青い夜のための詩
夜の大きな手が、淡いオレンジ色の光を花束のようにして包み込むのが見えた
もうそんな時間
オレンジ色の華は花弁をぽろぽろと落としながら夜の奥へ吸い込まれていく
その時、きまって微かに砂糖を焦がしたような匂いがするのだ
きっとお菓子にして食べるのだ
僕は、夜がその手に夕焼け色のカップケーキを持っていることを想像した
夜の角は光を飴細工で包んだように淡く光り、
星たちは金平糖を散りばめたみたいに輝く
その光は夜が微かに青いことを教えてくれる
すっかり暗くなった海は、その青さを懐かしむだろう
やがて海の小さなすすり泣きが消え、
みんなが寝静まるころ、
夜はやっと静かにケーキを頬張るのだ
夕暮れから夜へと切り替わるほんのわずかな瞬間が好きです。