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サウナはほんとに社交場


サウナはほんとに社交場

家から少し離れたところにあるジムに行った。前から気になっていたところで、大きな湖のほとりにある小さなジム。ジムと言っても、トレーニングマシンのある部屋はスタヴァンゲル大学のジムの10分の1くらい。と言ってもほとんどの人には通じないので、マシーンが10個もないくらいの規模感といえば伝わるかな。そのジムの面白いところは、屋外のプールがあること。たぶん年中プールに入れるのかな。冬場は特に極寒のノルウェーだから、もちろん温水プールなのだけど、このプール目当てで行ってみた。海外で住むことの1つの悩みとして、なかなか浴槽に入れないことがある。学部時代にスウェーデンに留学していた時もこれには悩まされて、年中浴槽に浸かることが習慣化していた僕にとってなかなかの苦行だった。どうにかして浴槽に浸かりたいと思って、友達とロンドンに旅行した時に浴槽付きのホテルをわざと選んだのも懐かしい。

そんなわけでこの浴槽問題が今回もやってきて、そろそろお湯に包まれたくなる季節になった。ノルウェーでは一般家庭で浴槽があることも普通のようだけど(この間行ったLUSHの店員さんが言ってた)、僕の寮にはない。少しばかりのあがきでしかないけど、温水プールに入れば少しは浴槽に浸かる感覚を思い出せるかなと思って、行ってみた。

幸いにも日本から海パンを持ってきてたから、それを持っていく。が、プールに入るにはキャップが必要みたいで80krの出費。そう、プールといってもここはジムなので、水泳目的で入る人が多い。気温8℃の中で少し準備体操をして、すぐ入水。外が寒いだけあって水温はなかなか温かい。このジムのHPには水温は33℃で保たれているって書いてた気がする。みんな泳いでるからそれに倣って平泳ぎをする。久々に泳いだので、すぐ疲れてサウナに行くことにした。北欧のジムには大体サウナがある。このジムでは男女別々のサウナと共用のサウナの2種類がある。別々のところは少し離れていたので、共用のサウナに向かう。もちろん海パンを履いたまま。

中はまずまずの広さ、10人ちょっとが入れる規模感かな。たっぷり汗をかいたブロンドのノルウェー人たちが数人。床にそのまま座っている人もいれば、行儀よく木製のベンチに座っている人もいて様々。少しだけ読めはするが、基本的にわからないノルウェー語たちがあちこちで飛び交う。必死に耳をすまして聴き取ろうとするが、まあ何を言っているかわからない。様子を見ていると、この人とこの人って知り合いなの?後から入ってきた、明らかに他人であろう人とも言葉を交わすこともしばしば。僕の経験ではこんなことは日本ではなかった。スウェーデンに留学して以来、熱風の空間にいる気持ちよさを知ってから日本でも月一では銭湯に行っていたけど、誰とも話したことがない。僕が行っていた地元の銭湯のサウナにはテレビがついていて、興味のない番組を強制的に見せられる。

こんなことを考えている間も、周りでは未知の言葉が行き交っている。そろそろ暑くなってきたので、またプールに入りに行く。外に出ると「寒い!」サウナであったまったけど、まだ足りなかったみたい。早歩きでプールサイドまで行って、また入る。そしてまた平泳ぎをする。500mくらいは泳いだので流石に疲れてきて、またサウナに向かう。

サウナではまだノルウェー語が行き交う。いつかこの会話に入れるようになりたいなあ。そんなことをぼんやり考えていると、サウナー(こんな呼び方しません)たちが増えて、1人のおじさんが僕の隣にきた。ノルウェー人に挟まれた。オセロならひっくり返されて、ノルウェー人になれるはず。

すると、そのおじさんが何かを言ってきた。スウェーデンでもノルウェーでも、たとえ外見がステレオタイプのノルウェー人でなくてもスウェーデン語あるいはノルウェー語で話しかけてくる。こういうところは北欧人の好きなところだ。たぶん僕なら、日本で明らかに外国人の人には日本語で話しかけない。

いつものごとく、「すみません、ノルウェー語わからないので、英語で話してもらえますか?」というと、「ああ、おけおけ。君はタイからきたのか?」なぜか僕はタイ人見えたらしい。まあそれはいいとして、嬉しいことにそのおじさんと会話が始まった。よくよく話してみると、そのおじさんは小学校でアシスタントみたいな感じで働いているみたい。結構な年齢だと思うけど、全然元気そう。僕が何者なのかも聞かれたりして、話は意外と弾んだ。せっかくのノルウェー人との会話なので、僕が気になっているノルウェーのことを聞いてみることに。「ノルウェーのスーパーって外国の商品全然置いてないですよね。あっても、高い関税がかけられていて高いですよね。」「ノルウェーの石油産業ってこれからどうなるんですか?」「教育機関にお勤めということですが、ノルウェーの教育ってどんなところを改善すべきだと思いますか?」思い思いに聞く。そのおじさん曰く、ノルウェーの石油会社(ノルウェ政府としてだったっけ?)はすでにサステイナブルな産業への新規開拓をしていると言っていた。それからノルウェーの教育ではもっとインタラクティブにするべきとも言っていた。授業の一環で高校生と話した感じ、だいぶ自律性があると思っていたけど、おじさんに言わせればまだ足りないらしい。

話が弾みに弾んで、途中から外に出たいくらい暑くなったけど、サウナでこんな出会いがあったのは素直に嬉しかった。フィンランド発祥のサウナだけど、もともと社交場としての意味合いが強かったことは知っていた。その社交場を実際に体験することができて、嬉しい。北欧の人はこういうコミュニケーションの取り方をするのかというのも興味深かったし、おじさんとの会話は純粋に勉強になった。

サウナから出る間際に、名前を聞いたけど忘れてしまった。人の名前を覚えるのが本当に苦手なんだ。でも顔は覚えているし、ここにはよく来るって言ってた。

次行ったときも会えるかな。
また小さな楽しみが1つ増えた。

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今日の一枚。今日は天気が良かったので、気分転換に家の近くにある観光地?まで歩いて行きました。ここはノルウェーの歴史でとても大切なところなのですが、Norrの記事で取り上げたので、それで写真を取りに来ました。先ほどアップしました。なかなかニッチな内容の記事ですが、よければどうぞ!
https://norr.jp/sverd-i-fjell-norway/

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