の聴牌、一気に三者に聴牌が入る。高橋、山本共にヤミテンを選択。
この局は山田から放たれた一を高橋が捉えて、1,300の和了。
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東3局
親の山本が索子の多い手牌、高橋は白の対子を含んで4対子の手牌、犬飼はドラの六が1枚で東が対子、456三色同順も見える。
しかし、山田がドラ2で纏まった配牌で一歩リードか。
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高橋は七対子の筒子に寄せていくが、すぐに七対子の一向聴に。山本は混全帯么がはっきり見える。
そうこうしてる間に犬飼の手がすくすく育ち、跳満クラスの一向聴に。
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ここまで我慢が続いた犬飼に勝負手が入る。
手のぶつかりそうな今局で先制聴牌は山本、3枚目の三をチーして、ドラを放ち西と九のシャンポンで混全帯么九の聴牌を入れる。
しかし九はすでに2枚切れ。
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1,500点とはいえ、この局を交わすことが出来ればかなり大きい。
続いて犬飼が勝負手リーチ、高め3,000-6,000だ。
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なんと!この④-⑦が5山!!
山田も宣言牌の4をチーして応戦していく。
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このチーで山本の和了牌の西が高橋に流れ、高橋はこの西をしっかり止める。
ここまでで一番の勝負局となった。
山本が⑥を持ってきて少考するも押していく。
さらに犬飼の高めの④が山田に流れる。
目の離せない1局は、四を引き入れ聴牌した山田から④が放たれ、犬飼がリーチ、東、三色同順、ドラの8,000点の和了となった。
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ここまでで最高打点で犬飼にとっては待望の大物手の成就。
山田の雀風から4を仕掛けない手はないように見えるが、トータルでも現状1人沈みとなり、軽快に局を進めていく展開が持ち味の山田には手痛い放銃となった。
東4局
前局とは打って変わって四者共に厳しい配牌、東が対子でドラ1の山田、仕掛けていくには打点が不満なように見えるが、この東を一鳴き、己のスタイルを貫いていく。
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ドラ2枚以上、もしくは混一色など手役が絡んでいるように見えそうだが、この一鳴きは他三者からどう見えたのだろう。
選手に聞いてみたところ、
高橋「序盤切り出しや後の手出しが大人しいので混一色は考えていませんでした。また"山田さんの仕掛け”ということもあり、打点スピード共に読みにくいので警戒を強めてはいなかったですが、親とはいえ自身にドラがないことが不安要素ではありました。」
犬飼「あの局面、親の高橋さんが役牌切り出しが早かったから、親はだいぶ手形整ってるイメージがあって。
山田さんに関しては、高橋さんの親を流すようないつもの仕掛けに見えた。
実際はドラ1で、あとから重なったから3,900の手になってたけれど。
あそこは山田さんに打ってでも、高橋さんの親はやらせたくなかったから、悔いはないんだけど、打点が想像より高かったかな」
山本「どうせ安いと思ってたのでたいして印象に残っていません。」
このあたりは山田ブランドか。
三者ともに気にしてない様子。筆者は考えすぎていたようです。
山田の仕掛けはトータルトップ目の高橋の親を流す目的だろうか。
高橋、犬飼と続けて一向聴になる。
山本はドラ色の萬子の一気通貫が見える手格好となり、決まれば高打点となりそうだ。
ここで山田が唯一の渡りを打つドラを重ねる。ドラが出ていき1,000点に留まってしまう可能性もあっただけにこれは嬉しい。
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高橋に場況が絶好に見えるカン②の聴牌が入る。
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しかしここはドラの四を引いての手代わりがあまりにも大きいためか、ヤミテンを選択。
続けて犬飼が8をポンして、四-七の断么九の聴牌。
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続け山田がカン八で聴牌。
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この局は山田が犬飼から東ドラドラの3,900点を和了。
結果的に山田の見事な仕掛けとなった。
南1局
ここに来て親の犬飼に2メンツドラ1枚の好配牌、山田も形は整っており得意の仕掛けが効きそう。山本、高橋も悪くない配牌で今局も手がぶつかる予感。
高橋はこの手牌で1枚目の中を当然のようにスルー、山田とは対照的な打ち回しだ。
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高橋は木村多江さんに似てるのか!?
