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創価学会にガチで入ろうか迷った話

こんにちは。
今日は少しセンシティブなお話をしたいと思います。

先に断っておくと、私は今、特定の宗教団体に入っていません。
私は当たり前に正月には初詣に行き、クリスマスにケーキを食べて、ハロウィンは仮装をせずに生暖かい目で見守る程度の日本人です。

もし勧誘されれば迷惑だと感じますし、駅前で笑顔で立ってるだけの人に目を合わせないように立ち去ります。
そんな感覚の人間ですが、創価学会に入りそうになった時の話をしたいと思います。

私は大阪生まれで、貧富の差が激しい地域に住んでいました。
私は「貧」側の人間で、今考えたら治安は最悪でした。
当時自転車カゴから物を盗むひったくりが大流行していて、私の地元はひったくり犯罪率が日本一、露出狂やら盗撮魔やらが日常茶飯事な地域でした。当時、通っていた小学校の先生は体罰も厭わなくて(むしろそれを誇る)めちゃくちゃ怖かったです。
そんな小学校のクラスメイトの3分の1は創価学会員でした。いや、もっといたかも?
熱心に活動している人が2〜3人、二世三世の人が7〜8人ぐらい。
そして私の親しい友人は全員創価学会員(二世)でした。と言っても、熱心に活動していたわけではなく、彼女たちから勧誘を受けたこともありません。
むしろ親が創価学会員であることを恥ずかしがっていたように思います。

小学生のある日、友人に連れられて創価学会の建物に行ったことがあります。
あの一等地にそびえ立つ宮殿みたいなビルの中がどうなっているのか、どんな人が住んでいるのか、めちゃくちゃワクワクしていたことを覚えています。
しかし、中に入るとひたすら畳が広がっていて、各グループに別れてオダイモクを唱えてお菓子を食べるだけでした。もちろん誰も住んでいません。
てっきり王様でも住んでるのかと思っていた私は肩透かしを食らった気になりました。

その会合で見知った顔を何人か見つけました。同級生です。私は彼女たちが学会員とは知らなかったので、めちゃくちゃ驚きました。
彼女たちは創価学会に活動的で毎週参加しているようです。そして目をキラキラさせてこちらに話しかけてきました。
「学会に入るの?」と。
「入らないよ」と答えると、明るく「入ればいいのに〜。楽しいよ!」と返事されました。
それで会話が終了したのですが、私はあまりのことに面食らいました。

なぜなら、彼女たちは可愛くて活動的で男女ともに人気のあるいわゆる「一軍女子」だったからです。
一方で私は、当時は虐待児で身なりもボロボロで陰キャでコミュ障な三軍です。
学校ではまともに話したことがなかった女子たちに、まるで最初から友達だったかのように話しかけられてめちゃくちゃ驚いたわけです。
「入ったら、仲間に入れてくれるかも・・・?」
って考えが頭をかすめました。
実際、熱心に活動すれば彼女たちとすぐに仲良くなれたと思います。

しかし当時の私は学校生活には困っておらず、
陰キャの自分にはもったいない友人がいました。
なので一軍女子に憧れはあっても、そこまでして仲間に入る必要性はなかったわけです。
そんなわけで、私は誘いを断ち切ることができました。

二度目の勧誘があったのは19歳ぐらいのときです。
その時の私は人生で一番どん底でした。
高校卒業時、私は進学を希望したのですが、家族の面倒を見なければならないという理由で断念し、親の反対で奨学金を借りることも出来ず、仕方なくお金を貯めるために就職しました。が、今度は職場でいじめに遭いました。
職場では私はろくに仕事も出来ず、ほとんどの社員に無視されていました。
わざと怒られるように嘘のことを教えられたり、みんなの前で失敗を披露されて笑いものにされたり、恥ずかしながら……どう見てもいじめられていました。正直、毎日死にたかったです。
そんな時、同じ職場の年上の女性が休日にご飯を誘ってくれたのです。

その女性……まあ、A子さんとしましょう。A子さんは私より8歳ぐらい年上のお姉さんという感じで、高卒上がりで何も知らない私からしたらとても大人に見えました。
そんな彼女が私なんかに声を掛けてくれるなんて、A子さんは天使だと本気で思いました。
食事に誘ってくれた当日、私は泣きながらA子さんにすがりました。
「職場がつらい」「あんなことされた、こんなことされた」
口を開けば出てくる出てくる愚痴の嵐。
A子さんは優しく私の話を聞いてくれて、なだめてくれました。
そして、家にまで誘ってくれました。
A子さんは実家住みできれいな一軒家でした。
今度は私がA子さんの話を聞くことになりました。
「私の家族はもともと貧乏な家庭だった。でも今はこうして立派な家に住めるようになった。それは創価学会のおかげなんだ」と。
A子さんは、人生がどん底の時に創価学会の人に助けられたそうです。
そしてそのおかげで人生が好転し、生活を安定することができた、と。
私はその話を聞いて感動しました
今まさに人生のどん底であろう自分とA子さんの当時の状況が重なってしまったからです。
そしてA子さんは、次の週に集まりがあるから見ていかない?と私を誘ってくれたのです。
私は二つ返事でOKしました。

