海外ドラマ「THE HEAD」果て無き深淵に挑む考察とかレビュー(1)
Huluオリジナル日欧共同制作ドラマ『THE HEAD』が話題だ。山Pこと山下智久さんが出演ということで、日本での宣伝にもかなり力入っていた。
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毎週金曜22時に最新話配信。全6話中すでに2話まで配信中。本日6月26日は3話の配信予定。
物語は、南極観測基地に詰めている様々な職業の10人の越冬隊が極夜(白夜の反対で夜が明けない期間)をすごし、その中で恐ろしい連続殺人事件が起きる。というもの。
2話までの物語はぜひともHuluで視聴していただきたいが、本記事は主にすでに視聴済みの方が抱くであろう「物語の謎」を考察を交えて提案していきたい。
なので、未視聴の方にはほぼお役に立てない記事であることはお断りしておく(なんらかの予防線)
とはいっても本格的な考察は次の記事から入るとして、本記事はドラマ視聴中の方や、これから見ようと思っている方への導入としたい(訳:前置きが長すぎて本題に入れませんでした。)
なお筆者はガチガチの山Pオタクを自認しているが、ここは色眼鏡を時々中指で持ち上げてずらしてみたり、または本能の赴くままオタクフィルターをふんだんに通した目線からもみたり、なるべくオタクな感想はツイッターで叫ぶとして、その中でもこの「THE HEAD」の面白さに迫っていきたい。
さて、このドラマの楽しみは色々あれど私は主に以下の点かと思う。
シンプルに、犯人を当てる
このドラマの中では連続殺人事件が起きる。海外ドラマでよく見られる「クローズドサークルでゾンビやクリーチャーが襲ってくるパニックもの」ではない。
南極が舞台ではあるが「未知の生物を掘り起こしてよくわからない勢力に次々殺されていく」という話でもない。(それは「遊星からの物体X」であるが、「THE HEAD」のストーリーにも関わっている)
2話までの中では「基地の中で殺人事件が起こり、越冬隊のメンバーは犯人を捜し始める。しかしその間に見えない犯人が次の殺人事件を起こしていく」という流れだ。
「2話までの中では」としているのは、このドラマの進み方が「事件が終わってからの現在パート」と「大量殺戮事件の生存者(主人公である医師マギー)が語り部となり過去を供述する過去パート」であるからだ。
つまりドラマ内過去パートで描かれているのは「生存者の証言からなる再現ビデオ」だ。それが「語り部が真実を話している」かというのは、今のところ保証はされていない。
そんな中で視聴者として、犯人を当てたいという考察は浅いところではたどり着けない楽しさがある。
このドラマは(物語としての)真相なのか?
こういった特殊なストーリーの進み方をするので、視聴者として「犯人当て」をしたいところであると同時に、情報として与えられているこのドラマ映像で真犯人を指摘できるのか? という疑念が残る。いわゆる「信頼できない語り手」という存在だ。
視聴者としてドラマを見ながら「あいつが犯人か、いややっぱりこいつが犯人か、もしかして共犯が?」と楽しみながらも「この映像自体がミスリードなのでは?」という疑惑も持たなくてはいけない。私たちは何を見せられているのか…? そこが楽しみの一つだ。
ちなみにこの技法で私は名作映画「ユージュアル・サスペクツ」を思い出した。「語り部が過去の事件を話す」という一点だけお伝えしておいて、有名な映画であるが未視聴で興味のある方はぜひ見てみてほしい。
映像やセリフの隅々に伏線がある
10人いてそれぞれのキャラクターがいてモブはいない。それぞれに役割があり、それぞれに事情がありそうと思わせる。10人のエピソードを映像にすると、話はとても早く流れていく。ほんの1カットの中に、ヒントになるような映像を挿し込むのが非常に巧みだ。
登場人物が多いということはキャラクターを把握するのに苦労するだろう。視聴者がそれに奮闘している間にも、人物たちはどんどん大事なヒントを与えてくる。そして、およそこれは伏線なのだろうな、と思わせる場面が多々あっても、それがいつ答え合わせをしてくれるのかはまるでわからないのだ。
過去パートであるがゆえ、語り部のマギーが現在「凄惨な事件の生存者であり精神が混乱している」という設定なので、映像がすべてを語っているとは思えない。「なんだか今、ちょっと気になるシーンやセリフがあったけど、そうこうしてる間に次の事件が起きちゃった」というスピード感だ。
なのでこの「THE HEAD」とちゃんと楽しもうと思ったら、1話ごとの見返しは必須だろう。
そして見返すたびに新たな「引っ掛かり」を見つけてしまうのが、すごいところだ。
登場人物の中の人の情報が思ったより少ない
「THE HEAD」はスペインのTHE MEDIAPRO STUDIOという制作会社が主軸となって、Huluが制作している。キャストは世界的に有名な俳優陣ばかり! というわけではない。一人ひとりがどんなキャリアを持った役者なのかという情報が、ハリウッド映画などよりはずいぶんと少ない。
となるとどういうことか。「キャストの格」で犯人当てができない、ということだ。
映画のキャストで、明らかに有名な俳優が出て「どう見ても格的にこの人が犯人」とわかってしまうことがある。今回はどうやらその考え方は通用しないのではないだろうか。
山P(山下智久)が出演している
世界的に有名なキャスト陣ではないということで、日本から山下智久が出演しているが、彼ももちろん世界を舞台にすれば無名であろう。しかし彼が出演することでHuluは結構な宣伝を展開し、Huluの日本での会員増加を見込んでいるだろう。
私は山Pオタクなので彼の世間一般的認知度の認識が合っている自信はないが、「山Pが海外ドラマに英語で出演してるなら見てみようかな」という層は必ずいる。と思う。
キャストの誰一人知ってる人がいないより、外国人に交じって日本人である山Pがどんな演技をするのかという興味を持った人が、少しでもいてほしいと思う(願望)。
そしてこの「THE HEAD」の各話エンディングは真っ黒のバックの中スタッフロールが流れるのだが、そこのエンディングテーマとして山下智久が歌う「Nights Cold」がある。英語と日本語が混じった、このドラマのために彼が作詞した曲なので、世界観にあっていると共に、これからの展開の人が隠されているかも? という気にもある。
ちなみに山Pが演じた人物・微生物学者のアキ・コバヤシは1話で早々に死体になられたので、過去の事件の犠牲者となったことは確定している。
「山Pなんで死んだん?」という目線から楽しむのも、このドラマの展開を待ちわびる一つの理由にあってもいいと思う。
1話につき3回視聴する私が、次回から各話の疑問点や考察についてエントリーしていきたいので、どうぞよろしくお願いします。(前置き終わり)
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