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【台湾生活いどばた会議】Taipei Opera Company | 台北歌劇劇場(台湾名)| 台北歌劇団(日本名)~危機をチャンスに変えた舞台裏~

このクラブハウス(2021年9月3日 日本時間12pm)の補足資料です。

ある日、スペイン国営放送の二つのトップニュース。
・一つは偶然にも菅総理新内閣発足のニュース。
・もう一つは台中國家歌劇院(台湾国立オペラハウス)でのこの公演のニュース

なぜに?

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2020年3月21日 本来の公演日... パンデミックで二日前に急遽キャンセル
2020年9月26日 復活公演日... 台湾国立オペラハウスのシーズンオープン

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3月の公演は特別なイベントのはずだった。
・ある芸術家(曾道雄さん)50年来の夢(Video)。
・スペイン作曲家ファリァの作品のアジア初演。
・1969年 台湾師範大学音楽科卒のバリトン道雄さん。卒論(ファリァの研究)の出来栄えが良く本として出版される(上記写真)。スペイン政府の目に留まり奨学金でマドリード音楽院へ。ファリァの墓の前で誓う。いつか台湾で貴方のオペラをフルステージで上演することを。
・1970年 帰国後 Taipei Opera Company 設立し自身で演出・指揮・作曲を担当したことも多々。台湾初演した西洋オペラは40本以上。台湾西洋オペラの父と称され 国家文化勲章(Video)受賞。
➡ 2020年3月21日の公演は 道雄さんのスペイン留学から帰国した50周年の記念日に合わせての公演だった。
➡ いろいろな意味での道雄さん引退の花道を飾る公演でもあったが...
COVID感染者数急増化で公演二日前に突如中止に追い込まれる。
・苦難のなか中止を告げる記者会見(Video) (3月19日)

だが、ここからの舞台人(道雄さんの教え子たち)の奮起がスゴい、という話。

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上演キャンセル、ならば最終リハーサル(3月20日)の映像で世界へ
・オケが来れないなら、ピアノで!
・練習用のピアニスト(呂冠葶さんFBページ)に突如スポットライトが。
・首席ダンサーの思い(薛喻鮮さんFBページ)ステージから観る空席。踊れるわけがない。ピアニストと指揮者(道雄さん)の必死な姿で勇気を絞って踊った。

結果 ➡ 海外(特にスペイン)で大きな反響。
SCHERZOÓPERA ACTUAL 、MELÓMANO1,、MELÓMANO2,、BRÍO CLÁSICARITMOGranada Hoy などなど、欧州での大々的な記事
RNE (スペイン公共放送)
・日本(日経)Taipei Opera はなんと民間団体(NGO)だった。
・台湾でも(文化庁報道、自由時報

海外が評価した三つのポイント
1) 舞台や衣装設計、歌手、ダンサーなどが全て台湾人なのに、よくぞここまでスペイン南部の雰囲気を忠実に実現してくれた!
「まるで故郷の景色を観ているようです。」- スペイン南部出身、首都マドリード(中部)勤務の女性
2) 東洋的な解釈が演出の随所に。
3) 困難のなか見せてくれた勇気と自信。そして最後の切ない御礼のシーン。

国立オペラハウスも復活公演を推すことに
➡ 2020-2021年のシーズンオープン(2020.9.26)を飾ることに決定!

だが、いくつもの大きな試練が待ち受けていた。
・Taipei Opera Company 音楽監督、曾道雄氏が指揮できない事情。
・台湾で道雄さんほどスペイン音楽に精通している人物は存在しない。
・海外指揮者エージェントにコンタクトしても、パンデミックで台湾に来てくれない。

しかし、ここで3月のリハーサル映像ライブ配信を観た世界各地のアーティストが台湾を助けることに動く!
・米国フィラデルフィア・オペラ座、音楽監督コッラード・ロヴァリス
スペイン国立バレエ団(Video)
  ・芸術監督ルーベン・オルモ
  ・首席指揮者マニュエル・ブスト氏
・作曲者ファリァ博物館の館長エレーナ・ガルシア氏
  ・ガルシア氏が台湾を熱く語る(Video
  ・想像を超える尽力。スペイン側のまとめ役に。
・指揮者ブスト氏は台湾に行くと決心するが、台湾入国後の2週間隔離とリハーサルに必要な時間を考えると、、、
・スペイン セビリア王室交響楽団オペラハウスのシーズンオープンの日程と重複!契約済。台湾行きを諦めかけたところを、、、
・楽団長とオペラハウス支配人、リハーサルのライブ配信映像を観て台湾を応援することを決心。指揮者ブストの契約不履行を許し、彼の台湾行を実現させる。
・パンデミックのなか、スペインから台湾行フライトが無い!
 ➡しかし、トルコ航空(写真)は飛んでいた!

指揮者ブスト氏が台湾に持ち込んだお土産。
9月26日シーズンオープン公演開始の1時間前、関係者一同がステージ中央に集まった。スペイン・グラナダからのお土産。それは、作曲家ファリァ旧居の壁の一部だった。
ブスト氏:「ファリァも私と一緒に台湾に来ました!スペインのみんな観ています!」
最高の雰囲気で公演の幕が上がる。ライブ配信チームにも緊張が!

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公演プログラムはスペインからのお祝いの手紙で埋め尽くされた。そのコピーが来場者にも配られるという粋な計らい。台湾文化庁長官も参加。満員御礼のシーズンオープン。
台湾とスペインが感動を共にした2時間でした。
3月のあのリハーサル映像を通じて、台湾のハートがスペインに届いたことを嬉しく思います。


ファリァ博物館館長エレーナ・ガルシア氏

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スペイン国立バレエ団の芸術監督ルーベン・オルモ氏
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セビリア王室交響楽団の団長ペドロ・マリン氏画像4


下はセビリア王室オペラハウス支配人、ハヴィア・メネンデ氏
(我々は指揮者ブストを失うことになるが台湾での成功を祈る!)

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公演ライブ配信の映像(ハイライト)
3.20 / 9.26 同じシーンから
前半:恋は魔術師 (Ballet) 
・未亡人の元夫の幽霊を追い払う村の儀式ダンス「火祭りの踊り」
2020.03.20 HD video (ピアノリハーサル)
2020.09.26 4K video (復活公演、舞台アングル)
2020.09.26 4HD in 4K video (復活公演、複数のアングルから)
後半:はかなき人生 (Opera)
・愛する男に裏切られた主人公のジプシー女性が歌うアリア(男が上流社会のスペイン女性との結婚式を目撃した直後)
2020.03.20 HD video (ピアノリハーサル)
2020.09.26 4K video (復活公演、舞台アングル)

復活公演後、指揮者ブストは作曲家ファリァ博物館に台湾のアーティスト達を代表して表記訪問。この台湾公演記録は博物館で保存・展示され、歴史の一コマとなる。
Video1:指揮者ブストと館長エレーナさんと
Video2:道雄さんと指揮者ブスト。世代・国を超えた二人のマエストロの対話

筆者 穎川廉 (ライブ配信担当)
・米 Rexcel Group CEO 兼 レクセル日本株式会社代表取締役
・国際放送メディア協会(IABM) 評議員メンバー
 ・IABM「世界に向けたライブ映像配信の民主化」筆者
フィラデルフィア日米協会 理事

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