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サバマヨ麻辣ピザ 全方位的刺激にオールマイティの樽発酵甲州ブドウ

この日の私はどうかしていた。平穏な日常の心地よさに飽き足らず、刺激を求めていた。シビレもヒリヒリも。あぁ、なんて恐ろしい、はしたない、、、

そうして欲望を抑えられず和唐辛子、糸唐辛子、花椒の刺激のトリオをピザにトッピングしてしまった。そう、「舌がしびれる」麻(花椒)、「舌がヒリヒリする」辣(唐辛子)の二つの刺激。

少々興奮しすぎたようだ…。

週末にスーパーでピザ生地を買い、好きな具材を載せて酒のおつまみピザを作ろうと思いつく。キッチンで缶詰、冷蔵庫の残り物野菜を眺めてなんとなくレシピを考える。缶詰のさばオリーブオイル漬け(ガーリック風味)にたっぷりとマヨネーズを絡めて、レンジでチンしたキャベツの千切りの上に載せる。チーズをたっぷり振りかける。これで終わりではない。件の輪唐辛子、糸唐辛子、花椒の麻辣トリオをパラパラと散らす。そしてオーブンで焼き、仕上げに大葉の千切りを散らす。

香りづけしすぎた気もするが、サバマヨチーズガーリックのパワーには刺激溢れるシビ辛がちょうどバランスする。味付けの濃いめの魚の缶詰はピザのトッピングに最適で、特に今回の富永貿易のサバ缶はオリーブオイルが奥まで染み込んでいて、ピザ親和性が猛烈に高い。

ピザを口にすると、サバのジューシーな脂、まったりしたチーズの乳脂肪分、ガーリックの爽快な辛味、唐辛子と花椒のシビ辛が、暴れるブルドーザーとなって押し寄せる。求めていたのはコレ!そして口内のカオスにはすかさず白ワインの秩序を。合わせたのは山梨の甲州品種とイタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種。いずれも魅力的な相性をみせたが、特に樽発酵による複雑な香りと滋味豊かな甲州ワインが、口内のカオスを女神の微笑のごとく優しく包み込んでくれた。

子供たちも思い思いに好きな具材を載せてピザ作りを満喫。ワンパクなピザ!

さて、サバマヨ麻辣ピザとそれぞれのワインの相性について。


シャトー・ルミエール, 光, 甲州 山梨, 2020, 3,658円

1885年創業。山梨県笛吹市一宮町南野呂。自社農園で栽培した甲州種を樽発酵した後、20ヵ月の樽熟成で仕上げる。
力強く濃い色調。香りには枇杷、大ぶりの和梨、カボスに微かに柚子、果皮のフェノールの複雑な香り、カモミールティーのほんのりスパイス香。
味わいにはジューシーで滋味溢れる染み込む果実味。ほろ苦さはゆるゆる続き、甲州品種とは思えないほどの非常に長くまったりとした余韻。甲州の魅力を引き出し尽くした名品。

サバマヨ麻辣ピザにワインを合わせる。ワインの樽発酵による複雑な香りと奥行きが、そしてたっぷりと引き出された甲州ブドウの滋味が、鯖の脂、マヨ、チーズ、ニンニク、麻辣の様々な味覚刺激にオールマイティ。繊細でかぼそいはずの甲州ブドウが、樽発酵により野太い膂力を引き出され、カオスで刺激的なピザにバランス。五つ星に近い四つ星。相性: ★★★★☆


パーラ, ソプラソーレ, ヴェルメンティーノ, イタリア, サルディーニャ, 2021, 13.5%, 2,376円
Pala, Soprasole, Vermentino di Sardegna DOC

1950年創業。1990年に全てのブドウ樹をサルデーニャの地ブドウ品種に植え替え。このワインには標高150~180mに位置する畑から、樹齢平均35年のブドウを使用。ステンレスタンク発酵。
香りにはフレッシュな青リンゴ、グレープフルーツに微かにライチと白桃、セルフィーユのハーブ香やフラワー香。海岸の潮風や貝殻の香り。フレッシュで軽快ながら個性が凝縮。
味わいには瑞々しくもグリップのある果実味が伸びやか。こぎみよい酸味と塩味、中盤からほろ苦さ。余韻はフレッシュで爽やかながらヴェルメンティーノ品種の楽しみが凝縮。

サバマヨ麻辣ピザに。ワインのハリのある柑橘香、ハーブ香、潮の香りは、ピザの鯖の脂、ガーリック、辛みとの調和が素晴らしい。一方でマヨやチーズのクリーミーな風味への繋がりは期待未満か。相性: ★★★★☆

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