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最終講評#クロスメディア
こんにちは。山崎です。
2024.12.9-10に映像空間ⅣB(クロスメディア)の最終講評がありました。
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授業期間は6週。そのうち3週毎に課題が出ます。つまり課題は2つです。
最終課題内容は第1課題で制作した映像をもとにキャンペーンを企画する。
第1課題を踏まえたものでした。
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この「映像→キャンペーン」は実際に佐藤雄介先生が実践していアプローチでもあるそうです。(順番はこの通りではないかもですが)
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最終課題はプレゼン形式で行われました。
“プレゼンテーション”と言われると、ついつい身構えてしまうもの。しかし、今回の授業としては、プレゼン自体は重要視していません。あくまでも伝わればOK。
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プレゼン=PowerPoint的イメージもありますが、今回はwordでテキストを共有したり、楽曲を聴かせたりと、かなりフリースタイルでした。
それは佐藤雄介先生の方針でもあったようです。
『ちゃんとプレゼンをしても内容がなければ意味がない。』『ちゃんとすることは社会にでてからでも大丈夫。』
そんなメッセージを個人的には受け取りました。
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そんななかでも、プレゼン自体はみな一様に成立しており、聞きやすく感じました。それが映像学科全体の標準だとは思いません。なぜなら、4年次の卒業制作プレゼンなどを知っているからです。(ぼそり)
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プレゼンという、映像学科にとってはどうしても、おざなりになりがちなプロセス。(映像制作には必須なプロセスであるのもの)そのプロセスをどう授業に取り込むのか。
この塩梅は授業運営的にも悩みどころです。
雄介先生の「プレゼンよりも中身」という教育的スタンスに賛同しつつ、
あるプレゼンフォーマットを用意して、再現性の高いプレゼンを体験することもある種の学びにはなる。とも。
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しかし、雄介先生の授業構造は一味違いました。
プレゼンとしてある種の一例みたいなものを、前提講義で示していた点です。
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プレゼンを実施したり、聞いたりする機会は、学生にとって多いものではありません。(もちろん、最近は高校でもプレゼンに力をいれている学校もあるそうです)
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そんななか、プレゼンを求められて、具体的なフォーマットの指定などが行われなかったにも関わらず、プレゼンとして最低限成立していたのは、良きプレゼンの例が、前提講義にあったからではないか。私としては、その授業的な構造に関心してしまいました。(えらそうにスイマセン)
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もちろん、個人面談のなかで、個別指導があったとも聞いています。
昔ある音楽家(菊地成孔氏)が言っていました。
「よい教師は一瞬で教える。それでもわからなければ教え続ける」
私は前提講義に「一瞬」を感じたのでした。
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講評は2日間にわたって行われました。二日目の最後に、受講生とのやりとりも。みなそれぞれ気になったキャンペーンはばらけている印象。
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それぞれ同じモチーフに取り組み、隣の成果物への眼差しは真剣そのもの。
皆、自分と異なる部分や、自分と同じ方向性など、他者の成果物に見出している様子でした。同じ課題に取り組んだ成果は、その後に案外思い出されるもの。自分の価値観やスタンスが相対化される良い機会なのだと思います。
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授業についての忘備録
以下山崎の忘備録として記したいとおもいます。
映像→キーワード→キャンペーン
というさりげない授業進行にも妙味を感じました。
1.映像(CM制作:第1課題)
2.キーワード(雄介先生が見出す:第1課題講評時)
3.キャンペーン(プレゼンに縛らせない:最終課題)
特に2.キーワードについては、日頃から様々なクリエイターとのキャッチボールを実践している佐藤雄介先生ならでは。講評の場で、即座に企画のコアな部分を掴み言語する手捌きはとても参考になりました。
その後の3.キャンペーンへの展開が自然な流れが構築されていると感じられました。
なぜならば、1.映像の自らのアプトプットに対するフィードバックとしての
2.キーワードなので3.キャンペーンでも作者それぞれがノリやすい。(自己内発性が高い)
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まとめ
2日間の講評の後に、まとめがありました。
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課題1はモンスターエナジーのCM(映像)
課題2はCMをベースに展開(クロスメディア的)
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総じて今回はアイディアについての実践的授業だっと思います。
冒頭では、アイディアの構造について、類型化して解説されました。
「誇張」「不在」「置換」「比喩」「IF」など
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しかし、まとめでは類型化された構造からの逸脱や超越こそ、真によいアイディアなのだと。
そして、「アイディアが色々でそうな企画を考える。というのが良い、アイディアが生まれる近道」というまとめでした。
アイディアをたくさん並べて、その中からよいものを選べば必然的によいアイディになるということ。
アイディアにはある種の才能や飛躍が必要かもしれません。ただアイディアを産む方法には、再現性があるのではないか。
現役クリエイターの言葉には重みがあります。
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そして、最後は「つくりつづける」で授業はしめられました。
普段はクールな雄介先生がふと見せるアツいメッセージはぐっときます。なんもいうか、励まされるのは受講生だけではなく私も…
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授業後には、雄介先生と受講生のささやかな交流がありました。案外このような瞬間にこそ本質的な何かがあるのかもしれません。
授業アンケート
それでは授業後に実施された無記名アンケートを紹介していきますね。
指摘が的確でわかりやすかった
実際に現場で働いている方から教えていただけるので、アドバイスが具体的かつ説得力があり、とても勉強になりました。グループではなく個人での活動が中心だったのも、自分のアイデアを最大限活かすことができてとても良かったです。誰に対しても、どんな内容に対しても全力で講評してくださったので、こちらも全力で課題に取り組むことができました。
実績に基づいた指導は、なんとも貴重な機会。受講生がうらやましくもあるのでした。
ひとつの映像作品を作った上でそれを別媒体に派生させていくという授業目標は、各分野の融合が顕著になってきている昨今で非常に重要だと思える。
映像→別媒体という方向性を絞ったことでの教育効果もあると、私も勉強になりました。
元々広告の仕事に興味があったので、この授業を通じて自分の将来の選択肢が一つ増えたように感じました。一ヶ月半、ありがとうございました。
好きなことと、得意なことが必ずしも合致しないのが、難しいところ。少しでも関心があれば、授業をきっかけに自分の進路にも踏ん切りがつくかもしれません。
一方改善案ももらっています。
作業日の割合がやや多く、せっかく現役で活躍されている講師をお招きしているのであれば企画や制作に関するお話をもう少し聞きたかった
12回の授業の中で、講義と指導、講評のバランスは苦慮されますね。もしかすると、第2課題の前にもう少し講義をしてもよいかもしれません。でも、どうなんだろか。
課題が重くて取り組むのが大変でした。もう少し軽めの課題からステップアップしていくような形の方が、よりクロスメディア的な思考が身につくかなと思いました。それと、最初の授業のような全体に向けた佐藤先生のお話をもっと聴きたいと思いました。
講義が大人気ですね。課題内容については、履修パターンによっては他の授業との兼ね合いで大変になるかもしれません。ただ、課題を平易にすることが、授業的な充実につながるかどうかは、判断が難しいところです。引き続きご意見を!(誰にもとめてるのだ!)
(山崎連基)