短編アニメーション映画での気付き
こんにちは。
ついにサムネイルの絵を自分で描き始めた松木蓮です。
#トンコハウスのキャラクターです
#ダムキーパー
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(2731文字 / 約5分半で読めます)
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さて、今日はショートアニメーション映画についてです。このブログの副題には『ブランデス博士の天気図』という絵本の制作過程を書き留めるという意味合いを持たせているのですが、今日は直接的には関係ない内容になっています。
▼ショートアニメ映画が好きで。。
アニメーション映画というとトイストーリー(ピクサー)やアナ雪(ディズニー)、あるいはジブリ作品なんかがパッと頭に浮かぶと思います。あれらは長編映画に分類される作品で、100分くらいあるボリューミーな内容です。その分、制作も大変であることはいうまでもないですね。
そうした100分に渡る映画ではなく、5〜20分程度で完結するアニメーション映画を最近よく見てるんです。
アニメ映画業界のことは詳しくはわからないのですが、短編映画ってほとんど黒字にできなくて、日本はあまりサポートが無いようです。それで、作品力で名を挙げていくしか現状ない、といった厳しい世界のようです。
長編映画こそYouTubeには上がっていませんが、短編映画なら結構転がっているケースが多く、それを夜な夜な貪るように見ています。
イチオシは僕のブログでも何度も取り上げているトンコハウスの「ダム・キーパー」という作品です。
トンコハウスは、ピクサー出身の2人が創業したアニメーションスタジオでアメリカと日本に拠点があります。特徴は光の使い方だと僕は思っていて、温かみのある光の演出が天才的です。
ダム・キーパーは18分の内容で、言葉はほとんどないので誰でも楽しめると思います。サントラがめちゃくちゃ好きです。
▼色々見ていて気付いたこと
素人レベルでの考察なのですが、いろんな国(インド、タイ、中国などなど)の作品を見ていて、その作風がまるで違うなと思います。これは当たり前ですね。
クリエーターによって色遣いから違うでしょうし、モノクロの作品だってあります。
そんな中で、全体として気付いたのは大きく2つです。
■キャラクターの動き
まず、「キャラクターの動き」です。どうも、キャラクターの動きが短編映画の場合はより大袈裟に表現されているのかなぁと思いました。
声を入れていなくて、ストーリー展開をビジュアルと音楽だけで表現する必要があるので、余計に表情や体の動きを若干誇張しているのかも、と思います。受け手としても、説明(=言葉)なしにどのようにキャラクターの心情を読み取るか、表情への感度が高くなると思うんですね。
もちろん、単に声がないから表情に目が惹きつけられて長編では気づかないようなことにまで目がいくだけなのかもしれませんが。
もしキャラクターの動きをいつも以上に大きくしているという前提で考えると、、、、ディズニーやピクサーの映画はダイナミックな動きが特徴的だなと思います。キャラクターの動きが大きく、それゆえドキドキするような描写(ファンタジー)があるなぁという印象です。ディズニーの短編映画だと「Paperman」という作品がわかりやすいです。
一方、(短編ではないですが)ジブリ映画は臨場感としての動きの躍動感が感じられます。ピクサーやディズニーほどの動きのダイナミックさには欠けますが、それを補完するだけの臨場感を兼ね備えているなと思います。先日のブログでも書いた「知覚脳」「網膜脳」の話です。
■受け手に与える余白
そして次に感じたのが、「思考の余白」です。音声はBGMくらいしかない短編映画。キャラクターの表情や色や光の使い方、ストーリー展開でメッセージを読み取っていく必要がある、というのが醍醐味なのかなと思います。
あのシーンはどういう意味だったんだろう、みたいな見終わってからの思考の時間が大切だなと思うんですね。解釈は人それぞれで、各人がどんな風にその作品を受け取ったのかに意味がありそうです。
動画のコメント欄を見ていると面白いのですが、ある種答えわせ的に、「僕はこう思ったんだけど、他の人(特に日本以外の人たち)はどう受け取ったのかな?」を見に行きます。
それで、大体同じような感想を持っていることもあれば、「なるほど〜そういう受け取り方もできるのね」と意外と勉強になったりもするんですね。
昨日見た作品「Valley of White Birds」(多分中国の作品かな)がまさにそれ。正直意味わからないんですね、ストーリー展開が。ほとんど説明がないままストーリーが動き出して、気付いたら終わってる。でも、各シーンの意味を考えて、この物語は主人公と彼の過去やかつて持っていた心情を対比させているんだぁ、、と考える時間が生まれます。
この「余白」という観点からいうと、僕が見た中での日本の作品は受け手が思考しやすいなぁと思います。
冒頭のダムキーパーなんかはわかりやすくて、いじめられっ子のブタが新しく入ってきたフォックスと出会うことで心を開いていくみたいなストーリーです。
それから、後々日本のスタジオが作ったんだと知った作品なのですが、「つみきのいえ(The House of Small Cubes)」なんかもとてもわかりやすい。見た時はフランス語名だったからフランスの映画だと思ったのですが、よくよくみると「ROBOT」という有名な制作会社の作品だったようで(最後のエンドロールで日本人の名前ばっかやないか、と思って調べました)。
ROBOTは「ALWAYS三丁目の夕日」や「海猿」、「永遠の0」などの大作を作ったスタジオです。
この、思考の余白の有無、程度が日本の映画にはあるかも、と言うのはあくまでも僕の考えです。つまり、思考材料があちこちにあるので考えやすいということのなのですが、それがあるから良い映画かというとそうでもなく、少ない材料をいかに繋ぎ合わせるかに芸を見出す、という作り方もあると思うんですね。
それでも間違いないのは、受け手をもインクルーシブに引きつける(思考させる)映画は総じて良いと評価されていそうな感じがします。
▼絵本で生かせるのか?
さて、この短編アニメから考えたこと(学んだこと)をじゃあどうやって絵本に落とし込むのかは、まだ見えていないのですが、表情やカット割は参考になると思います。
絵本は「絵と文」で構成されているとはいえ、文字数は少ない媒体です。つまり、文字としての情報量は限られるので、その分ビジュアル面に情報を落ち仕込む必要があると思いました。
この辺はおそらくミリ単位の計算が必要で、ストーリーとしての矛盾も起きないようにデザインする必要がありそうです(伏線も含めて)。
絵本一冊作るだけでも、だいぶ奥が深いなぁと最近よく思います。
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