規制退場を守ると、良いことがある。
はじめに
新型コロナウイルスの蔓延以降、会場出口の混雑を避ける目的で導入された、規制退場。
ライブなどのエンターテイメントで今や当たり前となった習慣だが、私がプロレス会場で初めて経験したのは2020.3.8だったと、今でもハッキリと記憶している。
昼の新宿FACEで行われた、センダイガールズプロレスリング。
この日行われた規制退場は、人が密集しないよう出入口に団体スタッフが待機し、スタッフの合図が出るまで次の案内を行わないという徹底っぷりだった。
それくらい、当時は【感染者を出さない】事への緊張感が団体も観客も凄かった事を今でも覚えている。
当時を振り返ると、今行われている事のベースが、この2020.3.8に形成されていた気もする。
しかし、現在では、規制退場のアナウンス前に退場してしまう人が少なくない。
プロレスに関しても一部酷い所もあるが、基本的には団体問わず、そうした場面が見受けられる印象だ。
そもそも、上述した混雑緩和の目的で行われるのが規制退場だった。
万が一、会場内にクラスターが発生した場合、会場が使用できなくなる可能性も十分考えられる。
その本来の意味が無視されてしまうと、生観戦が出来なくなってしまうし、使用可能な会場を減らす要因にもなりかねない。
もしも強権が発動できるなら、呼び出すまでに出入口を封鎖してしまうのがベターだと私は考えるが、それはそれで難しそうではある。
でも、規制退場のアナウンスがあるまで退場しなかった事で、私にとって良いことも多々あった。
今回は、一ファンの体験談を列挙しながら、1人でも多く守る人を増やしたい気持ちで書いてみました。
ひとつよしなに…。
①サプライズを見逃さない
規制退場を守らないと、サプライズの機会を喪失する。
これは、規制退場を守っていて一番感じた事でもある。
私が今でも忘れられないのは、2020.11.22にプロレスリング・ノア横浜武道館大会を観戦しに行った時の事だ。
横浜武道館という会場は出入口が1ヶ所しかないため、規制退場に時間がかかる。
当日、向正面に座っていた私も、約10分以上待機していた記憶がある。
普段は中々見られない、リングが解体されていく始終を眺めながら時間をやり過ごしていると、思わぬサプライズが訪れた。
何と、この日ABEMA中継のゲスト解説を務めていた松井珠理奈が、中継終了後に会場を去る途中で、残っていた向正面の観客に向けて手を振ってくれたのだ。
しかも、中継が終わり、カメラも回っていない場面なのに…。
カメラを向ける事も出来なかったくらい、あまりにも一瞬の出来事だったが、今でも私の脳裏に鮮烈なものとして焼き付いている。
上記の事例は中々レアかもしれないけれど、試合が終わって選手が一周する様子なんかも、規制退場を守っていれば見逃さなくて済む。
こういう時にしか見せないレアショットも、往々にして撮れたりするものだ。
②リングアナウンサーの魅力を堪能できる
規制退場では、リングアナウンサーによる個性が際立つ。
プロレスリングZERO1のオッキー沖田リングアナは、規制退場を待つ観客に向けて、選手に関する貴重なエピソードを話してくれた。
これは、最後まで残っていた人しか聞けない特権だったと思う。
また、規制退場をアナウンスする際、リングアナウンサーは機先を制するようなマイクテクニックを見せてくれる。
プロレスリングNOAHの味方冬樹リングアナウンサーは、大会終了後に配布するザ・リーヴ提供のグッズ(マスク、クリアファイルetc)をアナウンスする際、穏和な口調と笑顔でこのように伝えたことがあった。
それでいて、【グッズは必ずあるので、ゆっくり進む】旨を伝えることも忘れない。
この辺のスマートさが、私は好きだったりする。
他ですと、規制退場の際に優しい口調で「立っている人はいませんね…?」と問いかける、スターダムの安藤頼孝リングアナだったり、
規制退場時に、ただ内容をアナウンスするのではなく、一人ひとりに向けて細やかな内容を伝える東京女子プロレスの難波小百合リングアナだったり、
(ゆっくり押し合わないよう誘導するetc)
テンプレート的な内容の多い規制退場にあって、お願い事の仕方一つとっても、各リングアナの違いを楽しめる。
個人的には、そんな瞬間も規制退場でしか見られない魅力ではないかと思う。
③選手関係者による見送りに遭遇できる
団体や会場によって規制退場の案内順は異なる。
ただ、この2年半会場に通ってみて、出入口から遠い位置の座席(だいたい向正面)が最後の方に案内されやすい傾向がある。
故に、向正面なんから退場が一番遅い座席の一つになりがちだが、そういう時、関係者によるお見送りに遭遇することがある。
過去には、GLEATの鈴木社長だったり、我闘雲舞の選手達だったりが、北側にいた観客をお見送りする光景に出くわした。
中でも、私が特に忘れられないのは、2020.7.19のNOAH後楽園ホール大会だった。
規制退場の一番最後に北側がアナウンスされ、観客達が退場するため通路に出た際、偶然にも、控え室へ戻ろうとしていた中嶋勝彦に出くわした。
入れ違い様の一瞬ではあったが、中嶋が退場する観客に向けて言った一言は、今でもハッキリ覚えている。
当時、新型コロナウイルスの影響もあり、ノアにとって約4ヶ月振りとなった有観客興行2daysの最終日。
久しぶりにノアの選手を生で見られた後だからこそ、中嶋の一言が沁みた。
この日、北側で良かったと思えた瞬間でもある。
まとめ
正直な所、規制退場を守れば、上述したようなサプライズに必ず巡り合える保証は無い。
だけど、規制退場を守らず帰っていたならば、そのような瞬間に巡り合うことは間違いなく無かっただろう。
つい最近も、規制退場を守った事で素敵な瞬間に立ち会えた。
規制退場を守っていた人には、良いことがある。
私の経験則として…。