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#大和言葉
山の記憶、「山」の記憶
今回は、川端康成の『山の音』の読書感想文です。この作品については「ひとりで聞く音」でも書いたことがあります。
◆山と「山」
山は山ではないのに山としてまかり通っている。
山は山とぜんぜん似ていないのに山としてまかり通っている。
体感しやすいように書き換えると以下のようになります。
「山」は山ではないのに山としてまかり通っている。
「山」は山とぜんぜん似ていないのに山としてまかり通って
壊れる、崩れる(文字とイメージ・06)
「こわれる、くずれる(文字とイメージ・05)」の続きです。
コワレル、クズレル
壊れる、こわれる、コワレル。崩れる、くずれる。クズレル。
こわれる。コワレル。kowareru――「a」と「k」のせいでしょうか、どこかかん高い。
くずれる。クズレル。kuzureru――「u」が二つで「z」があるせいでしょうか、どこか低い響きが……。
イメージは個人的なものです。なかなか人には通じませ
「やま」に「山」を当てる、「山」に「やま」を当てる(言葉の中の言葉・02)
今回は「あなたとの出会い」で見た詩を、違った視点から見てみます。
*翻訳された詩
上田敏訳の「山のあなた」(『海潮音』より)というカール・ブッセ(上田敏はカアル・ブッセと表記しています)の詩を見てみます。
この詩は青空文庫でも読めますが、だいぶ下のほうにあって、探しづらいかもしれません。
*
まず、訳詩です。
以下は、ドイツ語の原文です。
残念ながら私はドイツ語に
言葉の中には言葉がある(言葉の中の言葉・05)
*「言葉の中に言葉がある(言葉の中の言葉・01)」
*「「やま」に「山」を当てる、「山」に「やま」を当てる(言葉の中の言葉・02)」
*「「同じ」を教える、「同じ」を教わる(言葉の中の言葉・03)」
*「こころとこころをあわせる(言葉の中の言葉・04)」
今回は、連載のタイトルである「言葉の中の言葉」をまとめてみます。
今回のタイトルは「言葉の中には言葉がある(言葉の中の言葉・05)」です
音の名前、文字の名前、捨てられた名前たち
今回は、名前を付ける行為について、私の思うことをお話しします。最後に掌編小説も載せます。
◆音の名前
ウラジーミル・ナボコフは、Lに誘惑され取り憑かれた人のように感じられます。Lolita という名前より、Lに取り憑かれている気がします。あの小説の冒頭のように、 l をばらばらしているからです。
つまり、Lolita を解(ほど)き、ばらばらにするのです。名前を身体の比喩と見なすとすれば