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篠崎弘之建築設計事務所による、東京・江東区の「門前仲町の集合住宅」、写真レポート

篠崎弘之建築設計事務所が設計した、東京・江東区の「門前仲町の集合住宅」を写真レポートします。

篠崎さんは、京都工芸繊維大学卒業後、東京藝術大学に進学。伊東豊雄建築設計事務所を経て自身の事務所を開設した建築家です(伊東事務所時代は「ぐりんぐりん」等を担当されていたと記憶しています)。

(前面道路より見る)

(前面道路より見る)

(正面より見る。)

(敷地内通路から見上げる。)

(共用部分)

敷地内に、ヴォリュームを2つに分割しレベル差をつけて配置、ヴォリュームの間が階段等の共用部分になっています。

全体の構成は、篠崎事務所が公開している模型写真を見てもらうと分かりやすいでしょう。引用します(引用:https://architecturephoto.net/76541/)。

(模型写真)

※図面をご提供頂いたので追記します。

(提供:篠崎弘之建築設計事務所)

(ヴォリュームの間から、隣の建物の壁が見える。レベル差もつけられている)

平面的には、ヴォリュームの中心部が水回りコアとなっていて、周辺にL字型平面の個室が配置されています。このプランニングによってすべての個室が全面に開口部を得ることに成功しています。


(個室エントランス部分の意匠)

(1階奥の部屋の個室からの眺め。)

以下様々な階の個室の風景をご覧ください。

(バルコニーのある個室)

個室は平面形状的には、ほぼ反復しているのですが、水回りへの導線や、壁面の色、土間等の床の仕様、バルコニーの有無等により空間の質には変化が与えられています。住まい手は選ぶ楽しみと、愛着を自身の部屋に感じられるでしょう。

様々な街の風景が、開放的な窓を通して、壁紙のように感じられます。
いつもは見慣れている風景が、この建築に入ると、額縁に入れられた絵画のように特別なものに感じられる瞬間がありました。

建物コア部分の「+」型の壁面が構造体になっているのですが、少し飛び出た袖壁部分は、住み手に、部屋を使いこなすちょっとしたキッカケを与えているようにも感じました。

また、個室のL型平面は、奥が見通せないことで、その面積以上に広さを感じさせてくれました。

(個室部分のキッチン)

(コア部分の水回り。右側の小窓は換気用で外部吹き抜け部分に面している)

(別の部屋の水回りを見る)

平面を見ると(掲載していないのですが)、非常に構造形式が明確で強い建築という印象を持つのですが、立ち上がった空間には、未来の住まい手への優しさを感じる部分が多々ありました。

これは、以前より篠崎さんの建築に感じていたのですが、建築史の文脈を意識したりそこへの新しさを提示する部分と、実際の住まい手の生活に良い影響を与える部分が、違和感なく同居しているという事を、今作品でも強く感じました。

建築を作るという事において、自身が探求する、ある方向性に向けて振り切る。ということが大事なのは間違いありません。
しかし、ぼくは、それぞれの建築家の色々な可能性を検討し思考し、それらが入り混じって、そこにあるべき固有の色で完成している建築というのも素晴らしいと思っています。
だからこそ、この先も建築家の皆さんの作品を見続けていきたいと思っているのです。

そんなことを篠崎さんの建築をみていて思い出していました。


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