自分を見つめ直す
8月便り。
がむしゃらに突き進んできたからこそ、立ち止まって考えるという選択には勇気がいる。
日本に戻ってきて3ヶ月。
こんなに長く日本にいられるとは思いませんでしたが、うまく物事が進まないからこそ自分と向き合うことができていると感じています。
また嬉しいことにタイミング良く、海外から友達が来たことで、現地でお世話になった分を日本でおもてなすことができ、喜んでもらえたことは少しばかり恩返しができたかなと感じる瞬間でもありました。
私は大学の卒業式を前に海外へと渡り、以来日本には毎年1ヶ月ほどの滞在で、コロナ禍には約2年ほど帰ってくることができないなど、9年間色んな国や地域で過ごしてきました。
「プロサッカー選手になって活躍する」という幼い頃からの夢に突き動かされ進んできた怒涛の日々は、かけがえのない日々だった一方で、多くのものも犠牲にしてきたなと思うことがこれまでにたくさんありました。
友達や家族との時間。
SNSが発達して、携帯ひとつで情報を得たり、会話やコミュニケーションもとれる時代。
便利で、どこにいても繋がりを感じられるのは確かですが、こと人間関係においては、感情のない文字の羅列に一喜一憂し、すれ違うこともしばしば。
直接会って話せればいいのに、携帯さえなければと何度思ったことか分かりません。
会っていなかった時間はもう戻ってきませんが、離れていたからこそ家族や友人と直接会って過ごす時間の大切さをより感じ、海外で出会った人達との一期一会をより噛み締めるようにもなりました。
日本を知ること。
海外に出てから「あなたの国ではどうなの?」という問いを何度も受け、その度に言葉が詰まる自分を恥ずかしく思って生きてきました。学生時代は本当にサッカーに明け暮れていて、視野が狭かったなと感じます。
恥じた日々を取り返すかのように、祖母の家を訪ね、自身のルーツを知ったり、日本の歴史的な場所を訪れ、日本の歴史を自分の目で見て、肌で感じる経験にも時間を使うようになりました。
そんな日々を過ごす中で、当時は色んなことを犠牲にしているという感覚でしたが、きっと外の世界に出なければ日本の文化に興味を抱くことはなかっただろうし、海外の良さ、日本の良さ、家族や友人との時間の大切さを実体験として感じることもなかっただろうと思うと、あの時の苦労はきっとここに繋がる意味のある選択だったのだろうと思えるようになってきました。
だからこそ、チームが決まらず、日本に滞在することになったことは、自分にとってベストのタイミングで訪れた機会だったと私は思っています。
内省し、自身の人生のコンパスをメンテナンスすること。いままで会えていなかった友人や家族と過ごす時間を作れたり、日本を知り、新しい知識を勉強し、自分の心の声に従う大切さにも気がつかされました。
これまで怒涛のように、がむしゃらに強がって生きてきましたが、過去から学び、現在の自分を見つめた中で、これからどんな未来を描くかを、立ち止まって深く考えてみる時間も大切だと改めて感じています。
この先もいままでのように、きっと自分の理想通りの目的地には辿り着かないかもしれません。それでも目指す方角さえ間違っていなければ、これまで経験してきたように、素晴らしい縁に恵まれたり、理想を遥かに越える自分らしいと思える人生が送れるような気だけはしています。
苦しい状況でさえ、人のせいにせず、不満やネガティブな感情に打ち勝ち、この日々があったからと思える日々をこれから先でも歩んでいこうと思っています。
応援してもらえる選手、人間であれるように。最後まで自分らしく粘り強く戦い続けたいと思います。
ではまた。
“ It’s up to you ”
Renshi
サポートは、サッカーを通じての挑戦に使わせていただきたいと思っています。