おひとりさまになった母の年金問題と「健康で文化的な最低限度の生活」
昨年末に父が亡くなったことで、ひとつまた大問題が浮上してきた。それは母の生活費の問題である。店をやっているとはいえ、田舎の表具店なんて、もうほとんど売上はない。母が時々やっているちぎり絵教室の収入も微々たるもの。材料費や準備の手間を考えたら、80歳の老齢で、よくやっていると思う。しかし、1万円でも2万円でも稼がないことには、生活が成り立たないのだ。
そして、父の急逝で、来月から年金が半額になってしまう。経済的な部分で、私が最も恐れていたことが起こってしまった。父母は国民年金の最低額しかもらっていなかったが、これまでは父母2人分の年金があったから、なんとか生活してこられた。2人で月に10万円ほど。それがこれからは月に5万円を切る。光熱費はこの11月から値上がりし、信じられない額。光熱水費、電話代、町内会費などの固定費を引いたら一体どれだけ残るというのか、、、。
今は私もこんな状態で、仕送りをするのも難しい。しばらくの間、生活保護を受けてもらうしかないかと思い、ネットで実家のある市の生活保護についてネットで調べてみたのだが、これがまた驚くべきものだった。
私の実家のある市で80歳、一人暮らしの母が生活保護を受ける場合、その支給額は生活扶助6万1560円。住宅扶助が32000円だが、うちは持ち家なので住宅扶助は出ない。まだ住宅ローンが残っていてもダメなのだ。だから、母に支給される生活保護費は月額61560円となる。年金のみの額との差額は1万5千円ほど。母のちぎり絵教室の収入を足したものと同等か、それよりも少ない額だ。年金収入だけでは生活できないから相談に行っているのに、支給額がこんな額では相談する価値もない。
けれど、相談に行けば何か特例のようなものがあるかも知れないと思い、実際に母は社会福祉協議会の人と共に市役所に生活保護の相談に行った。しかし、なんとそこで言われたのは、現在の手持ちの金額が3万円以上ある場合、相談は受け付けられないということだった。2万円になったらきてくださいと言われたそうだ。この先、新たにお金の入ってくることが期待できない80歳の高齢者に対してもこういう対応なのだ。全財産が2万円を切る状態ってどういう状況か、目の前の市役所職員は想像したことがあるのだろうか。
それに、そもそもの生活保護の設定。このご時世、月6万円で生活できると思っているのだろうか。
確かに、かつての光熱水費の基準であれば、6万円あれば、水道ガス電気で月に1万5千円ほど、電話が固定(一応商店だから固定電話に電話がかかってくるし、田舎の高齢者はまだまだ固定電話を使う人も多いので)と携帯で安いプランを使えば5千円以内。あと、4万円で食費と生活雑貨をまかなえばなんとか暮らせただろう。しかし、今や光熱費は、電気代だけで一人暮らしでも1万円を軽く越す。ましてや一軒家の多い田舎だと、基本料金も高くなる。
うちは商店であるため、元々のアンペア数が一般家庭より高く、基本料金が高い。お客は本当にたまにしかこないが、店を真っ暗にしておくわけにもいかないので、蛍光灯を半分くらいはつけている。そして、実家を建て替える時にオール電化にしてしまったので、お風呂の給湯器にも電気が使われる。多分これが大きい。エアコンはあるにはあるが、もったいないと言って、朝起きる時くらいしかつけていなかったようだし、他に暖房器具といえば、テーブル型の石油ストーブとコタツがあるだけで、それも最近は壊れて使ってなかったらしい。なので、今年に入って、節電のために遠赤外線の小さなストーブを買って、それだけで寒さを凌いでいる。エアコンは雪の降るような寒い日か朝の起床時にしか使わない。そんな生活をしているにもかかわらず、電気代の値上げ以降、12月の請求は2万7千円だったという。ちなみに、2021年の同月は1万2千円だったそうだ。そのくらい電気代は上がっているのだ。また、アンペア数を下げて、基本料金を安くすればと思ったが、四国電力ではアンペア数によって料金は変わらないようで、アンペア数を下げる意味がない。
電気を食う家を建てた自分が悪いと言われればそうかもしれないが(私はガスを希望したが、母が歳とって火は危ないからと、オール電化を望んだ)、こんなに電気代が上がるとは予想できなかった。電気については私の母だけでなく、困っている年金生活者はかなりいると思われる。
