プロジェクト解説を超えて、社会や歴史に接続する文章を考えるべき。
こんにちは。久々のブログ更新となりました。
以前、このブログで執筆していた内容のウェブ発信部分を、抽出して大幅に書き直し+建築家のウェブ発信分析を収録した書籍が4月に発売になります。
amazonではすでに予約が始まっているので是非、確認してみてください!
『建築家のためのウェブ発信講義』(amazonページに飛びます。)
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さて、本日のテーマですが、建築家が作品を発表する際に執筆するコンセプトテキストについて書いてみたいと思います。
メディアの運営を通して、多くの建築家の方のテキストを読んでいるのですが、その内容が、各プロジェクト固有のアイデアや、周囲にどう呼応したか、という部分のみに関して説明していることがほとんどです。
もちろん、これはひとつの説明の形であり、これが悪いと言っているのではありません。個別のクライアントに向けてどのように考えて設計したかという説明が求められる場面においては、十分効果があると思います。
ただ、同業者が閲覧する建築メディアに掲載する場合には、そのようなテキストでは、もったいないあなあと思うのです。(特に建築物そのものは完成度高くできていることが殆どなので、それをどの切り口で説明するかが重要だと思います。)
私が、提案したいのは、各プロジェクトの説明から始まり、その試みをより「抽象化した思考」として明確にし、現代の社会や、建築の世界で共有されている問題意識やトピックを意識しながら、自身の作品がそこにどう位置づけられるのかを語る。という書き方です。
つまり、作品単体の説明を超えた、建築家であるあなた自身が考えている思考を、現代の問題意識と照らし合わせて、提示してはどうか?ということです。
建築の世界、とくにアカデミックな場で批評対象になるべき建築には、そのような思考が埋め込まれていなければ、批評の対象になることはないのでは、と思っています。
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年明けに島田紳助氏の講義が収録されたDVDを買って繰り返し見ているのですが(4回通りくらい見ました。笑)
その中に「XとYの理論」というものがあります。
非常に明確で知的な理論です。簡単に説明してみますね。
この講義自体は漫才の世界でどのように成功するかについて、紳助氏が語るという趣旨なので、この理論もどうすれば、売れるのかについてクリアに説明したものです。
紳助氏は、常にお笑いは時代によって移り変わると言います。その笑いの変化がYだそうで、自身が売れるためには、過去40年くらいのその時代ごとに売れた漫才を研究して、笑いの歴史がどのように変わってきたのか、そして今後どのように変わっていくのかを推察しなければいけないと語ります。
そしてX、これは、芸人それぞれが持っている武器を如何に自分で把握し、自分にできる笑いを分析することを意味するそうです。
そのXを見つけるためには、自分と似た方法で笑いをとっている先輩芸人を何人も見付けること(つまりロールモデル、メンターをみつけるということですね)。そうやって集めた、自分ができる笑いのパターンをXと呼んでいます。
そして、このYとXが明確になった時に、「はじめて自分がなにをやるべきか考える」のだと言います。
そして、講義はこう続きます。
全ての売れている芸人は、自分のできること(X)を移り変わる時代(Y)に常にあわせようと試み続けているんだと。
そして、さんま氏を含め、全ての売れている人たちの頭の中には、この理論があり、誰も言葉にしていないだけ。だと言います。
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もちろん、お笑いの世界で売れることと、建築の世界で評価されることは、同じではありません。建築世界はもうすこし複雑な仕組みだと思っています。
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