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儚さについて
数日前から悩んでいたささくれが、今日の朝、いなくなっていた。
そのうち、もうどの指にあったのかも忘れてしまいそうで、やや寂しさを感じた。
儚い雰囲気を纏っている人はモテる。
人は、なくなってしまいそうなものを、繋ぎとめておきたいと思うからである。
手を伸ばしたらすぐに引き戻せるように、自分のそばに置いておきたいと考える生き物だからである。
ところが、この「儚さ」ほど、演じることがたやすいものはない。
自分の情報をさらけ出さず、少々ミステリアスな雰囲気が出るように、まるでクイズのような難解な応答をしていればよい。
ほんとうに儚いのは、皮膚を引き裂くような痛みをともなうものが、いつの間にか手元から離れたあとの、残された者の悲しみの気持ちである。
いなくなったものの代わりはあるが、悲しみは日々姿をかえ、やがて消えていくものだからである。
とはいえ、姿を消したささくれに再び会いたい気持ちは微塵もない。