見出し画像

RemitAidが目指す世界を皆さんに伝えたい

皆様、ご無沙汰しております!noteの更新は約1年半ぶりになります。

昨日、PreAラウンド 1stクローズの資金調達に関するリリースを配信いたしました。
心強い支援者の皆様がチームとなっていただけたことは、起業家として本当に嬉しいことだなと改めて感じた次第です。

2022年8月の設立よりも前から、私たちは紆余曲折をしながら、顧客の解像度を高め、事業作りに精進してきました。目指すべきところがより明確になってきたと同時に、そこへ到達できる絵も描けつつあります。
ぜひ多くの方に、RemitAidのメンバーが

  • どんなことを考えて日々顧客と向き合っているのか

  • どんな世界を見ているのか

を知っていただくことで、

  • 私たちが大きな挑戦をしていること

  • その大きな挑戦が大きな可能性を秘めていること

の2点が伝わればいいなと思っています。

日本の国際競争力に対する危機感

「次の産業を創らないと日本の国際競争力って低下し続けるのではないか」という感覚を、定量だけでなく、日々対話を行う顧客の声という定性の側面からも強く感じています。
今回は日本のモノやサービスの収支、つまり、危機感の背景にある定量的な側面についてお話できたらと思っています。

まずはモノの収支である貿易収支です。
日本の輸出入額の3ヶ月移動平均を見てみるとコロナ以降、右肩上がりで成長しています。
2023年は輸出額が過去最高となり、100兆円の大台を超えました。
一方で2023年の貿易赤字については約9兆円。2022年の20兆円と比較して半減しているものの、継続して大きな赤字を出しているのが現状です。

2023年輸出額が過去最高、初の100兆円超 赤字は半減(日本経済新聞)

2024年の上半期も速報値ベースで3.2兆円の赤字となっており、6半期連続の貿易赤字となっています。

次にサービスの収支を見てみます。
サービス収支は、インターネットサービスや旅行、輸送などのモノ以外の取引での収支で構成されています。
コロナが終息し、インバウンド需要が戻ってきてることが、一目でわかる一方で、その他サービスの赤字が広がっています
その他の部分の多くがデジタル関連、研究開発費となっており、特に2020年前後からデジタル関連の赤字幅が伸びてきています。

【市川レポート】経常収支の構造変化から考える  日本円の需給
(三井住友DSアセットマネジメント)

貿易収支やサービス収支に関しては、今年の3月下旬に公開された、財務省の「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋 第1回会合」の資料でも言及されています。
資料の中では貿易赤字傾向の背景として「自動車に匹敵する黒字の担い手の不在」が挙げられていますが、サービス収支についても同じことが言えるとのではないでしょうか。
つまり、モノやサービスに関わらず、日本経済を押し上げるような、世界で戦える次の産業が産まれていないことが本質的な理由であると考えています。

産業を創る難しさと国際決済の可能性

次の産業を創らないと日本の国際競争力って低下し続けるのではないか、というお話をしてきましたが、もちろん簡単なことではありません。
むしろ、モノや情報に埋め尽くされ、何不自由なく生活ができる今の日本において、新たな産業を創ることは本当に本当に難しいことです。新しい何かがなくても、多くの人は十分「幸せ」なので…

しかしながら、私たちは、
1. 国際決済という領域が再構築されることで1つの産業として発展し
2. 結果として新しい日本の産業を生み出す支えとなる

ことができると心の底から信じています。

※そもそも産業ってなんぞや、なにをもって産業と言えるのか、みないな話もつらつらと書いてみたのですが、お話が違う方向に行ってしまったので、別の機会にさせてください。「産業」については個人的に勉強したいと思います。

国際決済における課題

皆さんは海外への送金、海外からの入金を経験したことはありますか?
経験したことがある方の中には、「二度とやりたくない」と思う方もいらっしゃると思います。

大きく国際決済の課題は2つ存在しています。それぞれ簡単にご紹介します。

高く不透明な手数料

国際決済の場合には①振込手数料、②中継銀行手数料、③為替手数料、④着金手数料の主に4つの手数料が発生します。
それぞれの手数料が非常に高いのはもちろんですが、中でも「中継銀行手数料」と「為替手数料」は以下の理由で非常に厄介です。

  • 中継銀行手数料
    どのルートを通って決済がなされるかによって金額が異なるため、実際に送金が完了しないといくらかわからない

  • 為替手数料
    1ドルあたり1円が標準の価格となるため、取引額によっては非常に高額になる上に為替のリスクも存在する。

アナログなオペレーション

送金や入金の手続きについても非常にアナログです。
日本独自のフォーマットの影響で取引の明細はPDFでしか出力されません。従って、消込や突合の作業を目視で実施することが当たり前化しています。
また、着金時の確認を未だに電話で行うケースや、数万円程度の送金のために会社まで支店長が確認に訪れてチェックを行うといったお話もしばしば伺っています。
(銀行によってはそもそも海外送金を受付けない支店も増えてきています。)