そして翌週、私は小学生以来にまた同じあの宮殿ビルに入ることになりました。十年ぶりぐらいに見る内装は当時となんら変わりません。
違うのは、私が訳もわからずにそこに来た子供ではなく、一会員候補としてその場にいたことです。
他の学会員の方から話を聞いて、会話を重ねると彼女たちがA子さんと同じく天使のような優しい人物であるということもわかりました。
職場にも家庭にも居場所のなかった私は、ここならうまくやれるかも…と思いました。
心が傾いてきたころ、その会合は最後の演目になりました。
それは「池田氏のお言葉の映像を見る」です。
暗い部屋に整列し、プロジェクターで録画の映像を見ました。
映像では広い体育館に均等に配置された人々がぎっしり詰まっています。
みんな白い服を着て髪の毛を黒く染め、同じ髪型をしています。
そして壇上に池田氏が上がった瞬間、歓声が響き渡りました。感動のあまり泣いている人まで…。その中には見知った芸能人の姿もありました。
その光景を見た瞬間……

キッッッッッッッッッショ!!!!!

って思ってしまったのです。
本当ごめんなさい。
当時、私は大のアイドルファン嫌いでした。
絶対に自分に振り返ってくれない異性に向かってお金と時間を費やしてコンサートに行く人が理解できなかったし、軽蔑さえしていました。(今は違いますよ!)
大衆の一部になってペンライトを振ることになんの意味があるの?
そんな無駄な時間があったらもっと現実を見て役に立つことをしたらいいのに。

って本気に思ってました。
で、その池田氏に酔狂する学会員たちとアイドルファンが重なって、ドン引きしてしまったわけです。
同じ服を着て、同じ髪型になって、誰かを称賛するなんて、自分には耐えられない。とはっきり思いました。

もうね、こうなったら学会員失格ですよ。
私はさすがに「池田氏に酔狂する人たちが気持ち悪かった」なんて言えるわけもなかったので、色々と理由をつけて断りました。ちなみに宮殿までのこのこ行った人が入会を断るのはめちゃくちゃ大変ですよ。
A子さんはもちろん代わる代わる説得され、最後はA子さんのお母さんまで出てきて引き止められました。笑
めちゃくちゃ時間はかかりましたが、最後は私の意志を尊重してくれて入会しないことになりました。

さて、問題です。
これはハッピーエンドでしょうか?

私はいわゆる複雑な家庭に育ち、親に愛されず兄弟からも見下されてきました。そして社会に出た時、私は家庭で自分にされた扱いを当然のように他人に向けたわけです。
理由をつけて他人を見下し、軽蔑しました。
そんな人間が受け入れられるわけもなく、私は社会から拒絶され、いじめを受けるようになりました。
そんな私に差し伸べられた手を、見下して噛みちぎったわけです。

そんな無駄な時間があったらもっと現実を見て役に立つことをしたらいいのに。

現実から決して目を背けなかった私は会社でさらに孤立し、退職に追い込まれました。
そしてうつ病を発症して寝たきりの数ヶ月を送り、二十代前半は希死念慮と戦う日々を送ることになります。

あの時入っていればそんなことにはならなかった、と言いたいわけではありません。
あの時の私は助けを求める力が極端に不足していました。
誰かに元気をもらうことや、助けを求めて自分の環境を整えることなんて、思いつきもしませんでした。

人生は不幸である。

そう信じて自分の道を進んでいったわけです。
だから宗教の勧誘も断りました。

今なら
推しでも宗教でも頼れるものは頼って、自分が幸せならそれが一番じゃん。
って思います。

さて、創価学会に話を戻しますが、学会員は口を揃えてこう言います。
「どん底の時に助けてくれた」と。
ある友人は明日食べるものもないと貧した時に。ある友人は家族を突然失った時に。ある友人は日本語が話せない両親と途方に暮れていた時に。

外国人である友人の家に聖教新聞が置いてありました。
友人の両親は日本語が話せません。大人が読めない新聞があることに不思議に思ったのですが、友人はこう説明しました。
「市役所の人は助けてくれないけど、この人たちが助けてくれたから取ってる」と。

どん底の人が最後に頼るのが福祉ではなく宗教であるというのがなんとも皮肉なものです。
まさに「信じる者は救われる」ってことでしょうか。
私は信じなかったので救われませんでした。
そしてあれ以来、宗教の勧誘は受けたことがありません。やはり神はどん底の時に現れるようです。

しかし私は神には救われませんでしたが、人に救われ、今はそれなりに幸せです。

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