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フリーゲームRPG『ANT』紹介・感想
追憶@reminder_89です。すぎやん氏の新作フリゲ『ANT』が2023年1月6日に公開され、ここ1週間ほどクリアまでずっとプレイしていました。クリアするまでの時間は測定していませんが、おそらく10時間超える程度でした。近未来風の世界観で、一つの街を舞台に物語が展開されるストーリー重視のアドベンチャーRPGです。独自の自作戦闘を採用しており戦闘も面白い内容でした。作品は、ふりーむ!からダウンロードできます。
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筆者は、すぎやん氏の過去作『Qualiaシリーズ』の紹介をもぐらゲームスに寄稿したことがあります。もし良かったらこちらも読んでいってください!
紹介(ほぼネタバレなし)
物語の紹介
十数年前の“大災害”で半分が水に沈んだこの街で、
今なおトップの座に君臨し続けるバイオ工学系巨大企業―――生這技研。
少女アズミラが生這技研のエージェントとして働き始めたその裏で、
復讐と陰謀の影が少しずつ忍び寄っていた―――
ほぼネタバレなしと冒頭に書いてありますが、紹介するにあたって最低限必要な多少のネタバレはあります。ご注意ください。
生這技研というバイオ工学系巨大企業で働く少女アズミラが主人公です。
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まだ15歳の少女であり、そんな若い子をエージェントとして働かせる生這技研の怪しさがうかがえます。さらに生這技研は人間を「重ミュータント」へ改造手術する技術を有しており、なんと彼女は重ミュータントなのです。
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重そうな境遇に見えますが、すぎやん氏によると本作は「コメディ7:シリアス3くらい」の作風とのことでプレイ前に受ける印象ほどシリアスではありません。むしろそのコメディ寄りのギャップが魅力です。アズミラの博多弁口調が可愛いのと懸命に仕事を頑張る姿勢も相まり応援したくなります。
そんなアズミラが街の各地で仕事して様々な人と出会い成長していくのですが、なぜか「変な知り合い」ばかり増えます。十数年前の大災害の影響によって苦しい暮らしを強いられている住民も多いなか、逞しく生きるその姿や変人ぶりを見せられて、ふふっとなりました。モブ住人にも個性的な人物が多く全員に話しかけて回るだけでも楽しい作品です。
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すぎやん氏による自作グラフィックの数々も健在です。RPGツクール2000の強みである懐かしいドット絵キャラグラフィックやマップの独特な雰囲気は必見! ぬまたろう氏の音楽も素晴らしく、MIDIの音色がレトロな作風にマッチしています。
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自作戦闘の紹介
戦闘は直線6マスの範囲内を移動して戦うサイドビューのカウントタイムバトルとなっています。体の向きや技ごとの攻撃範囲(黄色のマス)が重要な要素であり、敵の背後に移動して攻撃すると確定でクリティカルになり大きなダメージが与えられます。移動コマンドは必要な行動ゲージ消費が半分で済むため、どんどん移動して敵の背後をとり攻撃するのが楽しい戦闘です。
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最初はアズミラひとりだけですが、物語が進むと最大4人パーティを組んで戦うことになります。正面に敵を引きつけながら、機動力ある味方を移動させて背後に回ると言ったチームワークを活かした戦い方も可能です。
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また、主人公のアズミラはスキル・ステータスをある程度自由に構築するカスタマイズが可能です。育成の方向性によってとても多彩な性能のアズミラに育て上げることができます。ぜひアズミラちゃんに好みの自己改造を施してあげましょう。
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感想(ネタバレあり)
プレイ当時のツイートはこちらを参照 ↓
明日からはすぎやんさんの新作「ANT」プレイします
— 追憶 (@reminder_89) January 7, 2023
いたいけな少女アズミラが一端の社畜を目指して奔走する物語だそうで…楽しみ! pic.twitter.com/ub5NOsSfVa
ここからはネタバレ多めに書きます。注意!
主要人物に着目した感想です。
アズミラ
最初に強調しておきたいこととして、アズミラの博多弁かわいいの一点だけでお釣りが来るほど素晴らしいです。ぜひプレイしましょう!
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年相応のあどけなさと仕事を頑張る一生懸命さに心打たれて応援したくなる素敵な主人公でした。職場では妹分としてかわいがられて、外では人の縁に恵まれ成長していく様子が見ていてほほえましいんですよ。
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そんなアズミラの成長物語ですが、もっとも衝撃を受けたのは第六幕最後のシーンでした。これからどうなってしまうのかと茫然自失になってしまうほど…それだけアズミラのことを気に入って背中を押すような気持ちでプレイしていました。このシーンは真相の明かしかたがとても上手いと思います。ここは物語の根幹に関わるところのため実際にプレイして確かめてほしい。
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ちなみにアズミラの育成は体育会系らしく物理型にしました。蟲毒ロンリネスで自己バフした後、喉首スカルプチャで急接近してジャイ蟻キリングで殴る! シンプルに強い!! 特に、喉首スカルプチャは敵に攻撃するついでに2マス分移動もできて使いやすかったです。喉首スカルプチャ、お勧め!
