芝居

私は、推し云々の前にただただ芝居が好きだ。

幼い頃、母に連れられて見たオペラから私の観劇人生が始まっているのだと思う。半分以上寝ていたらしいけれど。申し訳ないけど、そりゃあそうだと思う。いくら年長とはいえ、保育園児だ。プリキュアが出てくるならまだしも、魔笛だ。それなりに初心者向けのオペラとて、保育園児にはあまりに難しすぎる。そんなこんなで、ほとんどを寝ていた私だが、舞台を見るという意味では多分そこがスタート地点だったのだと思う。

母は音楽系の人だったから、オペラに限らず、サロンコンサートなどにはよく足を運んだ。今はちょっとダルくて中々足が向かない。別に興味が無いわけじゃないけれど、それよりも興味があることがいっぱいあるから。

小学校に上がって、母の生徒さんが劇団に入ったからとミュージカルを見に行くようになった。これに私はどハマりした。見るだけじゃなくて、やりたくなった。でも母は首を縦には振ってくれなかった。母の首が縦に振られるまで7年の月日を要した。その頃には熱が冷めていた……訳では無いけれど、2度ほど舞台に立って私は劇団を去った。そもそも容姿端麗な訳ではなく、始めるのも遅く、周りとのギャップに耐えられなかったのだろうなと今の私は思う。

けれど、その劇団に入ったことで1つの大きな出会いをする。それまで、舞台というと、オペラやらミュージカルやら、作品の中で歌が不可欠な音楽的な物を想像していたのだが、劇団時代のお友達のお姉さんが出演するという舞台を見に行って衝撃を受けた。それが、小劇場。本当に衝撃で。雷に撃たれたような衝撃で。丁度それが高校生に上がるくらいのタイミングだったのも良くて、アルバイトを始めて、自分が使えるお金が増えて、見に行きやすくなって、色々と見に行くようになる。その頃から私は芝居が好きだ。推し云々よりも、芝居が好き。いつからかテレビのドラマは見なくなり、生の舞台、芝居を見るようになった。

推しが出るから見に行くのはそうだけど、見た後に作品を好きになってチケットを増やす、なんてことをたまにする。初めてそれをしたのは、鴻上尚史の作品だった。私はどうやら鴻上尚史の作品が好きらしく、自分の初演出の作品も鴻上作品を使わせてもらった。世界観の壮大さと現実味のギャップ、それから笑いのセンスが本当に好きで、鴻上尚史がいる時代に生まれてよかったなと思う。と、同時に、鴻上尚史と同年代に生まれて、彼のデビューから生で見たかったなとも思う。叶わない願い。ちなみにこれ、別に推しが出てたから行った訳じゃないというのがミソ。

なんで2.5次元に行くようになったかは分からない。分からないけど気づいたら原作をそこまで追ってる訳じゃないジャンルにどハマりしていて、なぜだか今そこに4年振りとかに舞い戻ってて、それは多分きっと宝塚というメインジャンルから心が離れてるからで、自分で自分に不思議だなあと思いながらオタクをしている。

2.5次元というのは特殊で不思議なジャンルだと思う。2.5次元と同じように括られているけれど、ゲーム原作、アニメ原作、漫画原作、果てはドラマCD原作だったりするので、そもそも問題スタート地点が違うのに2.5次元で括られる。
作品の質も全然違う。ミュージカルもあれば、ストレートもある。私は一体何を見たんだ?みたいな出来の作品もあれば、グランドミュージカル級の出来の作品まで様々。
昔は特定の作品だけ見ていたけれど、今は推しが出りゃなんでも行くので色々と行っていて、2.5次元と一口に言ってもこんなに違うんだなあ……を実感している。

そもそも、何をもって2.5次元なのかという話。
宝塚が漫画原作の作品をやってもそれは宝塚の作品。劇団四季がアニメ映画原作の作品をやってもそれは劇団四季の作品になる。所謂グランドミュージカルの製作をしている会社が漫画原作等の作品をやったとしても、それはグランドミュージカルになる。……どゆこと?笑

まあ、主張したもん勝ちだと思うので、主張してくれたら2.5だなあと思って見に行く。
だから、作品側が2.5だよって主張してるのに、演劇的を演出やら出演者やらがやたらと主張してる作品を見に行って頭を抱えた。
これは、何?2.5……なんだけど、そうなんだけど、確かに演劇的。

ただ申し訳ないんだけど、2.5の規模でやられると、なんだろう、入り込みにくくて。劇場が広すぎて入れない。変な気持ちになる。私のコンディションも悪いんだろうけど。夏休みだから大嫌いな学校がなくて病んでなくて情緒安定してるからコンディション悪い。あ、成績は凄かった、悪い意味で。マジでヤバい。GPAがすごい。アホの子すぎた。欠席しすぎなんよ、私。来期は頑張れ。

話は戻って。2.5次元的派手さはもちろんある。立ち回りがもろにそう。本当に派手。照明とか、音とか、セットもすごく派手。なんだけど、出演者の年齢層もあるのか、経験値の異様な高さもあるのか、すっごく、あー!演劇見たなー!感を感じて帰る。なにがどう演劇なのか、上手く表現出来ないけど、なんか、演劇。しかも私が好きな方向の演劇。でもなんか、そりゃそうなんだよな〜。と思う。吉谷さんでなるせさんで、嫌いなわけないじゃんって。そう思う。そう思える存在がいるっていいよね。ありがとうございますという気持ち。

でも思うんだ、客席に照明向きすぎでは……?目潰れるわい。私は割と目が強いというか、慣れてるというか、まあとかく気にしないけど、キツい人はキツいと思う。でも派手派手で好きなんだよなあとも思う。中々難しいものがありますよね。頭痛くなる理由の1つに照明がありそうな気がしてきた。ま、いいや。

演劇って楽しいなあって思う。いつも思うけど。
やるのはなんかなあ、苦手。好きだけど、得意じゃない。それでもやりたいと思った自分のことを恥ずかしいとは思わないし、やりたいことをやりたいって言えた自分、格好いいと思うからそんな過去の自分を誇りに思う。でも今は、見てたいかな。見てるのが楽しい。そのうちまたやると思うけど。その才がきっと自分にあると信じて疑ってないから。

1個だけ。ハワードさんのあのセリフ逆に覚えにくいだろうなあって思ってるの私だけ?タイミング絶対覚えられないし、あの刻む感じ無理。こばりょくん本当にすごいなと思う。

そんなこんなで文劇5談義でした。内容のことは全部終わってから書こうかな〜。
こんなご時世の中で、東京公演折り返しまで無事に上演出来てることがまず幸せだなって観客側として思う。推しに会える機会が減らないって本当に嬉しいことだから。

カンパニー全員で最後まで走り抜けられますように。
もちろん文劇だけじゃなくて、今上演してる全ての作品が。これから上演される全ての作品が。

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