見知らぬ白人の男女二人。 男の方はぐったり眠っているふうで、女の方はソファーの上で両手をあらぬ方向に動かしながら、あらぬ方向に首を動かしている。 酒の感じでないとすれば薬をやっているとしか思えない。
ある日のこと。
見知らぬ白人の男女二人が俺の勤務先の受付のソファーにいた。
男の方はぐったり眠っているふうで、女の方はソファーの上で両手をあらぬ方向に動かしながら、あらぬ方向に首を動かしている。
酒の感じでないとすれば薬をやっているとしか思えない。
ランチに出ようとした同僚が知らせてきたのだ。
フロアにはセキュリティがいない。
うちの部長(英)が立ち上がった。
それで俺も立ち上がった。
二人でラリパーカップルを追い出そう!
って言うのかと思ったら
部長は行き掛けにITのS(印)を誘った。
俺では役に立たんと見たらしい。まあ妥当だ。
女性ばかりの会社だから男は本当に少ない。
そのときに居た男はこの3人だった。
二人はたら~っとカップルの前に立った。
それまであまり気にしていなかったが、
二人は思ったより背が高い(脚も長い…)。
しかも割とゴツい。
並んでたつと結構な迫力だ。
部長(英)が彼らと交渉に入った。
静かな声で丁寧に出て行けと言っている。
Sは腕組みをして仁王のように彼らを睨んでいる。
(インドに仁王がいたかどうかはしらない)
かなり怖い。
意識のある女の方が
寝ている男の顔をペシペシ打って起こそうとする。
でもラリっているんで打撃のポイントが定まらない。
まあ、それでも男は意識を取り戻す。
しかし自力で立ち上がれない。
まるで立ち上がるとはどういうことかを忘れてしまったかのようだ。
女が部長と仁王に脇を抱えて立たせてくれるように頼む。
二人が足をすすめたときラリ男がイスから崩れ落ちる。
完全に立ちはだかる大男2人にびびってる。
テーブルを支えに立ち上がる。
女も立ち上がるが、真っ直ぐに歩けないようで、
全然関係ないあっちの方向に足が動く。
バット立ててそれを中心にグルグル回ったことあると思うけど、
バットから手を放したときのことを思い浮かべて欲しい。
それだ。そんな感じ。行こうとする方向に進めない。
それでもなんとか時間を掛けてエレベータのところに追う。
そして威圧だけでエレベータに押し込む。
英国人と印度人。この大男二人なかなかの圧だ。
日本人とはそもそものガタイの作りが違う。
いくら俺がボディコンバットやっているってったってクソの役にもたつものではない。それは一目瞭然だ。
え、俺?
何してたかって?
あ、
ず~っとエレベータのドアを抑えてました。
それが分相応かなあって。