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青い道(春)

彼女はこの道を歩くのが好きだった。
眼が悪いのにわざと眼鏡をはずして歩いた。
彼女はいつもドキドキしていた。

彼女は、内気な子だった。
休み時間になるといつも本を読んでいた。

放課後、彼女は教室に一人になっても帰らなかった。
ギリギリまで教室に残って本を読んでいた。

夕日が真っ赤に染まると、帰り支度を済ませ教室を出た。

彼女は、門を出るとみんなと違う方向に歩いて行った。
遠回りになる、規定の通学路だ。

下校中、彼女は滅多に歌わない鼻歌を歌ったり、時々スキップをしたりもした。
流れる川の音とすっかり歩き慣れた道が、彼女の心を開放的にさせた。

こっちに走ってくる人影が見える。
その影はふと立ち止まって、彼女に話しかけた。
「こんなところで会うなんて、奇遇だね」
彼女は急いで眼鏡をかけ、風で乱れた髪を直した。
同じクラスの男の子だ。
自主トレーニング中だったらしく、少し顔が赤くなっている。

彼女はこの道を歩くのが好きだった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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