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電動車椅子の外食で困ること

車椅子になってからというもの、めっきり家にいることが多くなったが。それでも、たまには友人が近くまできてくれた時や病院に行った帰りなどは外食をすることもある。

車椅子で外食というと、車椅子の受け入れを拒否されたということがたま~にニュースになることもあり、まだまだ日本にバリアフリーは定着してないなと思うこともあるが、その時に問題になるのはほとんどがお店の「段差」の問題。入り口に段差があって上がれないとか、忙しくて店員が対応できないとかetc.

私がこれまで車椅子で訪れた飲食店では、幸いなことに入店を断られたことはない。事前に食べログなどで外観内観写真を調べ、狭かったり、入り口に段差のある飲食店は選ばないからというのもあるが、入り口の段差については、車椅子利用者も全ての飲食店を利用する機会を奪われないよう、スロープを置いておくとか、簡易的な対策でもしてほしいと思う。

というわけで、私がこれまでの外食で直面した電動車椅子で困ること第1位は「段差」ではない。

日本で作られるダイニングテーブルの標準の高さと、車椅子の肘掛けの高さがほぼ同じでぶつかってしまい、テーブルの天板の下に車椅子が潜り込めないために、テーブルと自分の間に距離ができ、食事しづらいということだ。


台東区の行ったことある店で言うと、中華の山月も洋食の香味屋も上野の蕎麦の翁庵もガストも、ほとんどのお店がそうだった。停止時には車椅子の肘掛けが10cmほど下げられるような可動式になれば、お腹がテーブルの端に近づき、ずいぶん食事しやすくなる。現状はぎりぎりまでテーブルに車椅子を近づけているが、スピードコントロールを誤り、テーブルにガタガタとぶつかってしまい、時にはテーブルが浮いてしまったりもして、周囲のお客さんを驚かせてしまったり、テーブルを傷つけないかと心配。これなんとかならないかと思う。そうでなければ、電車や飛行機の座席のように、ミニテーブルが組み込まれているか・・。

と、先日facebookに書いたら、結構反響があり、fb友達からアイディアや、肘掛け跳ね上げ式の車椅子の紹介記事などが寄せられた。持つべきものは友である。しかし、現在使っている電動車椅子WHILLは操作も簡単、小回りも効き、足元にカゴもついていて、私のように、日常的に介助者がいるわけではないおひとりさま利用者にとっては使い勝手の良い車椅子で、この車椅子の肘掛けの高さが変わるか、可動式になることが望まれた。

それがだ。なんとなんとなんと!!
その記事を書いた2日後、福祉用具の会社の人がメンテにくる日だったので、聞いてみたところ、「動きますよ」と一言。
このWHILLの肘掛け、実は「可動」だったのだ!
メーカーさんごめんなさい。使いやすい車椅子作る会社がそんなことも考慮してないわけがなかったのだ~。

その時、手元に携帯がなくて、肘掛け動かしたところの写真は撮ってないのだけど(歩くの遅すぎて室内に取りに戻るのもしんどかったし、メンテを終えた担当者の人を足止めしてしまうので)、この肘掛けの下にある黒い小さなレバーを引けば、肘掛けは後ろに跳ね上がるのだ。


ただ、肘掛けを跳ね上げると、電動スイッチは入れられなくなるので、介助者とかお店の人に説明して、後部両車輪の脇にある赤いレバーを押し下げてもらい、電動から手動に変更し、誰かに車椅子をテーブルの下に潜り込ませてもらわねばならない。

このWHILLは車体が重く、電動だと小回りききやすいのだが、他人が手動で思い通りの方向に動かすのは結構大変。最初にちゃんとテーブルに対してきれいに正対させてから押してもらわないと、縦列駐車が不得意な人だと位置決めに難儀するかもしれない。車の運転得意な人にやってもらった方がいいです(笑)


【というわけで、焼肉屋へ行ってみた】


というわけで、私はこのWHILLの機能を試してみたくて、外食したくなったのだが、なんとタイミングのいいことに、車椅子メンテの翌日、友人が仕事で台東区方面に来るので、帰りにそっちに寄ろうかと連絡をくれた。