いい意味で幸の薄そうな美人とのこと。
美人には同意だが…
幸せになって欲しいらしい。
全て杉浦談。
そうこう言ってる間に、親の犬飼はドラを重ねて一向聴、ドラ表示牌のカン4を引ければ超勝負手になる。続けて山本も一向聴に。
高橋は手役を見ながら丁寧に進行していく。
犬飼がここで少考。
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カン4がネックと見たか、3に手をかける。5-8引きで雀頭の振り替えも効くので3を打つ人が多い印象。
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先制聴牌は山本、4-7待ちの平和ドラ1リーチ。
高橋は引き気味だが、犬飼、山田は押していく手形。
山本が7をツモり、リーチ・ツモ・平和・ドラの1,300-2,600の和了。
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1回戦から小場の展開だったが、ここに来て一気に動き出した。
トータルでも山本が一気に高橋と4.6ポイント差と並びに近いポイントまで上がってきた。
南2局
配牌は四者共に決して良くはないが、親の山田がややリードか。
ドラの南が山田と高橋に1枚ずつあり重ねることができれば一気に勝負手になりえる。
山田が6巡目に一向聴、山本も打点こそないものの捌き手には十分な手格好。高橋、犬飼はやや苦しいか。
まず親の山田に聴牌が入る。
ドラの南を切っての、五-八待ちの平和をリーチ。
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山本がここから六を両面チー、やや遠い仕掛けに見えるが筒子の上が安全ターツのため、なんとか応戦していく。
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山田続けて8をチーして一向聴、高橋も比較的安全度が高く見える牌を切りながら手を進め、犬飼も丁寧な打ち回しで一向聴とする。
3聴牌したら1枚勝負するつもりに見えるが、トータル4位の山田の親のリーチには放銃したくないところだろう。
三者ギリギリまで粘りの姿勢を見せたが、聴牌は入らず、山田の1人聴牌で流局。
南2局 (1本場)
ここで高橋が沈み、山本がトータルトップに。
さらに配牌でドラドラで形も纏まっている。一気にリードを広げられるか。
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北家の犬飼も形が良い。
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親の山田は東を一鳴きしていく。5巡目に一向聴となり、犬飼に追いつく。
ここで山本がダブ南を重ね、勝負手模様になっていく。
しかしこの南は高橋がしっかり絞っており、なかなか鳴けそうにない。残り1枚がどこにいくかで大きくこの局の展開を左右しそうだ。
先制聴牌は山田、犬飼から7をチーして⑧と六のシャンポン聴牌。
ここで高橋がらしさを見せる。
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自身が一向聴になるも、⑧は山田への放銃、南は山本のポンが入る。
ここで高橋が選んだのは、
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打⑨、解説陣も絶賛のまさに我慢の麻雀を見せてくれる。
ここは山田が六をツモ和了、500は600オール。
南2局(2本場)
犬飼の6巡目の選択に注目したい。
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ドラとはいえ断么九も七対子も見える、一を切りたいところだが、打⑤とする。
満貫、跳満ルートを強く見た選択。
先制聴牌は高橋、役なしのカン④だが一手変わりで平和、一盃口、一気通貫と多くの手替わりがあるためヤミテンを選択。
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続けて山本に二副露しての、白暗刻の二-五の聴牌が入る。
そこに犬飼が待望のドラを重ねての七対子の聴牌、②単騎に受ける。
この②を山本が掴み、犬飼の七対子・ドラドラの6,400は7,000和了。
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トータルポイントでも犬飼が2位となった。
南3局
親の山本に纏まった手牌が入る。
ドラの中が山田が1枚持っているのみで山に3枚。
8巡目に犬飼が断么九の一向聴、そこで打ち出された一を山田がチー、一気通貫と中の重なりを見たか。
この局面も気になり山田に聞いてみた。
山田「一気通貫と中の重なりをみました。」
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山本に絶好の3が入り、さらにドラの中が2枚山本に流れ、リーチと打って出る。
犬飼にも②単騎の聴牌が入っている。
