言葉の背景 〜祖父〜

初めて買い与えられたのは

[ 人魚姫 ]

の絵本だった


祖父を前に、読み聞かせの真似ごとをしていた記憶がある


祖父は、傷痍軍人だった

そして、小説家になりたい人だった


昔から小説家になりたかったのか

傷を負ったことも一因となったのかはわからない


ただ


いくつもの同人誌に参加したり

数百頁の本を、数冊自費出版したりと


とても、精力的に活動していた


普段は口数が少なく、とても穏やかな人柄だったため、内側にそんな膨大な世界を抱えているとは思わなかった


脳内では、こんなにも沢山の言葉が豊かな描写をしているのか、と驚いた


数年前、衝動に駆られ、ライトノベルに挑戦したことがある

映像は浮かんでいるのに、それを描写する言葉が見つからなくて、文章にすることの難しさを知った


短絡的ではあるが、小説家って凄い、と思った


言葉は、深い

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