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世界からの愛をビジネスに生かせない日本、改造計画(イギリス最大の日本博レポート)①

世界を楽園にする映画監督 増山麗奈

11月15日~19日。イギリス・ロンドンを訪問した。イギリス最大の日本博、ハイパージャパンのステージに出演、絵画販売をするためだ。クールジャパン人気は停滞する日本経済を救うキーワードになりうるのか否かも見極めたかった。
同時に記者としてEU離脱(BREXIT)に揺れるイギリスを取材することで、日本への影響、さらに世界がどこへ行くのかを分析したいと考えていた。ロンドン中心地、シティ・オブ・ロンドンには、世界を動かす金融取引所が数多くある。大航海時代に太平洋を渡りながら各地を占領し、そこで世界中に中央銀行を作ったのはイングランド銀行。金融資本主義のはじまりの地がEUから離脱することの意味を知りたい。 

【民間最大のイギリスでの日本博に参加】
 英国最大・10万人来場と聞いていたハイパージャパン。このイベントは英日政府主導ではなく、日本のアニメや漫画を愛するいわゆる現地のオタクたちが始めたもの。会場となったオリンピアは、昨年の会場に比べ4分の一程度の広さで、10万人規模と聞いていた4日間の入場者数も1~2万人程度だった。ブースの売り上げは例年の4割ほどだと、常連のフィギア店出展者は嘆いていた。夏のハイパージャパンのイベントでは俳優の渡辺謙さんなど、知名度のある出演者がいたが、今回は誰もが知る有名人はいなかった。

目立っていたのはアイドルグループ「バンザイジャパン」。日本の各県出身のアイドルがご当地観光情報などをアピールするダンス音楽ユニットである。満席になっていたのは、欧州の地元モデルがゴスロリファッションに身を包んだファッションショーだ。私が出演したアンティーク着物のファッションショーReFashionCaravanは若手演出家・殺陣師の兼田玲菜演出だった。

ブースでは、筆者の絵を展示・販売した(私は画家でもある)。現地のニーズがわかり勉強になった。筆の止め、払い、跳ねを生かした筆タッチでその場で描く現代浮世絵似顔絵が人気だった。北斎3割、着物2割、アニメ的可愛さ3割が黄金比。壁に展示した3分後に「これほしい!!」と声がかかり、その場で20代の黒人のアメリカから来た女の子がカード決済で絵を買ってくれたりした。

 【欧州で日本を発信するためのコツ】
こういった日本博は世界中で行われている。欧州最大の日本博は26万人を集めるフランスのパリ・ジャパンエクスポで、今年7月に私も参加した。日本から出店する様々なブースの多くは一般社団法人ジャパンプロモーションが仲介している。ビザ申請や英文申請などの費用が含まれるため現地の法人が直接ブースを借りるよりも5倍~6倍ほど割高になる。日本からの渡航費を払って国際博に行って利益を出すのは簡単ではない。


出店をその後のビジネスにつなげるにはどうすればいいのか。ロンドンで17社もの法人を経営、英語、日本語、フランス語、イタリア語、スウェーデン語、中国語を対象に、日本の食オンラインショップJAPAN CENTRE GROUPで働く石川優さんに聞いた。

国外進出成功者から学ぼう!JAPANCENTREホームページはこちら↓

https://www.japancentre.com/en

「国ごとの展示会に参加し、微妙なニーズの違いをビジネスに生かしています。例えばドイツでは安さをアピールして、イギリスでは商品のうんちく盛り込む。」最初は日本のアニメイラスト集を販売する書店から、事業を拡大。アニメキャラクターと同じものを食べたいとの声にこたえ、自社でメロンパン工場も作った。石川さんは、自身の欧州での成功体験をもとに来年の仏パリ・エクスポにむけて、欧州進出を計画する日本企業へのアドバイザーとなっている。来年は大手出版株式会社トーハンが、輸出の際の懸念材料である物流のサポートに入るという。

「日本国内の消費規模縮小はすべての業種で懸念案件。欧州に進出し新規顧客をつかみたいたいという企業が増えている。日本好きのお客さんが何を求めているかをしっかり現場で学ぶことが大切なんです」(石川)。

→世界からの愛をビジネス転嫁できない日本、改造計画(イギリス最大の日本博レポート)②に続く


興味がある方は、普段は欧州で仕事をしている石川さんがアドバイザーを務める欧州最大の日本博「パリのJAPANEXPO」(https://www.japan-expo-paris.com/en/)

の説明会が12月18日東京、12月10日大阪であるので、良ければチェックしてみてください!

(記事:増山麗奈   写真撮影:Taeko Poffley  取材協力 市民メディアロンドン)


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