50℃洗い&スチーム焙煎について(第2回目)
わたしが50℃洗いで大切にしていることの1つにカビ豆の除去が
あります。そのお話をするまえに、「カビ豆とは?」について
ご紹介したいと思います
コーヒーの生豆は、収穫後の処理や保管状態によってカビが発生することがあります。特に、湿度や温度が高い環境では、カビが生えやすくなります。カビが発生すると、風味の劣化だけでなく、人体に有害なカビ毒を生成する可能性があり、注意が必要です。
珈琲の生豆に発生するカビの種類
コーヒーの生豆に発生しやすいカビには、以下のようなものがあります。
アスペルギルス属
高湿度環境で繁殖しやすい
アフラトキシンを生成する
ペニシリウム属
低温や比較的乾燥した環境でも生育
オクラトキシンAを生成する
カビ毒の健康リスク
カビ自体も問題ですが、特に危険なのはカビが生成するカビ毒です。
コーヒー豆に関連する代表的なカビ毒は以下のとおりです。
オクラトキシンA
主に アスペルギルス属 や ペニシリウム属 のカビが生成
腎毒性が強く、腎不全や発がん性のリスク がある
EUでは 焙煎豆1kgあたり5μgの上限値が設定
アフラトキシン
アスペルギルス属が生成
肝臓がんのリスクがある強力な発がん性物質
世界保健機関(WHO)も 厳しく規制
カビとカビ毒の発生要因
コーヒー生豆にカビやカビ毒が発生する主な要因は、以下のとおりです。
収穫・精製時の管理不備
収穫後の乾燥が不十分だとカビが発生しやすい
ウォッシュドプロセスでは発酵タンクの衛生管理が重要
保存環境の問題
高温多湿な環境で保管すると、カビが繁殖しやすい
適切な水分含有率(約11~12%)を超えるとリスクが高まる
輸送・流通時の管理不良
コンテナ内の湿度管理が不適切だと結露が発生し、カビの原因に
コーヒー業界の対策
コーヒーのカビやカビ毒のリスクを最小限に抑えるために、以下の対策を
とることが重要です。
農園・精製所での管理
適切な乾燥
発酵タンクや水の衛生管理
風通しの良い乾燥棚の使用
貿易・流通時の対策
専用の麻袋やグレインプロ袋 を使用
輸送中の湿度・温度管理
焙煎時の安全管理
焙煎では完全には除去できないので、焙煎前の選別でカビ豆を除去する
まとめ
コーヒーの生豆に発生するカビは、適切な管理がされていないと、健康に有害なカビ毒を生成するリスク があります。特にオクラトキシンAやアフラトキシンは、腎臓や肝臓に影響を及ぼし、発がん性があるため注意が必要 です。
適切な栽培・加工・保管を行えば、カビのリスクは大幅に低減できるはずですが、現実はそうはいかないようです。
わたしの取り扱っている生豆は、全てスペシャルティコーヒーレベルの物です。産地によって差はありますが、焙煎前の選別時にカビ豆を見つけることが珍しくないです。
よって、最終関門であるロースターが、カビ豆をチェック、除去することが
大事であると考えています。
次回は、当店が50℃洗いによって、どのようにカビ豆を取り除いているかをご紹介します。