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IC(Independent Contractor)の可能性
先日の佐々木俊尚さんのVoicy(「独立や起業に大切なエラスティック(伸縮自在性)という概念」)を拝聴して、大昔に「IC(Independent Contractor)」という言葉を初めて目にしたことを思い出しました。
IC(Independent Contractor)を直訳すると、「独立請負人」のような意味となります。法律的には委託や請負と同じで、基本的にフリーランスや自営業者のような個人ですが、「独立」が大きなポイントだと思います。
アメリカなどのフリーランスの多くはこの「IC」ではないでしょうか。
日本のフリーランスの実態は下請けなどで、発注者から買い叩かれて、安い報酬で糊口をしのいでいる人は多いです。
これでは「独立請負人」ではなく「下請人」です。
日本企業は上下の序列やコネなどのウェットな利害関係を重視するので、弱い立場のフリーランスなどは差別や搾取の対象となるリスクが高く、なかなか普及しません。(「下請法」なる法律が存在する時点で想像できますね)
佐々木さんの番組では歯科医師や美容師の紹介がありましたが、最近になって少しずつ認知されてきたことは、働き方が多様になり、選択肢も広がるので、とても良いことだと思います。
特に歯科医師や美容師のような「手に職」の職業はICと抜群の相性です。
企業の運営費で固定費は頭が痛い問題ですが、固定費で多く占めるのは場所代と人件費です。場所代は仕方がないとしても、人件費をICで外注できれば、企業の運営もかなり楽になることでしょう。
給料やボーナスではなく、作業費として支払えば、社会保険料の負担もなくなり、従業員の税金などの経理も不要となります。
固定の場所が不要な「ノマド」なら固定費をさらに圧縮できますね。
もちろん、ICは被雇用者ではないので、働き方の自由と引き換えに、毎月の給料はないし、ご褒美のボーナスもありません。労働基準法や労働安全法などの法律でも守ってくれません。
実力がなければ他のICと取り替えられるので、高い専門性や覚悟も求められます。自由と安定は両立が難しいので、うまく調整する必要があります。
日本ではガチガチの解雇規制による弊害が問題になっていますが、ICが一つの可能性となるかもしれません。
まだまだ小さな動きなのかもしれませんが、硬直化して機能不全になりつつある昭和サラリーマン制度に風穴を開けることになることを願います。