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犬飼は7単騎に変えて、無筋の②を押していく。
さらに③を引き、ここで長考、親のリーチは交わしたいが、ドラも見えていない局面で放銃が致命傷になる可能性もあり、非常に難しい局面。ここは打七とし撤退模様。
犬飼「結果降りたけどさ………
あそこは押したかったなー。山田さんが早々に受けたから、やまたくさんにドラドラパターン見えてきちゃって行けなかった。あそこも選択分かれるけど、押し得なのは分かってても、行けんかった。」
気持ちは痛いほどわかる。
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そして山本が3をツモ和了り大きな大きなリーチ、ツモ、ドラ2の3,900オールの和了。
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またもトータル首位が入れ替わり山本が首位となる。
南3局(1本場)
山本が打点こそないものの2巡目に一向聴となる。ここでの早い親のリーチは他三者にはかなりきついだろう。
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山田は白を一鳴き、浮きを狙いたい局面で混一色を見ているのか。
上家の犬飼は筒子を鳴かせようか考えているように見えた。
犬飼「自分の上がりを見るか、早々に鳴かせにいこうか迷ったんだけど、鳴かせるにしても、もう少し手出し入ってからにしようかなって。
その間に自分も押し返せる形になった時は、まっすぐ攻めていく。
無理そうなら山田さんに鳴いてもらって、アガリにいってもらうのがベストかなって。」
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ここから山本は七対子の一向聴に受けていく。
山田は順調に筒子を引き入れ、發騎の聴牌から②-⑤-⑧待ちへ。
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山本はドラを重ねて南単騎の聴牌、南は高橋が後付けで仕掛けた牌で山には1枚。
1巡回して山本がリーチ、6,000オールとなったらあまりにも大きすぎる。
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ここで黙っていなかったのが犬飼。丁寧な手順で進めていた犬飼がペン7を引き入れ、聴牌を入れ③-⑥、②-⑤でリーチ。リーチ宣言の打牌にかなり気持ちがこもっている。
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さらに高橋が南待ちの聴牌、まさに勝負局!
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犬飼の待ちは山に4枚、他三者は1枚の戦いとなったがこの局を制したのは高橋!
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南をツモり、ダブ南、ドラ1の1,000-2,000の和了。
この和了はあまりにも大きい和了と言えるだろう。
他三者は非常に悔しそうな表情に見えた。
この和了でまたもトータル首位が入れ替わり、高橋が首位に。
南4局
浮きが苦しくなったように見えた山田の手牌がかなり面白い。何を見て進めていくか。
ここは打3とする。
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しかし山田から次順打ち出された⑥を白を一鳴きしていた山本がチーして聴牌。
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五-八のノベタン待ちとして、トップで3回戦を終わらせにいく。
すぐに高橋から八が打ち出され、白、1,000点の和了。
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望外の高橋からの出和了で、高橋を沈めることとなり、山本にとっては最高の展開、高橋にとっては手痛い放銃でトータルポイントも逆転して大接戦に。
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山本がトータル首位で4回戦を迎えることとなる。
しかし、2位の高橋まで、1.6ポイント差、3位の犬飼も19.5ポイント差と全く油断できないポイント差。
山田は最終戦に厳しい条件が残る形となった。
3回戦からいっきに中打点以上が飛び交い全く油断できないだろう。
ひとつの和了が決め手に、ひとつの放銃が敗着に繋がりかねない最終戦となりそうだ。
3回戦は
1位山本+15.5
2位犬飼+4.9
3位高橋△4.2
4位山田△16.2
の並びで終了となった。
トータル
1位山本+15.9
2位高橋+14.3
3位犬飼▲3.6
4位山田▲27.6
あー、決勝出たいなー。こんな展開面白すぎるやん。対局者になりたいよ。なお筆者は現在、Bリーグ所属のため、再来年まで可能性はない模様。
Aリーグに上がりたいけどまだまだ差があるなー。