理不尽と生きる

先日我が家のゴラムちゃん(長女・17ヶ月)にキックボードを買い与えてみた。産まれたときから身体が強く良く動く娘だったので、対象年齢2歳~だけどまあいいか、と与えてみてびっくり。1回目は押したり引いたり、パパに支えてもらったりしながらキックボードの構造の理解に努めていたのが、2回目ふと気づいたら片足乗せてもう一方の足で軽やかに地面を蹴りながらスイスイ進んでいるではないか!どんなラーニングカーブだよ
最近始めたプールレッスンも初回から一度も泣かず終始ニコニコ、と思ったら、終わってシャワー浴びて帰るよ、ってところでイヤダアアアアと大泣き。洋服のままプールに飛び込む勢いだった。
一方言葉の方は多少ゆっくりと見えて、まだまだ9割宇宙語。最近やたらと「アジャッシ!」と言ってくるのだけど、どうも「あざっす」に聞こえてしょうがない。ミルクあげると「あざっす!」、オムツ替え終わって「あざっす。」、ママが「I love you♡」と言うと「あざぁっす!」
相撲部みたいな成長を遂げていてママは心配。

かたや我が家のサブキャラ新生児おチビ君は2カ月をこえ、体重は出生時の2倍くらいになってきた。豪快なお姉ちゃんのもと、どうも「小さくてか弱い」イメージで見てしまうけど、2カ月の頃の娘と比べても同じか少し大きいくらいの成長を遂げている。お見事。産まれた直後からセルフねんねのスペシャリストではあるものの、ママの試行錯誤むなしく必ず5時間後にピタリと目覚め、ミルクを飲んだらまた速やかにセルフねんね。「腹が減った」というこれ以上ない合理的な理由で起きるのでこちらも文句は言えず。もう少しまとめてミルクを飲めるようになるまで、夜中の半目授乳は続きそう。

何事もやりよう次第、年子育児だって恐るるに足らず、とエイヤで産んだ感のある二人目、「思ったより全然いける!」と余裕を見せたいところだが、「大変でしょう?」という労いの言葉にハの字まゆ毛で「大変です(笑)」と答える程度にはやられている。文章を書くのは大好きなはずなのにどうも筆が進まないのも、現状を俯瞰して見る余裕がなかなか持てないでいたからな気がする。

仕事も同じだけど、ひとつの事象に集中できるときと複数ジャグリングしなきゃいけないときでは、イレギュラーが発生したときの波及効果が全然違う。だから極力イレギュラーを発生させないように家庭内オペレーションを回したい私。もちろん1歳半はそんな甘くない。次から次へとイレギュラーをぶち込んでくる。私の溜息と眉間の皺は増える一方だ。

ひとりっ子で、実年齢も精神年齢も高めの大人たちに囲まれて育ったから、イレギュラーとか、理不尽とか、感情をぶつけられるとか、そんなことをほとんど経験せずに育って、何か問題が生じれば説明し、議論する、そして考えて、次の行動をとる、というのが基本動作であり、そういうロジックとは別の世界に生きる謎の生き物、みたいな存在が近くにいなかった。そんな私は今、必死にゴラムちゃんの「きゃあああー」とか「いやああああ」とか「ギャハハハハ」とかをロジカルに解読しようとしている。そして絶賛挫折中である。(笑)

その点、おチビ君はすごい。産まれたてのころから事あるごとに頭ペチペチ叩かれていたけど(※ゴラムちゃん、悪気はない)、最近は "Head shoulders knees and toes ♪"を覚えたゴラムちゃんに"nose!!" だ"mouth!!"だと鼻の孔やら口の中やらをグリグリされ、美味しくゴクゴク飲んでいるミルクを突如引っこ抜かれ、お腹すいてますと控えめに泣いてても音量10倍くらいのゴラムちゃんにかき消されて気づいてもらえず、と散々な目にあいながらも、涙ぐましい成長を遂げているのである。

おとなが全力を傾けて、丁寧に丁寧に育てるのももちろん素晴らしいけれど、こういう「理不尽」をさらりと流しながら穏やかに生きることができる男になってくれるのであれば、このてんやわんや子育ても悪くないのかもしれない。

我が家のボーイズたち(含む、ぺぱお)は、今日も穏やかだ。


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