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オクトパストラベラー2を遊んだ感想

まとめ

直球に面白かった。難点は普通に遊んでもクリアまで50時間以上かかることくらい。


邪道

本作では開始直後から強引に終盤のダンジョンに行ってみたり村人から強力なアイテムを巻き上げたりといった行為が許されている。そんなもんskyrimとか最近のRPGならよくあるだろと思うかもしれないが、それらの多くはゲームバランスの崩壊を防ぐため出現するアイテムの強さが制限されていたり自キャラのレベルに合わせて敵の強さも調整されたりする。
本作ではそういった調整は無く、攻撃力+300の武器が入った宝箱はいつ開けても攻撃力+300の武器が入っており、ゲームをハックしているような爽快感が強い。

いやそれはゲームバランスが崩壊するんだろ、と言われたらそうなのだけれど、わりとゲームバランスの崩壊は歓迎なのかもしれない。今日レトロなRPGの情報を見かける時その多くにはRTAや縛りプレイといった「邪道的な攻略」が付いて回る。道を外れた驚異的なやりこみでゲームを破壊していく様を見てバランス崩壊に慣れや憧れみたいなものを感じる人もいるだろう。
本作は懐古を是とした作風であり、邪道を舗装しているのはそういった需要を見越してかもしれない。

まあそうは言っても自分のプレイに限ればゲームバランスは崩壊せず丁度いい難易度を最後まで維持できていた。多少のズル込みで難易度調整されているのだろう。バランスを崩壊させるには広い知識と明確な意志が必要になり、それならばバランス崩壊はご褒美みたいなものでいいと思う。


ゲー魔王

ストーリーは個人的にはかなり好みだった。8人の主人公それぞれに5章程度の物語が用意されており普通に進めれば40近い話をバラバラに見ることになるが、いずれの主人公も目的が明確で、やらなければいけないエピソードのみで構成されているため作業に感じることはなかった。

8人それぞれ異なる物語を作る・・・となった時にまず思いつくやり方はこの主人公の話はホラー、こいつはギャグといった具合にテイストを変えてしまうことだが、本作はそういうあからさまなやり方は避けきちんと「人間が違うから物語も違う」という原則で個別化されている。ゲームの都合上ラスボス戦とエンディングを8回連続で見ることになるが、まったく胸焼けせず最後まで新鮮に楽しむことができた。

これをスクエニのシナリオライターである普津澤画乃新氏がたった一人で書き上げているのだからものすごい才能のある人だ・・・という話にしたいのだが、本作のシナリオの話をするならばジャンプ+で連載中の漫画「ゲー魔王」は避けて通れないだろう。

「ゲー魔王」はオクトパストラベラー2の発表と同月に始まった作品で、この漫画の作者がまさに普津澤画乃新氏である(原作だけでなく作画も)。わりと悪名で有名なので言ってしまうが、この漫画はお世辞にも面白いとは言えない。設定は素人目にも穴だらけだし、漫画として外してはいけない所をことごとく外している。Twitterでの評判を見ても本心から楽しんでいる人は見当たらず、次はどんな意味不明な展開が起こるのかを期待するタチの悪い読者ばかりが見つかる始末だ。

そのため発売前は「こいつが一人でシナリオ書いてるゲーム本当に大丈夫か?」みたいな声がそこかしこで見受けられたし、今では「オクトラ2が売れないのはゲー魔王のせい」みたいなゴシップを書き連ねるまとめ系ブログもある。しかしそれとこれとは別物のはずだ。漫画とゲームではリアリティラインや会話の密度などテキストがまったく異なるはずだし、兼業作家に全力を出せというのも酷な話だ。自分が集英社の編集者だとしたら「スクエニの仕事いったん止めてゲー魔王優先しろ」とリテイクを出すのは恐れ多すぎる。

分けて考えるべきだ。「ゲー魔王」にいくら不満があろうと、「オクトパストラベラー2」のシナリオは多くの人が満足できると思う。そして「オクトパストラベラー2」がいくら面白くとも、「ゲー魔王」がつまらないのは揺るぎない事実だ。

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