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50℃洗い&スチーム焙煎について(連載3回目)
今回は、当店でどのようなハンドピック(珈琲豆から不良豆や異物を取り除く作業)を実施しているかご紹介します。
ハンドピックは焙煎の前と後の2回実施するべきと考えています。
というのも、以下のように、それぞれの目的が違うからです。
焙煎前: 仕入れた生豆から、不良豆や異物を取り除く
焙煎後: 焙煎豆から、焦げ豆、焼きむらの豆、色づきの悪い未成熟豆を
取り除く
それぞれ別の役割があるので、まったくやらないとか、どちらかをやらないではなく、両方やるというのが当店の方針です。
それでは、焙煎の前後のハンドピックについて、詳しく見ていきましょう。
焙煎前のハンドピック
ハンドピックの目的
次のような不良豆や異物を取り除くことによって、雑味をなくして味のレベルアップを図ったり、豆を挽くグラインダーが破損するのを防げる。
カビ豆: カビ毒による健康被害を防ぐ
未成熟豆(未熟豆・Quaker): 酸味が強く、えぐみの原因
発酵豆: 異臭や不快な酸味をもたらす
虫食い豆: 苦味や雑味の原因
割れ豆・欠け豆: 焙煎ムラが出やすい
異物(小石・枝など): グラインダーの破損を防ぐ
生豆の表面は薄皮で覆われていて、薄皮はほこりなどの汚れが付着しています。その状態でハンドピックをすると、それらに隠れたカビや発酵、虫食いなどは、見過ごされてしまいます。
しかし、50℃洗いをすると、薄皮や付着した汚れが洗い流されて、豆の表面が露出するので、不良豆を見過ごさずに取り除くことができるはずです。
50℃洗いの効果を実験
それを検証するために、実験的に50℃洗い前と後の2回ハンドピックをして、不良豆を取り除いてみました。
まず洗う前にハンドピックします。
カビ豆に注目して撮った画像です。
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![](https://assets.st-note.com/img/1738315888-M57RBeH0FZOoNXb1AQIyxSjk.jpg)
50℃洗いをしているところです、かなりの汚れや薄皮が洗い流されているのが、分かりますね。
↓
![](https://assets.st-note.com/img/1738313572-uWHjVJPGU5tZl928xOicw40Q.jpg)
50℃洗い後に、もう一度ハンドピックをして、新たに取り除いたカビ豆を写真に撮りました。
↓
![](https://assets.st-note.com/img/1738316015-Xrsa0ZUL2AoyBIJlCj34HdFw.jpg)
今回は、カビ豆に注目して写真を撮りました。結構な数のカビ豆が見つかりました。
他の不良豆の、発酵豆、未熟豆、虫食い豆についても、同じことがいえると思います。
この実験で分かるは、50℃洗いを導入した結果、焙煎前のハンドピックで、より多くの不良豆を取り除くことができるということです。
それによって
コーヒーの雑味が少なくなる
不快になったり、健康を害する成分を除去できる
という効果が期待できます。
余談ですが、
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50℃洗いをすることによって、上の画像のように豆についた汚れや農薬、燻蒸薬などが洗い流されます。
豆に付いた汚れに対する、これまでのわたしの認識は、
焙煎によって、薄皮と一緒に取れるから問題ないだろうというものでした。
しかし、50℃洗いをしたコーヒーの味を評価しているうちに、「豆に付いた汚れがコーヒーの風味に影響を及ぼしているのでは?」とかんがえるようになりました。
つまり、豆についている汚れは、皮だけでなく、豆の表面にも付着していたり、豆にしみ込んでいるのではないかと思うのです。
もしそうであれば、この50℃洗いで汚れを洗い流すというのは、コーヒー本来の風味を味わうという意味で大事なことだと考えています。
農薬、燻蒸薬については、コーヒーの風味を損なうものでもあるし、身体の負担になって、気分が悪くなったり、健康を害する原因にもなりうるものです。50℃洗いで全てのものが洗い流されなくても、表面や表面近くにしみこんだ薬剤を洗い流すことはいいことだと思います。
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焙煎後のハンドピック
ハンドピックの目的
焙煎後には、焙煎ムラのある豆や焦げた豆を取り除き、コーヒーの味の品質を向上させます。
50度洗いの有無によって、焙煎後のハンドピックの方法はかわらなくて同じやり方で作業をして、以下のような豆を取り除きます。
• 焦げた豆
• 焼きムラのある豆
• 未成熟豆
50度洗いを始めて気づいたこと
豆を洗った時に大量の水分を吸収して豆の水分値が揃ったせいか、焼きムラが少なくなりました。
1回目のハンドピックで検出率が上がったせいか、未成熟やその他の不良豆も少なくなりました。
よって、焙煎後のハンドピックにかかる労力が少なくなりました。
まとめ
50℃洗いを導入することで、
焙煎前ハンドピックでは、不良豆の検出率が上がって、豆の品質向上につなげることができました。
焙煎後のハンドピックでは、豆が均一に焙煎されたため、作業が軽減されるという効果を得ることができました。
この50℃洗いによって、コーヒーが美味しくなった、飲みやすくなった、また飲みたくなる、など感じて頂けたら、本当に嬉しく思います。