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ジョルダン
続いてジョルダンの話。小心者ながらジャーナリストとしての矜持をしっかり持っていて終始好感の持てる男でした。ツッコミ役としても大活躍! 周囲に振り回されているようでいて何気に計算高い一面もあっていいぞ。
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なんだかQualiaシリーズで好きなリッカーマンを小者にした雰囲気の人物だなぁと思っていたら…まさかの親戚のあんちゃんがリッカーマンでした! ということは『Qualia Next-道を照らして-』の40年くらい前かな?(ただしリッカーマン本人どころか名前すら登場しないため「親戚のあんちゃん=リッカーマン」は私の推測)
ここで入手した武器「時代遅れのリボルバー」は最強武器より数ポイント攻撃力が低いのですが意地で最後まで使いました。リボルバーの効果で強化された三段撃ちパパラッチが強くて頼りになる~!
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クレンシア
クレンシアはミサゴドライブがとても使いやすくて便利でした。高い機動力で背後をとる動きを任せたら右に出る者はいません。そしてなんといっても、物語中盤に明かされるグレンゾォのおっさんとの親子関係が魅力です。
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『ANT』では中盤以降、様々な親子関係が次々と描写されていきますがクレンシアとグレンゾォは最初に判明する親子だったこともあり印象に残っています。哀愁漂うというか、子への接し方が不器用な親って見ていて面白いんですよね。こういった様々な親子関係に着目してキャラの掘り下げが行われる展開はかなり好きです。親子関係の描写による掘り下げが上手い作品として、逆転裁判シリーズのなかでも私が特に好きな逆転検事2や逆転裁判6がそうだったなーということをふと思い出しました。
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ビー・ビー
次はビー・ビー。変なオジサン! なぜかアナログテレビを頭に被っていて、斜め45度のチョップで家電を修理するなど懐かしいネタが満載。まるで生きる時代を間違えたかのような変人です。それなのにたまにカッコイイセリフを言ったりするから侮れん…! なんだこいつ。
残念ながら戦闘ではあまり活躍させてあげられず。範囲攻撃スキルが多いから味方を巻き込まないために集中に一手使ってから技を放つ必要があるのに、肝心の敏捷性が低くてどうにも使いこなせませんでした。
※2023/01/25 追記
ver1.03からビー・ビーの常時発動スキルが変更され、集中しなくても味方を巻き込まずに範囲攻撃スキルが使えるようになりました。強い!
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フィーナ
フィーナは生這技研の重ミュータントとしてアズミラをサポートする、良いポジションの先輩キャラでした。デフォで射程2あってスキルの性能もバランス良くそろっているほか装甲も堅めで安定感があり使いやすかったです。
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特に屋上でのアズミラとフィーナの会話シーンはとても良かった…私の大好きな作品『Qualia Next-道を照らして-』らしさを最も感じた場面です。組織の中で生きるか、そこを飛び出して自由に生きていくか、誰しも時折考えることだと思います。
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ゴドー
イタマエのゴドーさん。すごく好きなキャラです。『Qualia-盲唖の歌姫-』の頃から描写されていた戦う料理人、イタマエがまさか仲間になるとは! イタマエになるには一ヶ月間も包丁一本で無人島サバイバル生活しなきゃならないそうで、そりゃ強いわけだと納得。戦闘では攻撃力が高く、活〆延髄斬りで即背後をとれることもあってメイン火力として活躍しました。欠点はSPが少ないことと単体攻撃しかないことくらい。
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ナギ
仲間キャラ最後はナギ君。アズミラの1歳年下、14歳の少年です。常識人寄りで物語後半から仲間になるせいか周囲の状況に振り回されて困惑している印象が強かった…頑張れナギ君! 少年らしく自身が鮫と海獣キメラの重ミュータントであることをカッコつくと言う場面が好きです。戦闘では、集中のゲージ消費が半分で済むパッシブのほか海獣オンザビーチが移動と列範囲攻撃を兼ねていて扱いやすい印象でした。
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おまけ
最後に前作『Qualia Next-道を照らして-』をプレイした人にだけわかる驚きの場面を貼って終わります。こういった考察要素は大好き!
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すぎやん氏、ぬまたろう氏、素晴らしい作品をありがとうございました!
ΩND