においのはなし
先日、、次の予定の前に少しだけ時間があるな、と思い立ちすぐそこにあった100均に行った。
さりとて特に欲しいものはない。
軽く品定めをするように物色していると、程なくしてバッグなどの布類のコーナーに来た。
刹那、ふわと鼻を衝く、化学薬品のにおい。
如何にも「赤い国から来ました!」と言わんばかりのにおい。
——まあ一応弁解はしておくが、赤い国の人に対して悪く思ってるんじゃない。だいたい日本にいる赤い国の人はそこそこ親切だと思っている。それらの話はここでしても仕方がないので置いておく——
なんだかなあ、こんなにおいにも敏感になっちまったか!
もしかしたら友人に贈ったあのタオルも、こんなにおいがしていたのかもしれない。
布類のコーナーを避けるように、おもちゃコーナーへ歩を進める。
見るも鮮やかな色とりどりのおもちゃ。
わやわや、とても楽しそう。
だが毒々しい。
子供も口にするであろうそれら。
ああもう、そもそもこういう世の中だったのに、だ。
どんどん受け入れられなくなる。
お姉さんやお兄さんの香水のにおいも、端から苦手だ。
公共交通機関はにおい問題が甚だしいのは、皆さんも感じることであろう。
最近、食べ物の好みも変わる。
小麦のにおいが好きではなくなった。
大好きだったラーメンも、大好きだと叫ぶほどに、さほど美味しいものと感じられなくなってきていた。
ヴィーガンになる気など毛頭ないのだが、食べ物について知れば知るほど、本当に安全な食品を体に取り込むのには、どれだけお金がかかるんだろう……。
戦後からか?食べ物のファスト移行により、我々は当たり前のように早くて手軽なもの——言わずもがな、とても身体に悪いもの——を摂り込み続けてきた。
別に今さらの話である。
なのに。
急に野菜や納豆が食べたくなったり、果物を摂りたくなるような嗜好に落ち着いて来ている。
家にあるのは専らレトルト食品、これを食べ続けてゆうに半年は経つ。
ある種の反応とでも言うべきなのだろうか。
あるいは例えば被災したときの練習。
それなら得意だ。
今しがた「そんな不味いばかりか身体に悪いものを食べるな!」と天使が食卓をひっくり返していった。
あっついな!おかげで味噌汁で軽く火傷しちまったではないか!
「調味味噌……。」
口をついて出て来たその言葉。それの意味。
否、わかってる、わかってはいるんだ。
理解しただけでも進歩だと思ってくれ。
先日、歯磨き粉を天然由来の物にしてみた。
ほー。ちょっと今までと違って磨きづらいが、優しい。
なるほど。こういう生き方はとても良いのだが、とても生きづらい。
身体に優しい生き方をしようとすると、何でもかんでも高すぎる。
なぜここまでして歯を食い縛って生きねばならぬ?
困ったもんだ。
明日は早起きして、野菜の直売所に行こう。
根源にはもっと深い問題が隠れていそうだが、一旦はそれで良かろう?天使たちよ。