フェンシング優勝 違う風が入ること
昨日、フェンシングが団体戦優勝という快挙を成し遂げた。
フェンシングには詳しくはないが、昨日はその瞬間の一部始終をテレビで観戦していた。ロシアは強かった。しかし、それ以上に日本は果敢に攻めていた。それは、みごとなほどに一致団結した姿だった。コーチを含め全てのメンバーが、いやおそらくフェンシング協会という大きな組織の見守る中で成し遂げられたことなのだろう。
今年、日本フェンシング協会の新会長に武井壮さんが就任した。太田雄貴さん(元会長)が直々にオファーをしたということが記事になった。
太田雄貴さんはオリンピックでもメダルを取ったほどの日本フェンシング界ではレジェンドだ。彼が会長になるのはおそらく、当たり前のことだったのだと思う。そして、太田雄貴さん自身もその器は十分にあったのだろう。
しかし、その太田雄貴さんが今のフェンシング協会の運営を変えたいと考えたのも事実なのだろう。
そして変えるための可動力になってくれるのは他でもない、フェンシングのことはまるで素人である武井壮さんであったということだ。
フェンシングの枠がないことで全く違う方向から協会運営を考えることができるという利点。
古い体制のままでは、昔ながらのことが「当たり前」「常識」になり、それ以上の思考になることはなかなか難しいものである。選手がどんなに望んでいることでもその声が届くことのないトップダウンの組織運営であれば選手は組織の「駒」でしかなく選手が主人公になることはない。本来、「協会」という組織は選手の未来を考え尊重し、活動しやすい環境を作るのが役割であると思う。
その環境を整備するには一方向から物事を見るのではなく、様々な方向から多角的に分析し、また選手の声を聴くことが大切になるのだろう。
しかしながら、同じ穴のムジナ同士になると自分の置かれた環境が軸となり疑問を持たずに進んでしまうことも多々ある。
そういったことを断ち切るには、全く違う風を入れることも大切になるのではないかと思う。もちろんその専門的なこと(ここでいうならフェンシング)を知った人がいることも大切だ。
その全く違う風と今までの風をミックスすることで新しい風になるということが、プレイヤーズセンタードを実践することになるのかもしれない。
今回のフェンシング団体戦優勝は、選手はもちろんのこと、協会のあり方自体を見直し、会長に外部から武井壮さんという違う風を入れ、環境の見直しをしたことも大きかったのではないかと私は考えた。
これは、日本のフェンシングにおいての改革でありまた、フェンシングに関わる方々一丸となって勝ち取った金メダルなのだと、選手、コーチ、太田雄貴さん、武井壮さん並びに関係者の写真に映る笑顔を見ながらそう思わずにはいられなかった。
素晴らしいパフォーマンスに心から感謝したい。