生活保護費が6万円で電気代が2万5千円ともなると、固定費を引いた残り、食費や生活雑貨、交際費などに使える金額は2万5千円ほどしか残らない。洋服や家電などは壊れても買い替えるお金など捻出できない。それに、これまでは住宅ローンの返済のうち、母も少し負担してくれることがあったが、これからはそれも全く期待できず、毎月全額私が払わねばならない。もうこれは母の生活の問題を超えて、私の生活が成り立つかという問題になってきている。
持ち家があるなら、それを売って生活費に当てよといわれるかと思うが、この家はまだローンが残っていて、にもかかわらず、もはや上物の値段はほぼ0とのこと。土地の価格も下落が激しく、売ったところでローン残高にはるかに及ばない。ローンも払いながら賃貸住宅を借りるというのでは、より苦しくなってしまうのだ。ありがたいことに、毎月のローンの支払額は、私の体のことを考慮して、返済期間を伸ばすことで下げてもらっている(ただ、そうすることで最終的な支払い総額は増えるのであるが、今の私にとってはそうするしかない)。もし、年金のうちの住宅扶助が、ローン返済にも充てて良いということになれば、私がローンとして払うはずだったその金額分を母の生活費に充てられる。しかし、それはできないという。もう私が稼ぐか、80歳の母が働くかしかない。
80歳になっても働かねばならない社会ってなんだろう。以前住んでいたアパートに80代で、深く腰を曲げながら、年金だけではやっていけず化粧品の外交を続けているおばあちゃんがいたが、結局、電気もガスも止められることになり、私も同行して生活保護の手続きをした。向かいの部屋に住んでいた男性は70代半ばくらいと思われたが、毎朝早く出かけては、清掃の仕事をしていたようだったし、近くの商店街の露店の日に時々来ては野菜や漬物を売っていた60代後半くらいのおばちゃんも朝は清掃の仕事をしていると言っていた。日本では、年金だけでは暮らせない高齢者が若い人のやりたがらない仕事を人知れずやっている。
世間では、生活保護をもらって遊んでいる輩が多いとの批判がある。しかし、東京の生活保護費を見ると、80歳で生活扶助が7万弱、住宅扶助が5万4千円ほどで住宅扶助も合わせると12万4千円ほど。住宅扶助は実際の家賃の額しか出ないから、5万4千円というのは最高額という意味。だとすると、これだけ電気代が上がり、物価も上がり、消費税10%という環境で、東京で生活保護で暮らすことも楽ではない。遊んでいると言われるのは、なんらかの誤魔化しをして生活保護費ももらっている人々ではないのだろうか。
テレビの天気予報では、夏になれば、熱中症にならないようにエアコンを使ってと、エアコン使用を推奨し、冬になれば、明日は冷え込むから暖かくしてと繰り返す。確かにそうしたいが、電気代を負担するのは電気を使った人なのである。いくらエアコン使用を勧められても、払えないものは払えないのだ。テレビというのは、いまだ日本が国民総中流と言われた頃のイメージで報道を行う。その前に、払えない人がいる現実を掬い上げ、政府に対して改善を訴えるのが報道の役目なのではないだろうか。
コロナ以降特に、「暮らせない人」が増えている。
こういう世の中の状況を見るにつけ、水道光熱費などの人の命にも関わってくるインフラは、国有化、もしくは国がある程度介入することで、料金をなるべく低く抑え、安定させることが必要だと思う。民営化による競争で、料金が下がると言われていたものは、携帯料金を除いてはほとんどが上がってしまっている。水道に外資の民間企業を参入させた自治体では軒並み料金が上がっている。そして、現在の電気料金の暴騰。国民の生活を守るという政治の最も大切な仕事を放棄しているとしか思えない。
景気を良くするための景気対策だの公共事業だのばかりが求められるが、それは自民党の支持母体である大企業が求めるからで、本当に生活の苦しい個々の国民が求めるのは生活インフラが安価に利用できることであり、最低限の生活が明日の不安なく続けていけることだ。
政府は企業を潤すことで、賃金を上げて。。というが、企業が潤っても賃金に跳ね返らないことは、ここしばらくの企業の内部留保と賃金の関係を見てもわかる。いわゆるトリクルダウンという、上が儲かれば下に流れていくという理論は成り立たないことは明白だ。