というわけで、これまで車椅子で行ったことのない店に行きたいと思い、「焼肉行こう!」と即座に言った。
焼肉なんて久しぶり。美味しいハラミが食べたかったが、思い当たる店は定休日。というわけで、帰りにスーパーで買い物して帰れるようその近くの店で友人と待ち合わせることにした。食べログで外観を見ると、入り口に段差もない。しかし、出かけようとしたところで先に着いた友人から電話。この店、外のドアに段差はないのだが、そのドアが開くと、中に2段の段差があったのだ。友人が店の人に「もう一人が車椅子なんですが・・」と言ってみたところ、「うちはちょっと車椅子は・・・」という返答だったようで、そのまま私に「どうする?」って電話が来た。
時間もロスしてしまったので、友人がいる場所から帰りの地下鉄の駅に行く通り道にある別の店を選んで電話してみた。食べログでは、外のドアには段差はなさそうだ。しかし、聞けば、この店も一歩中に入ったところに2段の段差があると言うのだ(後で聞いたら、焼肉屋は床下にダクトがあるところが多いので、入り口から15cm×2段ほど床が上がっているのではないかということだった)。「そうですかぁ・・・」とちょっと残念そうな私に、店の人は「若いのもいるので、車椅子持ち上げて運びますよ」と言ってくれた。


店は入谷にある鳳来苑という店。
平日の18時というまだ早い時間でお客はまだ誰もおらず。友人も、件のスーパーで買い物を済ませてきてくれるとのことだったので、まだちょっと時間がかかりそう。先に着いた私が店の前から電話すると、中から店員さんが出てきてくれた。家族経営のようだった。


まずは私が電動で中に入り、段差のすぐ前まで進む。そしたらそこで私は杖を持って立ち上がり、なんとか2段を上がって、用意された席まで移動。これも変な姿勢でしか動けず、ちょっとしんどいが、少しの距離だから我慢。その間に店員さんがWHILLを持ち上げて、席まで運んでくれた。やはり車体が予想外の重さのようで、息子と思しき若い男性と50代後半くらいのご主人2人でも辛そうだった。

肘掛けは簡単に上がったが、手動になった状態でテーブルにうまく車椅子を正対させ、テーブルに押し込む前に私も乗り込むには、最初はある程度椅子とテーブルの間にスペースがないと無理なので、私の背面側の席を少し下げてもらい、そこに車椅子を縦列駐車し、私も乗り込んだ。かなりガタガタしたが、まだほかにお客さんがいなかったので、お店の人みんなが協力してくれた。とても嬉しい気持ちになっていたら、肘掛けを上げた時の写真を撮り忘れてしまった。

お店はランキング上位にくるような店ではないし、今の私はまだ味覚障害が残っていて、正しく味を評価できず申し訳ない次第なのだが、最初に頼んだナムル盛りとセンマイ刺しは見るからに新鮮な感じで、美味しかったし(野菜の味はそれほど変わらない)、お米も美味しかったし、私の味の懸案であるアミノ酸系の味をエグく感じるのを差し引くと、お肉ももっと全然美味しいはずなのだ。私の好きな韓国風イカ刺し(イカフェ)もあったが、絶対に美味しいに違いない。盛りも十分でセコくないし、味覚障害治ってきたら是非また行きたい店だ。

帰るころにはお客さんも二組増えていたが、来店時同様に車椅子を運んでくれた。一緒に来た友人に味を聞くつもりで「今日の店どうだった?」と聞いてみたら、「こうして親切に対応してくれた時点でいい店だね」と言っていた。おかわりをしたナムルは油のベタベタ感も少なく、すっきりした味。これは今度テイクアウトしたいくらいだ。なんかすっきり爽やかな気持ちで帰宅できました!

味覚障害で何が不味く、何がおいしく感じるかの確認もあるんだけど、今度は寿司屋に挑戦したいな。どなたか、リーズナブルないい店知りませんか?


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