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新宿BBB#映像空間リサーチ

執筆者(2024年度映像空間ゼミ院1年 津川真保)

映像空間ゼミは新宿BBBにリサーチへ行ってきました。

新宿BBBとは新宿駅南改札内に設置された大型サイネージです。
15分間を1ロールとしループ再生され、うち3分間はJRの業務用意匠・コンテンツ映像を放映しています。
今回は自然派通販サイトのiHerbの広告が放映されていました。


新宿駅内 各種サイネージの配置図 作成:ショウ コウハ

BBBは、三つの“B”メディアを意味します。
それぞれの”B”がどんな効果をもたらすのか見てみましょう。

【BELT】
W59.52m×H1.08m(約64㎡)

新宿駅南口側 11・12番線エスカレーター上付近

まず南改札口から入ってすぐ右に曲がると、右手上部にBELTが設置されています。
建物に沿っており、BELTの中心部分(ショップ上部)は突出しています。

JRの業務用意匠・コンテンツ映像

海の映像で満たされた時は、歩行者の視線が映像に向いていたように感じます。

南改札口外

南改札口を出たインフォメーションの上にもひっそり設置されています。
みんな最後になって存在に気づきました。

【BLOCK】
W1.25m×H2.23m×4面×12柱(約133㎡)

BLOCK

改札内の各所に設置されている4面の柱型サイネージです。

BLOCK周辺

BLOCKのそばには、待ち合わせ中の人がよく寄りかかっていました。

【BOX】
W5.76m×H3.24m×3面(約55㎡)

新宿南口側 7・8番線 エスカレーター上付近

東南改札方面に歩いていくと、一際大きくBOXの映像が放映されています。
おそらくここ(上写真)がビューポイントなのではないでしょうか。


新宿南口側 5・6番線 エスカレーター上付近

こちらは3面です。
この映像も待ち合わせ場所になりそうです。

以上、ベルト型、柱型、箱型の三種の”B”メディアによって空間に多様なアプローチがされています。
豊かな空間であるがゆえに、まだまだ映像表現の可能性があるのではないでしょうか。以上を踏まえたうえで、少し考案していきたいと思います。

考察

広告ではない映像も再生される

まずは各”B”メディアの放映面積や矩形などの特徴を活かし、映像を対応させるなどです。
リサーチした際は、各“B”メディアが同じ映像を放映していたシーンが多かったです。
空間に対して設置の仕方が様々なので、それに合わせて映像の内容を変えてみても面白いのではないでしょうか。

また個人的にはBOX周辺のレイアウトも利用方法が多くあるのではないかと考えています。


奥:BOX / 手前:BLOCK

例えば、あるポジションからはBOXにBLOCKが重なっています。つまり物理的に映像と映像が重なっています。この重なりを利用して新しい映像の見え方の発見を誘導できるのではないでしょうか。上記の写真は角度と照明のせいか、BOXの前にあるBLOCKの映像がやや平面的に見えますね。(偶然ですが)

おそらくBOXは他の”B”メディアよりも「立ち止まって鑑賞されること」を想定し設置されたと思われます。映像を鑑賞するために見やすいポイントへ移動した時、決まって壁側や、人通りの邪魔にならない場所でした。

当たり前ですが、駅構内では待ち合わせのため立ち止まっている人が多くいます。これらの人々の目にとまることを踏まえ、この大きさと場所なのかもしれません。

またBOXのそばにはBLOCKが設置されているのですが、この空間が映像によって作られた一番狭い空間になります。この映像の隙間も利用してみる価値がありそうです。

ただ、BBBはあくまで駅構内に設置されたものであり、宣伝力の向上効果を狙うためのものです。本来の利用目的は観賞用の美術作品ではありません。
人の滞留が発生する広告意匠は不承諾されてしまうので、これらの考案はあまり現実的ではないかもしれませんね。

伝達/装飾/鑑賞の映像、これらのバランスをどう調和するか、というのが都市における映像の新しいアプローチに繋がっていきそうです。

(津川)

伝達/装飾/鑑賞という観点から、都市の景観を整理すると様々な発見があるかもしれません。都市空間における映像が単なる既存メディアの代替ではなく、そのいずれもを切替ることで生まれる効果についてまだまだ探求可能性を感じます。また、伝達/装飾/鑑賞のなかでも「鑑賞」とは、体験的文化共用が必須。その文化の醸成こそ、映像空間領域の社会的役割の一つかもしれません。

山崎コメント


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