空気の漏れる小さな音

毛のない膨らみが
戻ってきた

翅も甲殻も顎も
未発達のまま

頭もお腹も背中も
無傷のまま

硬いキャップを
液で溶かして

以来ずっと
ペットボトルの底で
渦巻いている

月の明るい夜には
波打つ時もある

十年の間
何があったのだろう

一回り小さくなって
あまり食べなくなった
気がする

きっと
何もなかったのだろう

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