#47 小学生に嫉妬した
一年に一度幼稚園のOBとして、卒園した幼稚園にお邪魔している。
自分が幼稚園生だったときはこんなに暑かったっけ?と疑問に思いながら、かわいい小学生OBたちとサッカーをするとても充実した時間だった。
園庭の縮尺に似つかわしくない巨体のスポーツウエアを着たお兄ちゃんが急に目の前に現れたからか、小学生たちは宇宙人を見るかのような目で私のことを見上げていた。10数年前、自分は向かい側にいたのだと思うと感慨深いものがあった。
ちょっと大人げないプレーでもしようものなら、5人くらいにべったりマークされている。身長が自分の腰にも届かない。必死にしがみついてくるのでとても愛くるしい。もちろん全員ドリブルで置いてけぼりにした。
これが大人だ。
一時間半ほどサッカーをした後、家に帰って気づいた。
ワックスでもしたのかというくらい髪が砂でカッピカピに固まって、夕暮れでもわかるぐらい靴下が真っ黒に汚れて家にアイスを食べながら帰り、「またこんな汚してる」と笑われてやっぱりサッカーが楽しいと感じる昔の流れをまたやったら、22歳でもまだ楽しかった。そしてこれは多分一生続けていくのだろう。サッカーにはそれぞれの歳で違った発見があって面白い。
そして同時に、小学生に嫉妬した。
キラキラした顔を見せながらサッカーをしていた子供達を見て、結果が出なくても「楽しかった」と先生に言う子供達を見て、私のアシストでゴールを決めた女の子が嬉しそうにハイタッチをしている姿を見て、楽しめていること自体が競技において目指すべきゴールなのだと改めて気付かされた。
あのちびっ子たちは既にゴールに着いていたのだ。
それがちょっと羨ましかった。
プレーするのが幼稚園の園庭でも、スペイン5部のピッチでも、チャンピオンズリーグのピッチでも、関係ないということを小学生が教えてくれた。
モリモリご飯を食べたり本を読んだりするために使います