政府がやるべきことは、憲法にもあるように、国民全てが「健康で文化的な最低限度の生活」を営めるようにすることである。
現役時代に2000万円貯められなかったお前の自己責任だと思っている議員もいるだろうが、そんなことを言う人は、毎月、給料日前には財布にお金が残っていないということなど体験したことがないのだろう。貧乏人は単に怠けているからだと本気で思っている議員もいることだろう。そうした人々の金銭感覚だと「健康で文化的な最低限度の生活」というのは、月収どのくらいで成り立つとお考えだろう。彼らの金銭感覚で、最低賃金も生活保護費も決めてもらえれば、みんな収入は月に50万円にはなるはずだ。
しかし、そうした政治家は、自分の浮世離れを隠すため、そういうことは官僚の出してきた数字に頼るから、財政を引き締めたい、というか、自分にとって有利なところに配分したい官僚たちは、そういう金額は低く見積もる。健康で文化的な最低限度の生活をどういう生活と定義しているのだろうか、、、。
そんな人々の集う政府に対してどれだけ文句を言っても、すぐに変わるのはなかなかに難しい。母の年金額や生活保護費についても、今後、政権交代でも起こらない限り、減りこそすれ、増えることはないだろう。
やはり、自分の発想を転換し、現代を生き延びられる新しい方法論を見つけ出さねばならない。そして、それと同時に政権交代を訴え、選挙の争点に貧困対策を掲げて貰わねばならない。このところの立憲民主党野党第一党の体たらくで、国民は「政権交代」とか「野党」という言葉を忘れてしまったようだが、今こそ思い出さねばならない。
本当ならば、あの統一教会騒動は、自民党内の統一教会と繋がる勢力を炙り出し、それ以外の政治家と分裂させ、政界をガラガラポンする政界再編促進の役目を果たすはずだった。それが、マスコミの自民党に対するツッコミの甘さ、次期権力者候補への忖度により有耶無耶になってしまった。自民党議員だって、今の議席数を維持できるなら、今の自民党が壊れない方が政権与党にいられて楽なわけで、これ以上の追及などするはずがない。しかし、メディアの追及が厳しく、自民党瓦解の危機ともなれば、統一教会に深く関わっていなかった議員は、我先にと逃げ出しただろう。そして、任期満了以前の解散総選挙となる。参院選から先3年間は選挙もなく安泰だと思っていた与党が予想もしなかった、早期の選挙が実現したはずだ。なのに、、結局、日本のメディアはそこまでの追求はできなかった。国民もそこまでのことを求めなかった。
母の年金の話から始まって、最後は政府批判、メディア批判になってしまった。
でも、この問題は今やうちの母など一部の貧しい人だけの話ではなく、日本人の何割というくらいの大問題になりつつある。もはや年金保険料をちゃんと払えというようなレベルではなく、税金における社会保障費の割合や分配方法の話になってきている。新たな仕組みを考えないことには日本は破綻する。
でも今はとりあえず、自分でなんとかする方法を考えなきゃな。
このところ、noteの執筆が滞り、読者もサポートも止まってしまっていたが、まずはなんとか、執筆のペースを復活させるところから始める。悠長なことは言ってられないので、とりあえず、2月の残りは頑張って書いて、読者増加とサポートアップにつなげる。
そのさきは書くものをちゃんと売って直接収入に繋げる。そのためには何を書くかだ。
それを考えながら書く。企画書、レシピ、アイディア集、クラウドファンディング。
そして、いよいよYoutuberだが、これは登録者1500を超えないと課金されないので時間がかかる。また、何を発信するかも迷うところ。質問に答えることならできる。そういえば、先日、公式ライバーのスカウトというのがTwitterに来ていたが、これは怪しくないのだろうか?詳しい人がいたら教えてほしい。そこで悩み相談室とかできるだろうか?
このnoteの読者の皆さんも、読みたいもの、聞きたいこと、アイディアなどまた、ライバーというものの実態に詳しい方がいたらぜひご意見メッセージください。
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