日本の国際決済の状況

ご紹介してきた課題が根深く残る国際決済の領域ですが、日本における国際決済は3つの理由で大きな過渡期を迎えていると考えています。

1つ目が日本の金融機関が外為業務から撤退をしているということです。今年の2月末にスルガ銀行が外為業務から撤退していることを発表しています。スルガ銀行は静岡に沼津市に本店を置く第一地銀です。売上や利益でも一定の規模と実績を持つ地方銀行でも外為業務を撤退する現状なのです。
その理由として、
・AML(アンチマネーロンダリング)対応の業務負荷
・システムの開発や維持のコスト
の2点が挙げられます。
実際にとある第一地銀の方とお話をしている中で、国際決済のネットワークであるSWIFTへつなぎこむために、大手SIerを3社も挟むと聞いたときは驚きを隠せませんでした。

2つ目は資金移動業の緩和です。
資金移動業とは、為替取引を一定の条件下で銀行業を持たない事業者にも開放するというものです。資金移動業者になるためには、資金決済に関する法律に基づいて登録を申請し、内閣総理大臣の資金移動業者登録簿への登録を受ける必要があります。
1種類だった資金移動業が2020年の法改正で3種類となり、これまで100万円以下に制限されていた為替取引(送金)を制限なく実施可能となりました。
これにより、B2B取引をはじめとした高額な取引にも、銀行業を持たない事業者が対応できるようになっています。

3つ目が海外のプレイヤーが多く日本のマーケットに参入していることです。
wiseやNIUMといったプレイヤーが前出の資金移動業1種に登録しているだけでなく、PayPalやPayoneerといった企業も資金移動業2種に登録をして日本で事業を展開しています。

日本発の国際決済サービスが産業を創れるか

こういった状況の中で、日本発の国際決済サービスが産業となるような大きな事業となり得る可能性があると考えています。

まず、日本発であることがポイントです。
前提として日本の輸出入額の合計は約210兆円と莫大な金額です。
さらに、貿易の相手国の上位10各国のうち、輸出ではアメリカ、ドイツ、オーストラリアを除く7カ国が、輸入ではアメリカ、オーストラリア、UAE、サウジアラビアを除く6カ国が、東アジアや東南アジアといった近隣国となっています。
アメリカの輸出上位がカナダ、メキシコであることやオランダの輸出上位国がドイツ、ベルギー、フランスとなっていることから、近隣国との貿易がメインにとなる傾向は他の国でも見て取れます。
それに伴い、日本に進出している海外のプレイヤーはアジア圏の対応が遅れており、日本企業のニーズを満たせていない状況です。
(ビジネスの中心としている国のニーズ対応に注力することは、事業としては当然ではあります。)

加えて、業務オペレーションへの対応も非常に重要なポイントです。
私たちがメインのマーケットとしている貿易取引においては、各部署が連携し、業務を行うことはもちろん、会計ソフトやERPなどのシステムとの連携も必要となります。
B2Bの決済については各企業のオペレーションにどのように自然に組み込めるかが非常に大事になりますが、海外のプレイヤーはグローバルにリソースを持っており、日本の業務だけに合わせるような機能を創ることは難しい状況です。

環境の変化に伴いより銀行の国際決済以外の決済方法が一般化してくる状況において、

  • 日本という貿易大国で

  • 日本発のスタートアップが顧客が求める国との取引で安価かつ迅速に決済を実行できるソリューションを

  • 業務プロセスに自然とフィットする形で提供すること

によって大きなマーケットを押さえることが可能となる、結果として新たな産業の創造に繋がると信じています。

RemitAidは産業を生み出す支えとなるのか

加えて、私たちが産業となることは、私たちは産業を生み出す支えとなることにもつながるとも考えています。
産業の創造において必ず存在する"取引"が、モノやサービスと対価となるお金の交換だとすると、決済ソリューションの発展は"取引"の発展に直結すると考えています。
私たちが顧客と会話をしていても、国際決済がめんどくさいため、海外取引が億劫になる方や、社内のリソースを考慮して拡大を躊躇する方が多くいらっしゃいます。
決済はインフラです。例えるならば道路と一緒であり、日本と世界へつながる道路は草だらけでガタガタ・ボコボコな状況なのです。
目的地(海外取引先)が決まってもなかなかそこへ辿り着けない…そんな状況を変えることで、日本の新たな産業の育成や国際競争力の向上に貢献できると考えています。

最後に

ここまで読んでくださった皆様。ありがとうございます。
誠に勝手ながら…既に皆様は私たちRemitAidの仲間だと思っています!笑

冒頭でも触れた通り、このnoteを通して

  • 私たちが大きな挑戦をしていること

  • その大きな挑戦が大きな可能性を秘めていること

が伝わっていたら、嬉しい限りです。

もし、このnoteを読んで、「大きな市場で挑戦していることはわかったから具体的な事業のこと聞いてみたい!」、「大きな山なのはわかるけど戦略的にどうやって登っていくの?」
なんて思った皆さんは、ぜひカジュアル面談でお話しましょう!

ちなみにですが…チームRemitAidは日本に留まらない、更に大きな絵を描きながら日々顧客や社会と向き合っています。
次回、ビジョン・ミッション・行動指針についてのnoteを書く際に、皆様へお伝えできればと思っています!ではでは!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?