【冬の向日葵】
ディズニーシーの人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」の高さが59mなのは、景観を損なわないためではなくて、航空法で60m以上の建造物には航空障害灯の設置義務があるからだと知っている松木蓮です。
相反するモノというのは何においても存在するのですが、例えばプラス(+)とマイナス(ー)、陰と陽なんかが分かりやすいと思います。水と油のような関係に思われがちなものがいざ一緒になると、どういうことやら不思議な化学変化を起こして何にも形容しがたい体験をさせてくれると思っています。
今日の一枚で載せたイラストはまさにそれで、これはぼくが撮った写真をアート風に加工したものなのですが、なぜ撮ったのか伝わりますか?
データを見返してみると、去年の11月29日に撮った写真です。つまり、この時期はノルウェーでは極寒なはずなのに、海で泳ぐ人がいるということに異常さを感じてぼくはシャッターを切りました。
中央にいる水着の女性はかもすると普通の光景にも見えますが(夏場では珍しくもないので)、周りにいる男性の格好をみるとその異様さが伝わってくると思います。
見慣れないもの、言い換えると非日常的な光景に人は惹きつけられるはずで、こういう「ありえないはずのもの」を恣意的に作ることは何かヒントになると思いました。
ぼくたちの常識であればクリスマスは冬であり、そもそも冬というのは「寒い」が1番似合う形容詞であると思います。フィンランドのコルヴァトゥントゥリ(言いたいだけです)に住んでいると言われるサンタクロースはそんな寒い冬の代名詞とも置き換えられると思います。それが赤道を越えてオーストラリアに行くとどうでしょうか。南半球では季節が逆転するので、例年クリスマスは「暑い」です。
北半球に住む僕たちからするとこれは明らかに異常なことで、サーフィンをしている真っ赤なコーチに身を包むサンタクロースを見ると目を丸くして驚くはずです。
ぼくが好きな国旗にスウェーデンがあります。少しオレンジがかった黄色いスカンジナビアクロスが真っ青な下地に描かれている。北欧の中でスウェーデンの国旗が1番好きなのですが、これは黄色と青の組み合わせだからです。これについては、相反するとまでは言い切れませんが、色彩上では補色にあたる色です。相反するからこそ、お互いが消し合うどころかむしろ網膜に印象付ける効果があるのだと思っています(科学的根拠はないですが)。クリスマスのイメージカラーである赤と緑も補色ですよね。
一見するとねじれの位置にあると思われがちなものを一度組み合わせてみると、意外にも面白い姿・形を見せてくれるんじゃないかなって思います。
向日葵(ひまわり)は夏の代名詞です。8月の燦々と照りつける太陽に正対して青い空に向かってその綺麗な黄色をこれでもかというくらいに輝かせます。それがどうでしょう。少しグレーがかった白い空の下で穢れのない純白な雪に包まれる向日葵を想像するとどこかゾッとします。一方で、白い息を吐きながら一度冬の向日葵を見てみたいなと、どこか興味をそそられます。
(+1)×(−1)
の積は(−1)なんかではなくて、きっと10にでも100にでもなりうる、科学では説明できない摩訶不思議なものだと思うのです。